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“The Travel Story 71”世界の真ん中の国【トルコ2】

さて、ブルガリアを経てついにトルコに到着した私たち。

中東では「酒が飲めない上に、女性に対して差別的扱いが今なお残っている」ということで、これ以上中東の国を旅する予定がない私たち。

だから、私たちにとってトルコは唯一の中東の国となる。

そんなトルコの奇景、カッパドキアに滞在している私たち。

この場所のその奇夕な景観について。

世界遺産として

第一にこの場所はユネスコ世界いさんに複合遺産として登録されている。

その要項は以下のとおり。

この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。

  • 人類の創造的才能を表現する傑作。
  • 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  • ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
  • ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。

岩の中に身を隠して生活

カッパドキアは世界の中心(アジアとヨーロッパの中間点)と呼ばれるトルコのさらに中心地点にあたる。

そのため、紀元前から市場の商品や資源を狙って、侵略や略奪を繰り返されてきた。

そんな厄介な略奪者から身を守るため、岩の中に隠れてひっそりと暮らすようになったとか。

この穴居住地は最終的に水源、食物貯蔵庫、ワイナリー、寺院などを含む地下都市へと発展しています。地下都市の中には紀元前にさかのぼるものもあるそうだ。

紀元後には、ローマ帝国からの迫害を逃れた大量のクリスチャンが流入。

この人たちも理由は違えど、身を隠すために岩の中に穴を掘って生活していた。

また、彼らはキリスト教の布教も同時に行った。そのため、カッパドキアには1000以上もの教会がある。

もちろんその中には岩をくり抜いて作ったものも多数存在する。

岩の中の地下都市は2015年にも新たなものが発見されている。

トルコの地下都市の深さは最大で113m。大きさは全体で46万平方キロメートル。

日本が377,900 km²なので、日本よりも大きな大都市が地下の中に広がっていたこととなる。

カッパドキア観光

カッパドキアは広大でまだまだ見るべき場所がある。

気球・トレイルとしたが、この近くにAVANという小さな町がある。そこまでは原付バイクで行くことができて、その道すがら観光すべき道があるのだとか。

ホテルで聞いた内容をメモに取り、外へ行く。

バス停留所のあたりにもレンタルバイク屋はあったけれど、私たちは反対方向へと歩く。

こっちにみためはボロいけど安い店があった。

前日にトレイルした時の道沿いに小さなレンタルバイクの店を見つけていた。

変な場所にあるので、金額を聞くと500円以上安かった。

普通に生活していれば500円なんぞ小さなちがい。

でもこの時の私たちにとって500円は大きかった。

食費にでも酒代にでもできるし、3回分の利用差額を考えれば一泊分の宿泊代にもなる。

ぼろめのバイクを借りると私たちは、カラッカラに乾いた空気と沈む足元の砂を吐きながら、出発した。

そうして、ホテルとバイク屋で教わった通りの行くと、いくつかの奇景に出会った。

細長い石の上に到底乗るはずのない、小さな岩が乗っている。

どう考えても、人の手によって乗せられたと思うが、そうではないのだとか。

これらの奇岩群は、エルジエス山とハサン山の度重なる噴火によってで来たのらしい。

それにしたって、こんな不思議な形にどうしたらなるのだろうか?

