ブラジルの祭りと言えばリオデジャネイロで行われるリオのカーニバルが有名だが、それに次ぐ規模の祭りがアマゾンで行われているのをご存知だろうか。
毎年6月末に行われるこの祭りは8万人規模で人が集まり3日に渡って行われる。
この祭りが面白いのは、かなりの規模であるのにもかかわらず、アマゾナス州に住む人以外にはあまり知られていないことだ。
実際に行ってみてほとんど海外からの観光客がいないことに驚いた。そんなユニークなアマゾンの奇祭「ボイブンバ・フェスティバル」をご紹介。
■目次
アマゾナス州にある人口12万の町「パリンティンス(Parintins)」で毎年6月末に3日間ノンストップで行われるお祭りボイブンバ・フェスティバル(Festival do Boi Bumba)。
赤組「ガランチード(Garantido)」と青組「カプリショーゾ(Caprichoso)」の2チームがパリンティンスにあるスタジアムで、毎日チームごとに3時間ずつアマゾンの民族文化をテーマに歌と踊りと巨大な山車で競い合う。
世界最大の野外オペラと称され、一度死んで生き返った雄牛をテーマにチームごとに違った解釈のストーリを展開していく。
また期間中は街全体が赤と青の2色に分かれ、このお祭りのために生きてると言っている人がいるくらいで、お祭り期間中は、何時でもいたるところでお祭り騒ぎが行われる。
ショーは毎日ひとチームごとに3時間の合計6時間あり、ショーを公平に判断するために厳選された審査員たちによって、どちらのショーが優れていたのかジャッジされる。
勝敗を決める判断基準の中に観客の盛り上がり具合もあり、自分が応援するチームのショーの間は、応援団長の指示に従って、全員で汗だくになりながら叫び踊る。
日中は暑すぎるからかショーが始まるのは夜9時くらいから。しかし町は朝から盛り上がる。
ショーが終わるのは夜中なので、文字通り3日間ぶっ通しで騒ぎまくる。毎日朝から夜中まで盛り上がるブラジル人たちに圧倒されぱなしだった。
スタジアムに入るには2通りの方法があり、ひとつはショーを真正面から見れるVIPスタンドのチケットを購入し入る方法。チケットの値段はそれなりに高額だったので筆者たちは断念した。事前に購入すれば少し安くなるらしい。
もうひとつは無料で入れる観客席に並んで入る方法。横からショーを見ることになるのでちゃんとは見えないが、勝敗を左右する応援に参加できる。
ただしとても人気なので、スタジアムに入るために数時間は確実に並ぶことになる。応援するチームによって入り口が違い、応援チームと逆の色の服を着ていると入場させて貰えない。
テレビ中継されるのでスタジアムの外でも見れるが、絶対に最低1度はスタジアムに入ることをお勧めする。筆者たちは3日間ともしっかり並んでスタジアムに入った。
ショーが3時間近くととても長いので、自分の応援チームの時しか見ない人がほとんど。先行の場合はそこそこの時間で終わるので良いが、後攻の場合は終了時間が夜中になるので覚悟が必要。
マナウスからパリンティンスへの行き方で一番リーズナブルで一番ブラジルっぽさを味わえるのがこれ。
大きめの客船で、マナウスからずっとどんちゃん騒ぎしながら、1日がかりでパリンティンスへ。その船が祭りの期間中パリンティンスの港に停泊し、そのままホテルになる。また帰りも1日かけてどんちゃん騒ぎしながらマナウスへ戻る。
船にはクラブやバー、生バンドの演奏などがあり移動中ずっと盛り上げる。
豪華客船などでは決して無いので値段はとってもリーズナブル。客室なんてものもなく、船を宿泊施設にする人はハンモックを吊るし、そこで祭りの期間3日間と往復2日の合計5日間そこで寝ることになる。シャワーも水しか出ないが完備。
ブラジル人が恐ろしいのが、最後のショーが終わり朝方に帰ってきてやっとのことで寝ると、次の朝8時くらいにはもう爆音で大騒ぎを始めることだ。一体何時寝ているのだろう…
筆者たちは朝8時くらいに爆音で起こされ、落ち着く昼くらいに一度昼寝をし、夕方ショーを見るために並ぶのを3日間繰り返した。
祭りが終わりマナウスに帰った時にはフラフラだった。もちろん行き帰りだけ船を利用してパリンティンスでホテルに宿泊するのも可能だ。
祭りが近づくとマナウスの港にはたくさんの船が並びそのほとんどがパリンティンスに向かう。
どれか気に入った船を選び、そこでチケットを購入するだけだ。ただ筆者たちはポルトガル語ができないのでホテルの人に付いてきて貰った。
筆者たちが購入したチケットはマナウスからパリンティンスの往復とお祭り期間中の宿泊セットで一人250レアル(約7300円)だった。行き帰りの食事付きでこの値段。
船が決まったら出発前日に船に行き、自分の寝床を確保しよう。もしいい場所が取れなくても大丈夫。
何割かの人はパリンティンスでホテルを取り宿泊するのでパリンティンスへ着いてしまえば自分の好きな場所にハンモックを吊るし直すことが可能だ。
ハンモック船でマナウスについて、数日滞在してサルバドールへ飛行機で行く予定だった筆者たちだったが、お祭り期間中が原因なのか飛行機代がとても高額で、宿泊先の陽気なブラジル人から「それだったら絶対にこのお祭りへ行ったほうが良い。」と言われ、なんとなく行ってみた。
しかし行ってみてびっくり。マナウスから何艘もの船がパーティーをしながらパリンティンスへ向かい、小さい町がすごい量の人でごったがえしていた。
アマゾン地域だけで流行っている独特な音楽で人々が踊り狂い、スタジアムは毎夜凄い熱狂だった。
もう一度行きたいかと言われればNOだが、このお祭りは14ヶ月世界中を旅した中でも最も思い出に残っている数日間だった。これを見て興味が湧いたら是非行ってみて欲しい。きっと一生の思い出になるはずだ。