深い深い根を張る文化であり、インドの深い問題でもあるカースト制度について、ここでは分かりやすく、ライトに触れていきたい。
※カースト制度は1950年に差別用語・差別が禁止されている。
※添付されている画像はカースト制度の地位とは無関係です。
インドの階級制度で、階級は上から
バラモン
クシャトリヤ
ヴァイシャ
スードラ
ダリッド(不可触民)
上記の四つに別れる。(5番目のダリッドはカースト制度からも見離された人々)
アーリア人(ヨーロッパ語系諸族)が上位3つのカーストになり、先住民の人々がスードラと呼ばれる階級だ。
さらにその下にダリッドと呼ばれる不可触民(触ることのできない人たち)が入る。
日本にも武士・商人・農民・穢多非人などの階級があったが、これに近い考え方だ。
昔々、この階級制度を作った人たち。
昔権力を持っていた部族が司祭という役割を担い、人々を裁き、社会のルールを作ると共にその地位を守るための様々な取り決めを行った。
また、呪術などの特別な能力を持つ。
彼らの正式名はブラーフマナで祭祀(行事)を通じて神々と繋がる特別な能力(呪術)によって物事を決めていたため、ブラフマ(宇宙世界が作られた原理)に近いと崇められ絶対的な力を持っていた。
が、長く強い権利を保持していたためにその呪術や祭祀の内容がいい加減で傲慢になりのちに人々の不満を買って行くこととなる。
バラモンと同様に政治・軍事の支配を行なっているが、バラモンの下につく階級。
この階級には王族や貴族が入る。我々アジア圏では最高位の神と崇められているブッダもこのクシャトリヤの生まれである。
彼らは政治・軍事を執り行っているがバラモンの決めた内容には逆らうことができない。
彼らは市民で、庶民的な階級。農耕・牧畜・職人などが主な職業となる。また、ヴァイシャはバラモン教のヴェーダ聖典を学ぶことができ、「再生民族」とも称されていた。(学ぶことができない=再び生き返ることができない=学ぶこと自体が難しい人種がいる)
ここでいう再生という意味だが、輪廻転生のことでヴァイシャたちは生まれ変わった後、きっと現世よりも良い生まれに。現世よりも良い暮らしができるようにと、このバラモンたちが作った教えに従っていた。
ここまでが上流階級と呼ばれる人種となっており、この後が下級の人種となる。
最下級の人種。奴隷階級でクシャトリヤやヴァイシャに仕えた。
再生することはないのでバラモン教を学ぶことも許されない。
人身売買に掛けられることはもちろん、冤罪に掛けられ死刑になることもある。
ただし、彼らは自分たちの家族を持つことが許されている(親子が常に一緒にいれるとは限らない)。
また時代と共にそれぞれの役割が変化してく中で、一部に自分たちの富を築く者もあった。
その動きに反発するようにしてヴァイシャの人々は自分たちの優位性を保持すべく、売買を自分たちの仕事とし、農業や牧畜などの生産をスードラの人々に渡す様になった。
よって大衆の仕事(生産業)、労働者の意味でこの名前が使われる場合もある。
スードラという地位までがカーストに認められている中で、それ以下として存在を認められない(触れることのできない)区分の人々がいる。
これが「アウトカースト」だ。
彼らは穢れた存在として社会から虐げれて来た。
お金を手にすることが無いので人のものを盗んだりして生活を営み、インドの厳しい暑さや日照りの影響をモロに受けて生きた人々だ。
ダリットたちは自分よりも上の階級の人たちと共に生きることを禁止されていた。
声を聞くことも、見ることもいけないとされた。
また、他階級の人々が使用する井戸や貯水池の禁止・トイレだって同じものを使ってはいけない。
死に場所や死体の処理の仕方だって異なる。
ダリッドにはもちろん男性も女性も老人も子供もいたが、特に女性は強い差別があった。
不可触民のはずだが、夜になるとセックスを強要されていた。この文化こそがインドにおける残忍なレイプ事件が後を立たない理由の一つだろう。
ダリッドの女の子は無論、学校へもいけなかった。
学が無いことを強要され社会的にも弱者に立たされる。
インドの田舎に行く機会があったら、是非周りにある村の子どもたちに目を向けて欲しい。そこには女の子ばかりが家の中に残っている。
そして、昼過ぎに帰ってくる男の子たちは学生制服を着ている。
これは男の子のみが学校に行くことが可能で、読み書きを習得し社会へ出ることを許されている。と言っても過言ではない現状を表している。
極端な家庭では、女の子が生まれた時点で売り飛ばされたり殺されたり、捨てられたりする。
理由は「金を産まずにお金ばかり掛かるから」だ。
インドへ赴いた際にはどんな人にも平等に話すことにトライして見るのも良いかもしれない。
僧侶の格好をしていてもただのお金をせびるだけの人間もいれば、トイレの掃除をしている人がとても親切だったりすることもある。
身なりが貧しい人々と接するとき、自分の身や持ち物に何が起きるだろうかと心配になるが周囲に人がいれば大概は問題ない。
持ち物に注意して(大切なものから目を離したりバッグを体から離してはならない)いれば、スリや置き引きなどには合わないだろう。
カースト制度は1950年に禁止されたとはいえ、インドではまだまだ残念ながらカースト制度を根に様々な差別があり事件が立たない。
自分の国にカースト制度がないのだから、命は全て同等に大切だということを彼らに話してみるのもいいかもしれない。
各国の人々と対話する際には敬意と尊重の心を。
私たちがそうしてもらいたいと願うのと同じ様に。