「ダンブッラの石窟寺院」は正式名称を「ダンブッラの黄金寺院(Golden Temple of Dambulla)」と言い、黄金の巨大な仏像の裏を登ったところにある石窟寺院で世界遺産。
黄金の岩と呼ばれる巨大な岩山に5つの石窟寺院が掘られており、153体の釈迦像と3体のスリランカ王像、4体のヒンドゥー神像が祀られいる。また、石窟の天井や壁は壁画で埋め尽くされていて、その総面積は2,100平方メートルにも及ぶ。
バスが通る「キャンディ・ロード(Kandy Road)」沿いに面したところに入り口があり巨大な黄金の仏像が目印。このダンブッラの黄金寺院の方はかなりのインパクトだが、こちらはあまり見るところのない博物館。
石窟寺院とは別に入場料がかかるので筆者は入っていないが、ダンブッラの僧侶が使用した仏具やペラヘラ祭りを再現した模型などが展示されているらしい。石窟寺院はこの黄金寺院を左奥に入りそこを登っていったところにある。
スリランカにおいて最も保存状態が良い石窟寺院として知られていて、その歴史は紀元前3世紀まで遡る。
その当時からとても重要な僧院だったが、紀元前1世紀に南インドのタミル人によって都を追われたワッタガーマニー・アバヤ王が仏教僧によってダンブッラで保護された。その後無事に帰還したワッタガーマニー・アバヤ王が、助けられたことに感謝し、僧院から寺院として整備し発展を遂げた。その後、多くの増築が施され現在に至る。
石窟寺院は5つの石窟で構成されていて、それぞれ造られた時代が異なる。
入り口近くにあるのが第1窟「デーワ・ラージャ・ヴィハーラ」(Deva Raja Vihara)。「神々の王の寺」という意味だそうで、最も古い石窟で狭い内部いっぱいに14mもの自然の岩を彫って作られた巨大な涅槃仏が横たわる。
全身金色に塗られているが、足の裏だけが赤く、これはスリランカだけに見られる特徴で、仏陀が赤土のスリランカに来たことに由来するという。壁一面に描かれている壁画は何度も修復され20世紀に入って行われてものが最後。涅槃仏の足元には仏陀の弟子アナンダ像、頭の近くにはヴィシュヌ像が施されている。
「マハー・ラージャ・ヴィハーラ」(Maha Raja Vihara)。「偉大な王の寺」という意味で、5つの石窟の中でも最大規模。その大きさは幅52m、奥行き25m高さは最大6m。
仏陀の立像と坐像が合計56体が安置され、天井や壁にはびっしりと壁画が描かれていて、その面積は2,100㎡にも及ぶ。壁画は紀元前から徐々に増えていき、歴代の王によって何度も修復されたり上書きされたりで、元の絵はほとんど残っていないと考えれている。
またダンブッラとは「 水が湧き出る岩 」という意味で、石窟は岩山のほとんどてっぺんに作られているのにもかかわらず上から水滴が落ちていて、それは聖なる水として重要な儀式の際に使われるそう。
「マハー・アルト・ヴィハーラ」(Maha Alut Vihara)。「偉大なる新しき寺」という意味のキャンディ王朝時代に造られた石窟。寺院になる前は倉庫として使用していたのだそう。
第2窟の半分くらいの広さだが、50体の仏像と1体の王の像が安置されている。この石窟の特徴は元の洞窟の形を利用して造られていて、入って正面にある仏像は天井と繋がっている大きな柱のような岩を彫って作られてものだそうだ。
「パッツィーマ・ヴィハーラ」(Pachima Vihara)。「3人の王の寺」キャンディ王朝末期に造られた。第2窟、第3窟と比べるとかなり狭く仏像も10体ほど。
デワナ・アルト・ヴィハーラ」(Devana Alut Vihara)「二番目に新しい寺」20世紀に作られた比較的新しい石窟。こちらもかつては倉庫として使われていたのを改装。
入場料が1500ルピー(約1,000円)。石窟寺院の入場チケットは黄金寺院のところでしか買えないと他のブログなどでは書いてあったが、筆者たちが訪れた2018年2月は、石窟寺院の入り口で入場チケットを購入することができた。以前の場所は分かり難いと評判だったので場所を変更したのだろう。
キャンディのバスターミナルからダンブッラ行きのバスが頻繁に出ている。所要時間は約2時間。エアコンなしのローカルバスが約100円くらいでエアコン付きが倍くらいの値段。
キャンディに戻る場合は黄金寺院の前のキャンディ・ロード沿いからキャンディへ行くバスが止まる。
ダンブッラ石窟寺院は2000年以上も昔から続く信仰の地。とても保存状態が良く、石窟によってことなる時代の仏像と壁画を見ることができる。
とても見応えがある寺院なのでスリランカにきた際には必ず訪れたい場所のひとつだ。シギリヤロックから遠くないので、合わせて1日で見てしまうのがオススメだ。