ご飯が美味しくて、空気が爽やかで芸術で溢てて住みたい!と願った地、バルセロナ・スペインを出ると、私たちはフィンランドへと飛んだ。
こんなにも物価が高い国に行くのには、もちろん理由がある。
それは、Carl Ericの結婚式のためだ。
2017年の夏頃に招待状が届き、私たちは震えた。
「やばい、フィンランドだよ・・・しかも、どこ?この場所は。Porvoo?何て読むの?絶対その後ノルウェイでしょ?フィンランドよりも物価高いよ?やばない?」
それでも友達の結婚式に招待されたのであれば、絶対にいきたい。と言うのが私たちの気持ちだし、私たちの流儀だ。
ただし、海外の場合は1年以上前に行ってもらえればの話だが。
物価が高いことに慄きながらもフィンランドへいざ!と到着。
フィンランドの首都ヘルシンキに到着したのは午後1時ごろ。
以前に一人で同じスカンジナヴィアの国、スウェーデンを訪れた時にやっていた安飯を夫H氏に伝授する。
それはスーパーマーケットで買えるサラダバーだ。
生野菜の他に、ピクルスやオイル漬けのオリーブ、チーズやカクテルシュリンプなどがあって好きなものをとってグラムで測り、バーコードシールが出る。
ドレッシングとパンや水を追加で購入して800円。
一人400円。まあ安くはないけど、これはこれで楽しめたかな!
今度はバスに乗ろうと、走った。
H「次のポルボー行きのバスは?」
女性「今よ!」
カウンターで言われた通りにチケットを購入すると、今度はバス乗り場まで走る。
10kg近いリュックを背負い、夫は20kg近い荷物を転がしながら、わっせわっせ!
到着すると、運転手の人がチケットを数えていた。
H「トイレ、行ってきてもいいですか?」
運「いいよ、でももう2分で出発の時間だから急いでね。」
HC「2分!?」
また走った。
トイレに行って戻ると、ニッコリとして運転手が言った。
運「よかったね、間に合った。」
きっと待っていてくれたのだろうけど、このやりとりがなんとも穏やかで、嬉しかった。
なかなか、日本ではこんなやりとりは出来ない気がする。
そもそも敬語が邪魔してくる。
バスに3時間揺られて到着した小さな田舎町、Porvooには2016年にメキシコでの結婚式に招待してくれた、Carl、すなわちCarl Ericの父親が私たちを迎えてくれた。
そして、彼らの泊まっているロッジへ。
彼の祖父母や奥さんとは前にもあったことがあったし、そして一緒に飲んだことも。
そして再会を喜びあう。
「また会えたね。嬉しいよ。元気そうだね。おめでとう!」
「また会えてよかった。来てくれてありがとう!嬉しいよ!」
そんな再会の挨拶を終えると、何を飲む?と聞かれる。
「私たち、ビール・ワイン・ウイスキーを持っているわよ!」と。
そうなのだ。この家族は浴びるほど飲める。
朝まで飲めるし、昼過ぎにはまた飲み始める。
ビール・ワインと飲みながら談笑を続けていると・・・。
ピンポーン!
「あ!ピザが届いたね!」
Carlがすぐに取りに行く。Carlは働き者だ。いつもすぐに腰をあげる。誰よりも早い。もう彼は54歳だと言うのに、大きく構えていることは一度もない。
ピザを一つずつ開けていくとCarlはにっこりとして教えてくれた。
Ca「トナカイのピザ、頼んでみたんだ。食べてね!」
フィンランドに以前に来た時にCarlが作ってくれたフィンランド料理もトナカイだった。
これがまた適度な臭みがあって美味しいのだ。
マッシュポテトと、ピクルス、ベリーのジャムを一緒に食べるのが、こちらのやり方らしく、しかもその日の夕食はその一品だけだった。
それなのにたくさん食べることができたのはきっと美味しかったからだろう。
期待通り、トナカイピザは美味しかった。
夫HとCarlとの出会いは今から10年以上前の話らしい。
Carlは元はH氏の友人で、タイで出会ったらしい。その時の共通の友人が結び合わせたのだとか。
そして、共通項は酒飲み。
その場にいた3人の男性全員が酒飲みで、誰も寝るとか、帰るとか言わないのらしい。
おかしいでしょう?記録は48時間だったらしい。
その数年後、香港にHが行った際にも彼を呼んだらしい。
彼は二つ返事で、香港への誘いに乗った。
Carlのそのステップの軽さに、Hは驚きと好感を抱いた。
そして、その回もまた浴びるように酒を飲んだらしい。彼はカナダ人だけど北欧の人たちと同じくらい酒が強い。
日本に帰ってきても、その酒の匂いが残っているほど、Hはノリノリの状態で帰ってきたのを今も覚えている。
それから数年後、私たちは遂にCarlにFinlandに呼ばれた。
2015年の年末。私は初めてCarl とLine、Carl Ericに出会った。
それは私たちが初めて付き合いだしてから、3年目の冬だった。
もちろん、この回も飲み続ける毎日。犬ぞりにドライブ、真冬のスタンディングバーベキューなんかもして。
その後もこの嬉しい関係は続き、私たちはお互いに遠く離れた場所にいる親友と思うようになった。
そして、今回はCarl Ericも私たちを呼んでくれた。
翌日、大きなロッジのような建物のような場所に連れて行かれた。
そして、式が始まると導かれるままに付いていくと、何もない野原の上に椅子が用意されていた。
屋外結婚式だ。
フィンランド式のパーティーが繰り広げられるのかと思い、楽しみに待っていると、Carl EricとAnが後ろの建物から出てきた。
