スリランカ中部の街「キャンディ(Kandy)」は周囲を山に囲まれた盆地に位置し、イギリスが植民地支配するまでの300年間もの間シンハラ王朝の都として繁栄した、日本で言えば京都のような古都。
現在でもコロンボ首都圏に次ぐスリランカ第二の経済圏の中心都市。街全体が世界遺産に登録されており、歴史ある建物が並ぶ。街の中心には仏陀の犬歯を祀る「仏歯寺(佛歯寺)」があり、仏教徒が多いスリランカで聖地として人々の心の拠り所になっている。
また標高も他の都市と比べて高く涼しいことからスリランカの裕福層には避暑地としても人気。
さらにキャンディはスリランカの古代遺跡や文化財が集中するエリア「文化三角地帯」に位置し、スリランカ観光でのハイライトとなる遺跡などへ日帰りで行ける観光拠点にもなる。
スリランカを訪れたら必ず訪れたいキャンディの魅力とそこから日帰りで行ける外せない観光スポットの情報をご紹介!
■目次
キャンディが聖地たる所以はこのお寺。正式名称は「ダラダー・マーリガーワ寺院」と言い、仏陀の犬歯が奉納されているスリランカの仏教徒にとってとても重要なお寺。
1日3回あるプージャー(仏への礼拝)の時には仏歯が納められている祭壇が開き仏歯が入った黄金の豪華な入れ物を見ることができ、その時は観光客と地元の人で大混雑。
仏歯がある本堂は2階建てで祭壇が各階にある。その他にはたくさんの仏像が安置された、仏教と仏歯寺の歴史がわかりやすく説明つきで描かれた絵がある部屋などもある。
他にも広い敷地内にはシンハラ建築の八角堂やペラヘラ祭りで長い間活躍した象の剥製など、ゆっくり見たら半日はかかるくらい見どころたくさんのお寺。
毎年エサラの月(スリランカ暦/7~8月)の新月から満月にかけての約10日間にわたって行なわれるお祭り。ペラヘラとはシンハラ語で行列を意味する言葉でアジア三大祭の1つとされ、仏歯寺に奉納されている仏歯を納めた舎利容器を象の背中に乗せて町中を練り歩く。
それを中心に、大きさや牙の長さなどによって選び抜かれた100頭もの着飾った象たちの行進とキャンディアンダンスなどの様々なスリランカの伝統舞踊や伝統音楽のパレードは圧巻である。
ペラヘラ祭り自体はスリランカ各地で行われるが、エサラの月(スリランカ暦/7~8月)のキャンディのものは最大規模である。ちなみに規模はキャンディのものより劣るがコロンボのベラヘラ祭りは2月の満月の日行なわれる。
町の中心に大きく広がっている湖がキャンディ湖。19世紀にキャンディ王国最後の王によって12年もかけて作られた人造湖である。
湖の中央に浮かぶ小さい島は王室のハーレムとなっており王宮と地下通路でつながっていたと言われている。湖の周りの遊歩道は散歩に最適で、様々な野鳥、白い亀や都会の湖とは思えないほどの巨大なトカゲを見ることができる。
夕暮れ時はとても美しく、仏歯寺から聞こえる祈りの声を聞きながら多くの人が夕涼みをしている。
この地に伝わる伝統舞踊なスリランカを代表する芸能。綺羅びやかな衣装を着たダンサーが打楽器などのリズムに合わせたアクロバティックな踊りや、スリランカ美女たちの華やかな舞、伝統的な仮面をつけた悪魔祓いの踊りやラストはファイヤーダンスなど盛りだくさん。
ペラヘラ祭りの時にも見ることができるが、仏歯寺のすぐ裏にキャンディアン芸術協会というものがあり毎晩公演している。ダンスのクオリティーも高く多くの観光客が訪れるので事前予約が安全。
14世紀にパラクラマ・バクー三世が妻のために作った庭園で、それがイギリス占領下の1821年に植物園として開演。
東洋一大きい植物園と言われ植物の種類は約4000種類、総面積5.6kmもあり1日では回りきれないほどの広さ。著名人により植樹が植えられていることで知られており、例えば天皇皇后両陛下のほか、ユーリガガーリン、クイーンエリザベス、エドワード7世など錚々たるメンバー。
また150年ほど前にインドのアッサム茶がこの植物園に植えられ、そこから紅茶栽培が始まったことからスリランカ紅茶発祥の地としても有名なんだそう。
