2階に降りると、ボーイがいてニッコリとして会釈をして来た。
こっちか、とそのボーイの方へ行くと待ってました。という様に私を案内してくれた。
ホテルのレストランに入り誰もいない食堂で一人席に案内される。
時間が遅かったのだろうか。理由はわからなかったが中は閑散としていた。
ボーイに変わってウェイターがこちらへ来る。やはりニコッとして愛想を振りまく様に笑いかけて来る。
こちらもニコニコすると何カレーがいいか聞かれた。
種類はチキン・マトン・チーズ・豆・ベジタブルミックス。
迷わずにチキンカレーを頼んだ。
マトンカレーも食べて見たかったが東京で父に連れて行ってもらったインドカレーの店では臭みが強く私には難しい味だったのでどうも気が進まなかった。
チキンカレーを頼んだはずだが、ウェイターの彼はまだそこに立ってニコニコとしているので何か用か聞くともう1種類頼めるという。
そこでやはり私はマトンカレーを避けて豆カレーを注文した。
そこで初めてそのウェイターの目がどうもこちらを見ていないらしいことに気づいた。
片目しか見えていない様だった。
カレーを待っている間私は一人の食事が続いていることに少し寂しい気持ちになっていることに気づいた。
一人で食事をすることには確かにそんなに慣れていなかったが、それよりも同じ気持ちで何かを体験する相手がいない寂しさを感じていた。
そこで気休めにビールを頼んだ。
日本で違法でもインドでは関係ない。ウェイターに頼むと喜んでビールを持って来てくれた。
名前はBlue Birdと書いてあった。青い鳥ね〜などとビンのラベルをしげしげと見ていると、下がっていなかったウェイターがまたやはりニッコリとしながらグラスを持てと私に催促し、注いでくれた。
食事はこんもりと乗っていて、美味しかったのだが到底食べれる量ではなかった。
(ウェイター)デザートのアイスを持って来るが、ストロベリーとバニラのどちらにしますか?
(私)ストロベリーで。
数分してウェイターがアイスを片手に戻って来た。
蛍光ピンクのアイスクリームの様に鮮やかな色をしたものだった。
食べて見たところ、イチゴの香りや風味はどこにもなかった。
そして席を立つ時に、ウェイターの彼がやはりもう一度やって来て手を指し出した。
目を見つめると、左目はどうやら何も写っておらず白い目をしていた。
少し気の毒になった私は多めにチップを払って部屋に戻った。
インドは病気の人が多いのか・・・。