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ヒンドゥーとイスラムが融合した幻の都 ファテープルシークリー【アグラ・インド】

ファテープル・シークリーは16世紀にムガル帝国の第3代皇帝アクバルが建てたアグラの約40キロ西に位置する所にある都市。

「勝利の都」という意味を持つファテープル・シークリーはヒンドゥーとイスラムの文化が融合してできた大変珍しい建築様式。さらに戦乱に巻き込まれなかったこと、たった14年しか使われていなかったことで保存状態も良好。1986年に世界遺産に登録されたアグラではタージ・マハルに次ぐ必見の観光スポット。

皇帝の悩みがきっかけで建てられた都

元々小さな村だったこの地を都として発展したのは皇帝のある悩みがきっかけだった。

インド史上最大の帝国の礎を築いた第3代皇帝アクバルには絶大な力があったが、唯一の悩みが子宝に恵まれず世継ぎがいないことだった。

この地に住むイスラム教の聖者を訪ねて相談してみると「5年以内に3人の男子に恵まれる」との予言を貰い、その予言通りになったことから、その聖者への感謝の意味を込めてこの地に都を築いたという。

5年かかって都を築き、その当時、西インドを制圧したことから「勝利の都」と命名。しかしたった14年で都をラホールに移し、この地は放棄されてしまう。理由は諸説あるがは暑さと給水が上手くいかなかったことが大きいと言われている。

ファテープル・シークリーの見どころ

モスク地区にある門の模様

ムガル帝国はイスラムの国だが、領土を拡大するにつれ多くの異教徒を抱えることになった。当然このあたりはヒンドゥー教徒が多くいる土地。

アクバルは力で押さえつけるのではなく融和を目指し積極的にヒンドゥー教の人も要職につけ、建築様式にも取り入れる。そうして出来上がったのが、ファテープル・シークリーでイスラム様式にインド古来の建築様式を取り入れた様式は大変珍しく文化遺産として重要視されている理由。

地面においてある石は全てお墓

ファテープル・シークリーは「宮廷地区」「モスク地区」に分かれており宮廷地区にはイスラム建築特有のアーチやドームが一切使われていない。アクバルはこの地でインド古来の木造建築の様式を石造りで取り入れた独自の新しい文化を生み出した。

パンチ・マハル

パンチ・マハルは壁がない柱と床だけの5層の楼閣で侍女たちの館だった。当時は石掘りの透かし壁がついていたという。

ディーワーネ・ハース

謁見の間。真ん中にそびえているのが皇帝の玉座で謁見者が真上を見上げるところに位置している。皇帝の力の大きさが伺える。

ジャマー・マスジド(金曜モスク)

毎週金曜になると多くのイスラム教徒が礼拝に訪れる、インド最大級のモスク。回廊の柱などにヒンドゥー様式が見られる珍しいモスク。

サリーム・チシュティー

周りの建物全てが赤砂岩で出来ているので美しさが際立つ。この霊廟にはファテープル・シークリーがこの地に建てられるきっかけとなった聖者が眠る廟で、子供を授かりたいと願う女性が巡礼に訪れる。

最後に

14年で放棄されたかつての都は戦火にさらされることなく綺麗に残っている皇帝アクバルが残した宗教融合の証。タージ・マハルから40キロと離れているが、旅程に組み込んで損はない場所だ。

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