中央が吹き抜けの3階建ての建物がキャンディマーケット。中にはたくさんの店舗がひしめきあっていて、1階は食料品で、果物、野菜、肉、魚、スパイスなどのお店が並ぶ。2階は衣料品で革小物、服、サリー、鞄など。3階は主にお土産風なものを扱っているお店が並んでいる。
観光スポットにもなっているが、庶民の為のマーケットという色が強く、売っているものがスリランカ独特のもので面白い。
建物の外にもお店は広がっていて果物や野菜を売っている露店がたくさん並ぶ。朝から昼くらいまでがメインなのであまり遅いとお店が閉まってしまうので早めに行こう。
コロンボからキャンディへの行き方は2通り、バスか鉄道。お勧めは断然鉄道だ。レトロな列車の車窓から見えるスリランカの自然はとても美しい。
ローカルな気分も味わえ、それ自体が観光になってしまう。筆者はスリランカがきっかけですっかり鉄道旅行にハマってしまった。ちなみにキャンディまで2等級で190ルピー(約130円)と激安だ。所要時間は列車によって違うが約3時間。
コロンボからの鉄道の乗り方はこちらを参照。
バスもコロンボ・キャンディ間は頻繁に出ていて、コロンボ・フォート付近のバス停から乗ることができる。バスの場合は時刻表がない。バス停に行くと行き先を叫んで呼び込みをしているので、キャンディと叫んでいるバスを探そう。
もしくは、その辺りの人に「キャンディ?」と聞くと必ず教えてくれる。料金はエアコンなしのローカルバスで130ルピーくらい、エアコン付きだと値段はローカルバスの倍くらい。キャンディまでの所要時間は約3時間。
また大きい荷物を持っている場合、エアコン付きのバスは荷物を座席にしか置けないので、荷物も一人分として別に料金が発生するので注意。
キャンディはそんなに大きな町ではないので、もっぱらスリーウェイラー(トゥクトゥク)。
ただしコロンボのスリーウェイラーのようにメーター付きは走っていないので乗る前に交渉が必要。ホテルの人などに聞いて大体の相場感を掴んでおこう。
スリランカには文化三角地帯と呼ばれ、キャンディ、ポロンナルワ、アヌラーダプラの3都市を結ぶ三角形の中に重要な古代遺跡と文化財が集中しているエリアがある。
スリランカ観光でハイライトとなる遺跡や紅茶の産地ヌワラエリヤへキャンディから日帰りで簡単に行けてしまう。そんなキャンディから日帰り可能なお勧め観光スポットをご紹介しよう。
キャンディから車で約3時間。スリランカ観光のハイライトと言ったらこれ、シギリヤロックだ。高さ200メートルの巨大岩の上に作られた王宮の遺跡。スリランカで人気No1の世界遺産。
スリランカ最大の石窟寺院。黄金の岩と呼ばれる巨大な岩山に5つの石窟寺院が掘られており、153体の釈迦像と3体のスリランカ王像、4体のヒンドゥー神像が祀られいる。また、石窟の天井や壁は壁画で埋め尽くされていて、その総面積は2,100平方メートルにも及ぶ。
ポイント:シギリヤロックとダンブッラの石窟寺院の2つはあまり離れていないので、同じ日に行くことが可能。
キャンディから車で約2時間のヌワラエリヤは高原地帯に位置し、年中暑いスリランカにおいて一番寒い地域。その気候を活かした紅茶(セイロンティー)の産地として有名。ティーファクトリーで美しい茶畑で茶摘みする様子が見れ、紅茶の精製の工程の見学や本場セイロンティーの試飲、購入ができる。
キャンディからから車で約1時間。1975年にスリランカ政府の野生生物保護局により創立された施設。迷子や親をなくしてしまった象を中心に保護している施設で、50頭以上の象の水浴びなどを見学するこができる。人間の保護下にいる象の群れとしては世界最大だそうだ。
キャンディは仏教徒にとっての聖地でもあり、街自体が世界遺産で歴史的な建物が立ち並ぶ美しい街並み。
コロンボからキャンディへ向かう列車から見える風景も素晴らしく、その上文化三角地帯の一角でスリランカで特に重要な遺跡やイロンティーの産地ヌワラエリヤへも日帰り可能な好立地。スリランカ旅行では外せない街のひとつだ。