5000年前から人が居住していたと言われるバラナシは世界で最も古い街のひとつ。ヒンドゥー教の一大聖地としてインド国内外から年間100万人を超える参拝者が訪れるインド最大の宗教都市。
聖なるガンジス川を中心に広がるバラナシ市内には大小大小1500近いヒンドゥー教寺院と270以上のモスクがあると言われている。
世界中のたくさんのアーティストや作家に強い影響を与えてきた街、バラナシにはこれぞインド!という色んな要素が満載だ。そんなインドの魅力が詰まったバラナシの見どころをご紹介。
バラナシに行ったら必ずやって欲しいのが、ボートに乗ってガンジス川に登る朝日を眺めることだ。朝靄のかかったガンジス川が朝日とともにオレンジ色に染まって行く姿は言葉を失うほど美しい。
またボートから見える様々な情景はとても神秘的でスピリチュアルな雰囲気を醸し出している。筆者はあまりの美しさに2日連続行ってしまったほどだ。
ボートの値段は500ルピーくらいで乗ることができるが、初めは必ずふっかけてくるので粘り強く交渉しよう。
バラナシは別名「大いなる火葬場」としても知られていてガンジス川沿いに2箇所の火葬場がある。ヒンドゥー教にとってガンジス川付近で最後を迎え、遺灰を流すことは特別な意味をもっている。
全てのもの浄化するガンジス川は、生前いかなる罪を犯した者でも、解脱(げだつ)出来ると考えられており、多くのヒンドゥー教徒はガンジス川で最後を迎えることは最大の願い。
そのためインド各地から毎日多くの死体が運び込まれてきて、火葬場は24時間365日休むことなく死体を燃やし続けている。また死期がせまった人がバラナシで死を迎えるために静かにその時を待つ場所も存在する。
火葬場の見学自体は自由に出来かなり近くまで行くことができるが、写真撮影は禁止。人間なら必ず訪れる「死」をありのまま隠すことなく、ごく当たり前のこととして扱っている。
気持ち悪いとか怖いという感覚が不思議と感じられず、神聖な雰囲気。死について考えさせられる場所なので拒否反応がない場合は行くのがお勧め。火葬に使う薪を寄付してくれと高額な金額を請求されることが多々あるので、気持ち程度渡して後は断固として拒否しよう。
ガンジス川へと続くバラナシの旧市街とても細い道が迷路のように入り組んでいる。車も入れない幅2メートルほどの路地には数多くの家や商店が並びたくさんの人にゴミを漁る牛や遊んでいる子供。
牛の糞の匂いやスパイスの香りが混じり合い臭いし、決して綺麗ではないが、とてもインドらしく面白い。
また入り組んだ旧市街には多くのヒンドゥー教の寺院があり中でも有名なのは17世紀に設立されたヴィシュヴァナート寺院(ゴールデンテンプル)とドゥルガー寺院。ただしヒンドゥー教以外は中に入ることはできない。
また安宿、日本人宿や日本食レストランもありカレーに飽きた時にはありがたい。まさに迷路のようなので、何かお目当ての場所がある場合は入念に下調べをするかガイドをつけた方がいいだろう。
バラナシの最も大きいガードであるDashashwamedh Ghatで毎晩のように行われるヒンドゥー教の神像礼拝の儀礼。
日が暮れるとヒンドゥー教の司祭であるバラモンが伝統的なインドの楽器のとお経を唱える声が鳴り響く中、燭台に火を捧げて祈る姿はとても幻想的。
日没後多くの人がアールティーを見るために集まり場所取り合戦がはじまる。18時頃から始まるので良いところで見たい人は事前に場所取りが必要。お金に余裕がある人は勧誘にのってボートから眺めると漕手が良い場所にボートをつけてくれる。
ガンジス川には全ての罪を洗い流してくれると信じられていて、ヒンドゥー教徒にとってガンジス川での沐浴はとても重要な意味を持っていて、まだ薄暗い朝日が登りかけの時から多くの人達が沐浴をしている。ガンジス川沿いにはガードと呼ばれる大きな階段が84個あり、その階段を降りて身を清める。
沐浴に挑戦する観光客もたくさんいるが、遺灰や死体、ゴミや汚物など、なんでもかんでも流すガンジス川はありえないくらい汚い。免疫がない我々が入ると体調を崩してしまうことも珍しくないので、どうしても沐浴をしたい人は終わったと直ちにシャワーで洗い流そう。
バラナシには色んな種類の人間がいる。
体の一部がない物乞い。うるさいくらい声をかけてくる物売り。奇抜な格好をしたヒンドゥー教の放浪する修行者サドゥ。何をしているのか分からないが、座り込んでる人、たむろしている人。握手からマッサージに持っていきお金をせびってくる陽気な爺さん。
ちょっとぶらぶらしただけで、とても濃い人達をたくさん見ることができる。
バラナシから北西に10キロの郊外にサールナートはある。四代仏跡のひとつでお釈迦様が最初に説法を行ったと言われる場所「サールナート」がある。見どころは、仏塔「ダメーク・ストゥーパ」と「サルナ-ト考古学博物館」だ。
詳しくは別記事にて写真とともに説明している。
ダメーク・ストゥーパと考古学博物館で仏教の原点にふれる
有名観光地なので詐欺やボッタクリがたくさんいる。少し歩けばすぐに話しかけられ、慣れるまでは特に鬱陶しい、もしくは恐怖を感じるが、それも慣れるまで。治安もそこまで悪くないので夜遅くに出歩かないなど最低限気をつけていれば問題ないだろう。
ヒンドゥー教の一大聖地だけありアクセスは良く、のんびり鉄道で行く方法と飛行機で行くほうがある。
バラナシ空港へはデリーからだと、1時間30分くらい。空港からはオートリキシャかタクシーで市内へ。
ニューデリー駅から寝台列車でバラナシ駅もしくはバラナシ郊外のムガル・サラーイ駅まで行ってそこからオートリキシャでも可。バラナシ駅行きよりムガル・サラーイ行きのほうが本数が多い。所要時間は最低半日は見ておこう。
インドの列車は遅れることが当たり前なので時間に余裕がない人、または旅慣れない人は飛行機の方が無難。ただ、将来日本の新幹線が走ることが決定しているインド。インドならではの寝台列車に乗ることは今しかできない貴重な経験になるので寝台列車をオススメしたい。
インドに行く旅行者が必ずと訪れると言っても過言ではないヒンドゥー教の聖地バラナシ。インドに行くと人生観が変わると言う人がいるが、その多くの要素はバラナシが持っているように思う。
そして行った人が大好きか大嫌いにハッキリ別れる場所。
牛がそこら中をウロウロし、その糞だらけのゴチャゴチャした路地、死体を燃やし続ける火葬場と死体を含め何でも流し全てを清められると信じられているガンジス川。そこで沐浴する人、そのほとりでたむろしている人、どうにかしてお金を貰おうと話しかけてくる沢山の人。
カオスと言う言葉がぴったりのバラナシには訪れる人を惹きつけてやまない魅力が詰まっている。好きになるにしろ嫌いになるにしろ強烈なインパクトを残すことは間違いない。インドを訪れた際は是非行ってみよう。