2020年12月、私はイビザの自宅で娘を出産しました。
この記事では家での自然分娩を経験して、
「出産、どこで?誰に付き添ってもらって?どうやって産むのか?」
私が決定して行った方法と、思いについて共有したいと思います。
妊娠直後、私が住んでいるイビザ島ではイビザタウンから車で10~15分の場所にあるCan Misses(カンミセス)公立病院で産む。と考えていました。
理由は以下の3点。
・家から遠くない。
・自然分娩を希望すれば要望に答えてくれる。(余計な薬を使わない)
・経産婦の人たちの経験談が「快適に出産できた。看護師・助産師共にいい人たちだった」
とポジティブな意見が多かった。
余談ですが、私が住んでいるイビザという淡路島ほどの小さな島では、ほとんどの人がここでお産をするそうです。
ですが、Doula(出産介助、産後の母親ケアにあたる人)と話をしていくうちに自宅出産への興味を持ちました。
そして、自宅出産についての本もいくつか読みました。
自宅出産を決める前後には、イメージトレーニングや体の調整のためにいくつかの本を読みました。
病院では、なぜ分娩台に仰向けにされるのか?
なぜ股をあんなにも強い光で股を照らされ無ければならないのか?
=医師が膣を確認しやすいため。
どうしたら陣痛を和らげることが出来るのか?
=リラックスして赤ちゃんとコミュニケートする意識を持つことが大事。
お産時に自分の体には何が起きるのか?
=骨盤が開き、そのために痛みが襲う。
赤ちゃんはどうやって出てくるのか?
=右回りに旋回しながら肩を外して、赤ちゃんは持っているパワーを振り絞って出てこようとする。
など、疑問を一つ一つ、読み解くことができました。
そして自分自身の体がもつ強さを信じさせてくれた本たちです。
ニューアクティブバース
ジャネット・バラスカス著
分娩台よ、さようなら
大野明子著
(本たちは日本・イビザに住む友人・知人から紹介いただきました)
出産自体は約26時間かかりました。
出産は平均で12時間程度と言われているので、少し長かったと思います。
朝の7時に少量の破水。8時ごろにお医者さんとDoulaが来て、出産準備をしてくれました。
プールの準備や防水シーツなど。
この時はまだ、料理が準備できる程度でした。
昼を過ぎてもまだ立っていられる状態で、夜になってやっとうめき出し、それが夜通し続きました。
翌朝の7時になっても赤ちゃんが産まれず、ここでお医者さんから提案をもらいました。
「24時間経ったから赤ちゃんと母親の安全のため、病院に移動しましょう。」
夫は「え?今から?」
と驚きを隠せない様子。
私は一言も言わずに「絶対にここで産む。」と決意を改めていました。
夫がその提案を飲まざるを得ないと外出の準備をし始め、私は呻いているところDoulaに歩行するように促され、歩き始めたところ。
「赤ちゃんがもう入り口まで来てると思うの。触って!確認して!」
とお医者さんに頼み、膣の中に指を入れてもらうと。
「あ!これは頭だね! Push! Push!」
といきんでいいと言われ、ほとんど使ってしまっていたはずの力を振り絞っていきみ始めました。
何度も見え隠れする赤ちゃんの頭に手で触れながら、3回いきんで!と言われたのを1,2,3,4,5と1 ~2回多めにいきみました。
何度も見え隠れるす頭を見て、お医者さんもDoulaも夫も「もう一度!もう一度!」
と声をかけてきて、何度かそれを繰り返すと!