Anは自分でウェディングドレスを作ったそうで、黒いレースがついた独特なドレスを着ていた。
その細い体にマッチしているようで、美しさが際立っていた。
そのセレモニーにはトナカイの角に、骸骨の骨をクビにつけた人がシャーマンなのらしく、そもそもフィンランド語で執り行われる式の意味は全くわからなかったが、素敵な式だった。
式の前後にはちょっと周りを見渡せばスキットルでウヰスキーを飲んでる人がいたりして。
アリなんだな~とフィンランド人に感心した。
そういえば、そこにはチェロを演奏する人もいたが、トナカイのシャーマンも、チェロも二人の友人なのらしい。
司会も無しだった。
こんなオリジナリティに溢れて、緩いパーティーしたら楽しいだろうな~好きな友達にも着てもらって。最高じゃないか。
建物に戻ると、今度は食事の準備が始まった。
今回のコースはメイン以外はビュッフェ形式。
お酒はビール・ワイン2杯以上は有料としていた。
若い二人だし、それで十分だ。と納得したし、自分たちでこの会場やお食事代を払っていて、ご祝儀やら会費なんかはもらわないんだからかっこいい。
こういう考え方って素敵だと思う。
Hともよく話していたけれど外国の結婚式に行くと、知恵を知っていてうまくやりこなしていると思う。
そうして私たちの席順を見に行ってみると、廊下でボトルからウィスキーを飲んでる若者がいた。酒飲みなんだなフィンランド人てのは。
酔っ払いたい!気持ちが溢れているのが面白かった。
そして、食堂の席に着こうとすると、私たちの席が新郎新婦➡︎Carl・Line➡︎私たちだった。
そこには座るべき人がいくらでもいたと思う。
私たちは友達だから。
なのに、そこはCarlEricもAnも私たちが座るべき場所だとしてくれて、それをそこに座るべき人たちもそれを許してくれた。
それって本当に私たちにとって誇るべきことであり、ものすごい感謝すべきことであり、私たちの喜びだ。
こうやって私たちを大切に思ってくれたからこそ、私たちはここにいることができて、CarlEricとまた会えて、その家族とも会うことができた。
本当にありがたいことで幸せなことで、私は涙ぐんで視界がボヤケてしまうほど嬉しかった。
出席しているその席で、急にそのことを再認識した。
会えてよかった、あなたのおかげでまたあなたの家族との距離を縮めることができて。
あなたにまた会える日を、更に楽しみに思えるようになったよ。
それに、日本にまた遊びに来てくれるのを楽しみにしている。
食事を終えた後私は嬉しくて、気づけば涙を流しながら、Carl Ericにそのことを伝えた。
Carl Ericは若干そこまで・・と思ったのかびっくりしながらも受け取ってくれた。
「ずっと前から決めてたんだ。あそこにはちかと久に座ってもらおうって。
それはAnもAnのお母さんも良いって言ってくれたんだよ。」
と話してくれた。
なんて、素晴らしい家族なんだよ、ありがとう!と伝えると、私たちはまた地下のPubへとお酒を飲むために移動した。
その夜は楽しい時間が0時過ぎまで続き、髪の長いCarlEricの友人たちと夫Hはヘッドバウンディングで距離を縮めていた。
色々と疲労困憊であろう新郎新婦はすでに会からは外れホテルに戻っていたが、この会に私たちが出席したのは、父親CarlがCarlEricの友人たちに「どうしても!」と呼び出されて子供たちと飲むことになっていたから。
こんなにカッコいいお父さんはなかなか出会うことは難しいだろう。
フィンランドを出るその前にCarlの友人Anriに連れられて、Anriの友人宅へ。
フィンランドの郊外に住むその人たちの家は本当に大きくて、優雅な空間だった。
それに、ブルーベリーのホームケーキをご馳走してもらった。
「これは近所に生えてるブルーベリーを取ってきて作ったのよ!」
「今持って来るよ!」
H・C(すごいね、北海道くらいだよね、そんなことやってるの。いや日本も違う野菜とか果物があるけど木ノ実とかじゃないよね。なんかおしゃれな感じしちゃうよね・・・。)
驚きながらもその豪華さに若干の僻みさえ感じそうだった。
しかもその家が、家主の手作りらしいこと(ほとんど2人で作っただんだ!と胸を張っていた)、家を作る間の1年間、週に一回だけ会社に出てくれれば、フルで働いている際と変えずに報酬を与える。との会社との交渉があったことまで教えてくれた。
裕福かよ!
嬉しそうに自慢された。
私たちのように世界一周してる人も少ないだろうからいいけどね!って思ったけど、生活レベルがここまで高いなんて・・・羨ましかった。
やっぱり北欧は違うね。
最先端を行く国と書いたのは、男女平等で税金が高いけれど無料で受けられる福祉関連の内容が充実していること。
それから、国がお金に困っていないのか、それとも会社がうまくいっているからなのか、休みが長く取れたりすることもある
子供が生まれれば、それに必要なキットがプレゼントされたりするし。
男性が育児休暇を3年間とっても職を失うことはない。
大学も無料で行ける。
こんな素敵なことが世界にはあるんだと思うと、憧れてしまうのは無理も無いだろ。
Anriたちと空港で別れると私たちはフィンランド〜スウェーデンを行くパーティーボートへCarlたちと向かった。