ラクダの形の岩も見つけた。

これは結構わかりやすいせいかたくさんの人が見に来ていた。

観光っぽい写真を撮って、AVANの町へと急ぐ。

AVANに何があるってわけでもなかった。

そのまま原付を走らせ続けると、小さな町、AVANが見えた。

AVANは観光客がたくさんいるわけでもない。でもその町並みがなんだか可愛らしかった。

その辺の石を使って作った白い家とか。トルコらしい、カラフルな陶器達がならぶ。

可愛くて、連れて帰りたくなるけれど私たちの先は長い。仮にバッグに入れてもおそらく割って壊すのが落ちだ。

記憶に残すのは無料だから・・・と写真だけ撮ってきた。

1年後の私が思い出しても、ここの商品を持っていてもきっと今住んでいるイビザにまで持ってくる事はできなかっただろうと思う。

トルコ料理

そういえば・・・お腹が減った。

時刻は13時を過ぎていた。

近くのレストランに入ってみる。

ほかに先客はいない。

それでも働いている女性の優しそうな雰囲気が良かったので、そのまま着席。

なんとなく、このチキンカバブと、トルコ風のピザ、じゃあこれで。

と頼むと、「ランチセットで飲み物と前菜もつけられるわよ!」と女性。

「じゃあ、それも。」

と頼むと、次から次へとお皿がテーブルに並んだ。

見た目も美しく可愛らしい彩り。

ヨーグルトや野菜達がきれいに盛られていた。

冷製の前菜料理のことをメゼというらしい。

これをパンにつけながら料理ができるのを待つ。

しばらくすると、肉とトルコ風ピザが出てきた。

トルコのピザは生地が少し集めで長細い。

大きな口を開けなくても食べやすいのが特徴。

どの料理もスパイスが入っていたり、色々な味がしてとても美味しかった。

大きな声では言いたくないけれど、ヨーロッパ料理よりも中東やアジアの方が格段に料理のレベルは上だと思う。

とにかく、焼いただけの肉とか、よくあるパスタだけではなくて、しかもそれが庶民も食べれるような値段で売っているというところが食文化の高さの象徴だから。

食べ終わると私たちはまた奇景を見に次々とポイントを回った。

ウチヒサル

夕方なって訪れたのは、ウチヒサルという城塞。この城は昔からずっと城塞として使われていた。

もちろんこちらも岩をくりぬき、削って作られた建物だ。

城塞までの道にはお土産屋が並んでいる。が、例の如く私たちは目もくれず上へと登る。

バイクを置いてチケットを購入し上へと登る少し高い位置にあるこの城塞はカッパドキアを一望するのにもいい場所とあって、観光客も多くいた。

夜は光が灯されてさらに美しいとかって聞いていたけれど、残念ながら私たちにはバイクを返す時間が迫っていたので諦めた。

ホテルの兄弟達

安宿のホテルに戻るといつも屋上のテラスに陣取る。

ここが一番wifiが強くキャッチできる。

それにお茶もあるからだ。そしてホテルを運営する兄弟達が飼っている猫もいる。

今日もそこには長男と思しき男が座っていた。

彼はいつもそこに座って誰かと話すかタバコを吸ってるかしている。

私と夫の久がそこに座ると話しかけてきた。

長男「今日はどこに行ったんだ?」

久「今日はAvanの町とウチヒサルを見に行ったよ。きれいなところだったね。」

長男「ああ、それは良かったな。ウチヒサルも綺麗だけど、そこからの景色も最高だっただろう?」

私「本当にね、とっても素敵な景色だった。こんな世界私は見たことないよ。」

長男「そうだろう?俺はここがすきなんだ。」

夫「わかるよ、いいところだよな」

長男「だから、俺はこの町からでない。ここでこうやってのんびり暮らしてんだ。こうしてな、仕事もそこそこにしながら、ホテルに来てくれる人間と話してそれで俺は充分幸せなのさ。」

夫「そうか、それはいいな。そんな生活もいいかもしれないな」

長男「また何か見たいもんでもあったら、言ってくれよ。あとお茶、そこにあるだろう?お湯もあるから飲んでいいからな。」

お茶もセルフで誰も気を遣いすぎない。

ゆったりと自分でお茶を入れて、そこで夕陽に照らされながら、考えた。

ここで生まれてここで生きて、ここで死んでいくのか・・・。

多くを望まず、ここに生きると決める・・・?

それは辛くないのだろうか・・・?

夫「ああいう生活もいいよね。いろんなことを望まないでさ。すごい精神力だと思うよ。」

私「ねえ。すごいね〜。」

ああいう人っていうのは、物欲みたいなものも無いようだ。

トルコのお守り

執着

夫はよく話していた。自分には物欲があったし、なかなかものを捨てるとか、そういうのはできなかったから、愛車だったバイクのハーレイダヴィッドソンをこの旅を期に中古で売りに出した時はやっぱり哀しかったと。

私はもともとものすごい物欲があったわけではなかった。

それに執着もなかった。

とにかく、「お金のある人間のお金の使い方」には興味があったし、それ自体は楽しいと思っていたけれど、ハイブランドのアクセサリーとかバッグが欲しいと思った事はほとんどなかった。

それでも、この町から出ない・・・という選択は私にはどうにも現実的に聞こえなくて、自分がそうなる、とは考え難かった。

自分の人生でどこにも行かないなんて考えたことがなかった。

これまで、常に、どこかへ行こうとしてきた。

海外に何かを見に行きたaい。違う刺激が欲しい!と私は東京にいるから、常に真新しいものにも囲まれていたし、すぐそこにアクセスすることもできた。

別にそれがすごいことでもなかったし、そういうものが集まっているのが東京だということも意識したことがなかった。

地方から出ればそういう地方×都心のギャップを嫌でも感じるのかもしれないが、生まれてからずっと東京にいた私には、この男性の話があまりにも自分から離れていて、消化するのに時間がかかった。

とはいえ、そののんびりとして達観したものの見え方はなんとも、潔く感じた。

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