ボロン!赤ちゃんの頭がでた、と思った瞬間に体も一緒に勢いよく出てきました。
いきむのに必死だった私は一瞬何が起きたかわからない状態で、胸の前に持ってこられた赤ちゃんを必死で自分の腕に抱き抱えました。
産まれてきた赤ちゃんは私の方を片目を明けてみて、そのあとすぐに母乳を飲み始めました。
私の場合は、痛かったです。
実は、フランス人Doula(妊婦・母親を教育サポートする人)に「出産は痛くない。踊ったり、ツボを押したり、自分の好きな体勢をとったりすることで痛みは感じないのよ!」とずっと教え込まれていました。
また、別の体験記などを読んでいても「痛みはほとんどなかった」と記している人があったので「きっと痛くない。」と信じて挑みました。
けれど、私の場合は。
幼い頃に母がすでに他界していて母親のイメージも、出産のイメージも想像するのは難しく、とても厳しい将来が待っているようでした。
そのせいもあったのではないかと思います。
私の場合は26時間もかかりましたし、ひどい痛みがありました。
驚かせてしまっていますが、本当にほとんど痛みを感じない人もいるので、どうかそういった経験談を信じ、参考にしてイメージトレーニングに励むことがとっても大切だと思います。
後に聞いた話、リラックスすること、そしてイメージトレーニングが重要や母親の出産経験談は重要な役割を果たすとのことでした。
・病院へ行ったりきたりが無く、陣痛が始まってからずっと家にいることができる。
そのため陣痛のリズムが崩れず、余計な心配事が減る。
・分娩台に横たわる必要がない。
出産は重力を使って妊婦が縦になっている状態or妊婦が好きな姿勢で行うとしやすい。
が、病院では医者が子宮口をチェックしやすい分娩台に座らされ、重力の力を使いにくい。
・歩いたり踊ったり、バランスボールに乗ったり、眠ったり、マッサージを受けたりとその瞬間その瞬間にしたいポーズやしたいことをできる。
・子宮口の開き具合を2時間おきなどの規定に沿う必要がなく、自分で希望した時にのみ、見てもらえる。(指、もしくは機器を膣の中に入れて見られるので、不快感がありました。)
・出産後、赤ちゃんが計測・軽量などで家族のそばから離れることがない。
(産後の赤ちゃんは母親といることがとっても重要なのだそう。赤ちゃんとの絆を深めるには肌×肌で過ごすと◎。)
・出産後、赤ちゃんに点眼薬やビタミンKなどを打たれることがない。
(3ヶ月経ちましたが、娘は健康です。)
・へその緒を出産後胎盤が出てない間に切られない。
(赤ちゃんの生命維持装置の役割を持つ胎盤・へその緒はなるべく長くつけておきたかったので)
・胎盤とへその緒をどのようにしておくか決めることができる。
(イビザでは、胎盤を食べる・大地に埋めにいく・捨てる・ホメオパシーを作るなどの選択肢があります)
・いざという時の医療対応に遅れが出る可能性がある。
(健康な母体と健康な赤ちゃんであれば、危険が迫る可能性は低く、病院が車で10分の場所にあるため、問題ないと考え自宅出産に挑みました。)
・鎮痛剤などを打ってもらうことは出来ない。
妊娠から出産までに病院での出産or自宅出産で様々な意見を耳にし、本でも読みました。
たくさんの経験談を聞いていると、一体どれが正解なのか?自分に合っているのか分からなくなり混乱することもあります。
落ち着いて、自分と赤ちゃんはどんな状況でその時を迎えたいか?をゆったりと考えてその方法に辿り着きましょう。
私は、無痛分娩から自然分娩に予定を変更し、自らの体の底力を信じました。
そして赤ちゃんの産まれてこようとする力・エネルギーと一緒に挑んだ自然分娩はものすごく痛くて辛かったけれど、幸せな経験でした。
そしてもともと体を鍛えたり、山を登ったりするのが好きだった私には自然分娩は合っていたのかな。とも思います。
ご質問や相談などがありましたら是非コメント/メールいただけましたら嬉しいです。(コメント欄は記事の一番下にあります!)
どんな出産も赤ちゃんと母親が健康ならそれで十分!
そして、妊娠期間に協力してくれた友人知人たちに感謝を込めて。
ありがとうございました。