日本ではまだ観光地として馴染みのないスリランカ。インドの南に位置する島国で「インドの涙」などと呼ばれている。
綺麗な海と雄大な自然を持つスリランカは、欧米人には既に人気の観光地で、2010年には米紙ニューヨーク・タイムズの「世界で最も行ってみたい観光地」で1位を獲得。
物価も安く北海道を一回り小さくしたくらいの国土になんと8つもの世界遺産!そんなスリランカに3週間滞在した筆者がスリランカの魅力をご紹介!
スリランカに改称する前の国名「セイロン」の名がついたセイロンティーはとても有名。オイルマッサージと食事療法で体を癒やし治療する女性に人気のアーユルヴェーダも人気。
国人の70パーセントが仏教徒でブッタゆかりの場所や重要な仏教寺院がたくさんある。またスリランカ出身のトロピカル建築の神様「ジェフリー・バワ」が手がけたホテルなどの建築も多数。
暗い路地も多く、一見治安は悪そうな町並みに見えるが、安全。インドのように強引な客引きもいなく、夜1人で出歩いてもまったく問題なかったし、変な輩もほとんど見かけない。
ただし詐欺やボッタクリなどはあるので普通の海外旅行同様の注意は必要。コロンボ北部とマウント・ラビニアはあまり治安の良くない場所もあるらしので、スラムのような場所など、そういったところには興味本位で夜に出歩かないようにしよう。
もっともお酒も厳しく、遊ぶところもないので夜に出歩く理由がほとんどないのだが…
長距離移動はバスか鉄道が基本。バスはエアコンあり、なしで値段が違う。
鉄道は1~3等級まであり1等級のみ指定席。国有の鉄道とは別に民間が運営するラグジュアリー列車もあり、国有鉄道より料金は高いがその分サービスは向上する。ただし国有鉄道に車両を追加するだけなので着く時刻などは変わらない。
鉄道は車窓からの景色も美しく旅行者にも人気だが、コロンボ・フォート駅を起点に各地に放射状に伸びている感じなので、地方都市間の移動には不便。
長距離バスはかかる時間も鉄道より早いことも多く、地方都市間の移動にも便利。
市内移動には、タクシー、市内バス、スリーウィラー(トゥクトゥクのようなもの)の3種類が基本。他にスルーウィラーをチャーターし観光に使用したりも可能。その場合の料金は交渉制。
上昇傾向にあるが、スリランカの物価はまだまだ安い。地元の人が行く食堂や屋台での食事は200~300円くらいで量が凄い。
パン屋でパンを買うとひとつ20円とか。
ビールなどのお酒は、お酒に厳しい国だからか、物価を考えると割高だった印象。もちろん日本と比べると安いが、ビールの大瓶でリカーショップで200円くらいだった。ビーチにあるバーなどは観光客価格でもっと高い。ビール1杯500円とかした。
スリランカの公用語はシンハラ語。しかし英語を喋れる人がかなり多く、英語でまったく困ったことはなかった。
また昔日本で働いてたとかで日本語を話せる人にもよく会った。日本人だとわかると日本語を使いたいらしく話しかけてくる。
他の国だと日本語で話しかけてくる現地人は詐欺やボッタクリが多いが、スリランカでは純粋に日本語を喋りたいだけの人がほとんどだった。
基本的にカレー。ただしインドカレーよりもルーがかなりサラッとしていて、お米にかけるとサッと染み込んでいく感じの軽さのあるカレーだ。
筆者たちが毎日のようにお世話になった安食堂は、カレー、フライドライス、小麦粉を練って薄く伸ばした生地と肉や野菜などの具材を細かく刻んだ、コットゥ(Kottu)。どれも基本的にカレー味。安食堂ではほとんどがこの3種類のみだ。
パンも日常の食事として人気が高いが、安食堂同様どのパン屋に行っても同じ種類のパンしかない。
スリランカの食事は美味しいと言う情報をよく目にするが、お店によってさほど味に違いもなく飽きる。
筆者たちは3週間ずっとほとんど変わらない味と料理を食べていたので、旅行の楽しみの一つであるはずの食事が、ただ腹を満たす作業に変わっていった。
安食堂ではなく観光客向けのレストランに入れば、魚介を使った料理やステーキなど、バラエティ豊かな料理もあるので旅のプランに合わせて使い分けてみては如何だろうか。
お酒に厳しい国で、観光客向けの飲食店以外ではお酒を置いている所はほとんどない。お酒を売るライセンスの取得が難しいらしく、その分持ち込みOKなレストランも多い。
また、熱心な仏教徒が多いからなのか、公の場でお酒を飲むことが憚れている印象。リカーショップはスーパーの中にあったり町中に個人店もあるが、数は多くない。
バーもあるにはあるのだが、店員が鉄格子の中からお酒を売るという奇妙なスタイル。そして店ごとの特徴がまるでない。どのバーも薄暗い店内に鉄格子。そして現地の女性はまずいない。ただしビーチなどの観光地ではこの限りではない。
また満月の日を「ポヤ・デー」と言い国民の祝日。禁酒日でもあり、お酒を売ることも提供することも禁止で、観光客向けのホテルやレストランでも禁止。お酒好きのスリランカ人はポヤ・デーの前日に買っておいて、家でこっそり飲むそうだ。ほとんどのリカーショップは夜9時に閉まるので、それまでに買いに行こう。
日本の支援でインフラを整えてることを多くの人が知っているからか、とても親日だ。他の国の人より敬意を持って接してくれている印象。
元々はサンフランシスコ講和会議時に戦勝国に分断統治されそうだった日本を初代スリランカ大統領ジャヤワルダナ氏によって救われ、その恩返しを初めたのが始まりだ。
そして礼儀ただしくフレンドリー。気軽に話しかけてくるし、困っていると声をかけてくれたり、助けてくれることも多々あった。日本で働いていた人も多く、日本人だとわかると嬉しそうに話しかけてくる人も多かった。
人の良さでスリランカ旅行がとても楽しく素晴らしいものになったと言っても過言ではない。
亜熱帯気候で高温多湿。年間を通して気温に大きな差はなく、コロンボは25度~30度。セイロンティーの産地として有名なヌワラエリアは高地にあり気温はぐっと下がり年間平均気温は16度。
スリランカはモンスーン(季節風)の影響を受けやすく、起伏に富んだ地形は地域によって気候が異なる。
南部、西部は4~6月、10~11月が雨季。1日中雨が降ることはなく、スコールが1日に数回ある感じ。12~3月が乾季。北部、東部は10~3月が雨季で、5~9月が乾季。
スリランカへ観光に行くにはビザ(ETA:電子渡航認証システム)が必要。最大30日滞在可能。オンライン上で簡単に取得することができる。値段は35USD。スリランカの空港でも取得可能だが、5USD高い。こちらのサイトに取得方法が詳しく書いてあるので、参考にして欲しい。
巨大な岩の上の古代都市遺跡「シギリヤロック」を始め、仏教徒の聖地、仏陀の犬歯が納めれれている「仏歯寺」など8つの世界遺産がある。
それだけでなく美しいビーチやサファリなどの大自然、質の良いサファイヤとセイロンティーの産地でもあり、アーユルヴェーダと世界的建築家ジェフリー・バワが手がけた建築、テレビ番組「世界の車窓から」に何度も登場した趣のあるイギリス植民地時代の鉄道から見える美しい車窓など、どんなタイプの旅行者でも満足できる。
その上治安も良く物価も安い。欧米ではすでに人気の観光地。スリランカは一度訪れた人を魅了するとても魅力に溢れる美しい国。是非訪れて欲しい。