ローマにあるサンタ・マリア・イン・コスメディン教会(Santa Maria in Cosmedin)の外壁、教会の正面柱廊の奥に飾られている真実の口は映画「ローマの休日」で一躍有名になった。
ローマの休日以前も有名な観光名所だったのか、どのような歴史があるのか改めて調べてみた。
元々は古代ローマ時代のマンホールの蓋だったという。古代ローマ時代には「水をよく飲み込む」という意味を込めてマンホールの蓋には水に関わる神様の顔が良く彫られていたそうだ。両目、鼻、口に穴が開いてるのはそこから水が流れるため。
もちろんその当時は「真実の口」なんて呼ばれてもいないし、有名な「偽りの人が海神の口に手を入れると手が切り落とされる」なんて伝説も存在しなかった。
中世の時代の裁判の時に被告人がこの口の中に手を入れ、嘘をついていることが判明した場合、後ろに隠れた斧を持った男に入れた手を切り落とされたと言う逸話が少しずつ形を変え、尾びれがつき語り継がれ真実の口伝説になったという。
12世紀の巡礼用のガイドブックにはすでに「真実の口」の伝説が載っていて、キリスト教徒巡礼者にとって古代の異教の遺物はとても珍しく、数々残る古代ローマの遺跡、遺物のひとつとして伝説とともに説明されていた。
それが1631年に現在の場所に設置されたと言うわけだ。
この「真実の口」を世界中で一気に有名にしたのがご存知、映画「ローマの休日」。
グレゴリー・ペック扮する新聞記者のジョーがオードリ・ヘップバーン演じるアン王女を驚かそうとして、伝説に基づき手を入れ、手を引きずりこまれる。という演技をした有名なシーン。
ちなみにこのあまりにも有名なシーンは元々台本にはなく全てアドリブだったそうだ。
緊張気味だった新人女優オードリ・ヘップバーンの緊張を和らげるためにアドリブをしたのだそう。なのであのオードリ・ヘップバーンの驚きは演技ではなく本物。
ローマの休日の休日の大ヒットにより一躍大人気観光名所となった真実の口。古代ローマのマンホールがいつからか神聖な物になり伝説と結びついたのかは未だに謎のままだそうだ。