階段のような坂を登っていくとそこにはリゾートらしい看板とレストランが連なっていた。
ここがメコン川にある島、Don Det(ドンデット)だ。
自然味溢れる階段とのギャップに若干驚いたが、島を歩いてみると高床式の家がいくつかあり、川沿いにはレストランが続いた。
ホテルまで1kmほど歩いたがこれと言って目立ったBARなどもなく、とにかく細い道が続き、地元の人たちは静かに私たちを見守るだけだった。
ホテルはとても綺麗で今まで泊まっていたあの手作り宿とは比べもにならないほどに整っていた。
それでも5〜700円ほどの違い。1,000円といくらかで清潔で余分のあるスペースをもらえるということだ。申し分ない。
そして恒例の散歩に出かけた。
歩いても歩いても特に景色は変わらず、たまに牛がいて、田んぼの近くにある釜に入ってる水で親子が水浴びをしているのを見た程度だった。
H氏「綺麗なところだね。」
C「そうだね。・・・。でもそんなにカンボジアと変わらないかも?」
H氏「確かにwこうやって擦れていくのかな?」
C「かもね、でも仕方ないよ、そんなに変わってないもの。それにカンボジア人の方がフレンドリーだった。」
H氏「そうかもね、何だろうね、あの明るさは。でもラオスは静かな国っていうし!」
C「うん、まあ。。」
このあとディナーに出掛けたが特段これといった発見もないままに過ごした。
ある一日は自転車を借りることにした。
旅ではバイクを借りることが多いが、ここではそこまでいく必要も無いようでどこの店でも自転車を貸し出していた。
その自転車はよくいうママチャリで、漕いでもあまりスムーズには進まなかったが歩くよりは楽だった。
地面はもちろん舗装されていない。踏みつぶされて固くなった砂利道だった。
Don Khoneという島へと向かった。
この島はDon Detとの間をフランス人が作ったフレンチブリッジで繋がれている島だ。
Don detよりも大きいのにも関わらず陸からのアクセスが悪いために開発が進んでおらず、現地人の方が多い。
Don detよりも人が多いため小学校や中学校の子供達も多く、そこら中に子供が溢れていた。
そしてカンボジア人同様に元気よく挨拶してくれた。(子供について強調してしまうことが多いが日本で見る子供を持つ親に関するひどいニュースを記憶しているせいかもしれない)
ここの子どもたちは「Hello!!」とはいわず、「サバイディー!」と声をかけてくれた。
後からわかったことだが、ラーオ語の「こんにちは」だった。
かなり濁った音で発音するらしく、「ザバイディ゛ー」と全ての音に濁点がついてるような発音だった。
男性だけかと思いきやこれは若いお姉さんであってもそうだった。
Don Konhには公園があると軽い情報は聞いていた。
そこに着くと看板がありいくつかの写真があった。公園内の写真と合わせては滝の写真が載っていた。
とても大きな滝のようだったので入場料を支払い入ってみる。
自転車の入場は禁止とのことでここからは徒歩だ。
しかし入園してみるとまず見えてきたのはなぜか「←BEACH」「Waterfall→」の文字。
ビーチ?海はないはず。と好奇心に任せて左へと進む。
行く道には水牛がいてたくさんの竹生えている。
まっすぐにまっすぐに進んでいくと急にバーが現れた。
バーに用はないのでそのまま突き進む。
すると、ビーチが現れた。
こんなところに!?と思うような出現の仕方である。
ゴツゴツとした岩に囲われ、その内側に少しの水が溜まっており、砂浜がある。
近くにはバンブーハウスも建ててあり、人は私たち以外にいなかった。
驚きである。
以前にH氏はイギリス人の友人から「ラオスの南はまだ未開拓な場所」だと聞いていたそうだ。
なるほど、こういう場所があるから未開拓地と呼ばれるのかと納得した。
まるで人がいなかったので持参したウェディングドレスに着替えて記念撮影もした。
大勢観光客がいる中でやるのはどうにも気が乗らなかったのでやっと来たチャンスだった。
何枚か記念撮影をしているうちに他の観光客も現れて、彼らはビーチらしくビーチベッドに寝そべり始めた。
なぜだかこういう場所には白人しかいない。アジア人が多くいる場所を目指していないので必然かもしれないが本当にアジア人(日本人を含む)はほんの一握りだけだ。
そのあと、さらに公園内を散策して、第一目的であった滝を見にいく。
滝の方は矢印がなくても轟音により場所を見つけることができた。
どうやら私たちは滝から順々に下りながら見るところを、ビーチを先に見たために滝の下る方向とは逆に登りながら滝を見ることになった様だった。
滝は激しい音と飛沫をあげる。
両手に収まりきらないほどの大きな滝だが、大きな岩がいくつもあり、その岩に当たって水の方向が変わる。
飛沫をあげ、向きを変え、そして落ちてく。
H氏は滝を眺めると水がこんなにも大量に流れているのによく無くならないものだと思うそうだ。
確かにどれだけの水が流れているのだろう。とにかく大量の水だった。
滝を見終えると、さらにDong Konhを散策した。
小さな家があり、田んぼがあり、牛やら豚鳥たちと目があう。こちらを見ている。
地元の人たちは無反応だった。
さらにいく。深いところへ入っていくと、矢印があった。
また、Waterfallだ。
自転車を降りて歩いた。
入場料を取られるのかと思いきや、ここでは何も取られなかった。
とにかく道らしい細く葉の茂みがハゲた部分を歩いていく。
石がゴロゴロと転がっている場所も抜けていく。
すると、人が持って来たと見られうる木がある。
小さな川の岸と岸に木を掛けている。
人がいた気配だ。
何だろう?さらに進んでいく。川に少し着水し足元に注意しながら進んでいく。
頭をあげて見ると、滝の中には木でできたアスレチックの様なものが。
先ほどの滝よりもダイナミックに水が弾ける。
よく見てみるとほとんど裸の人間の姿が見えた。
木で作ったアスレチックの上を行ったり来たりしながら時折縄を締め直している。
さて、ここで何をしているのか。
じっと見ていると後から2人の男がやって来て、1人が洋服を脱ぎ捨てパンツ一丁に。
そして、川へガツガツと進んでいく。
川の流れを見つめ、何かを叫びながら進んでいく。
そして!アッと思った時には彼はすでに全身を川の中へと預け姿が見えなくなっていた。
じっと見ているとそのまま向かいの岸で顔を上げていた。
こちらに残っているおじさんがこちらを見て「なかなかやるだろう?」という様な顔で見てくる。
まず普通の人間が入る様な水流の早さではないが、易々と泳いで行ってしまった。
そして残っていたおじさんもそのあとに続いて今度は小舟に乗っていく。
小舟になんか乗ったらそれこそ流されてしまう。。と思っていたが、彼も同じ様に器用に水の流れをよく見て棒と体を使いながら向こう側へと渡る。
ササっと岸へ登ると積んでいた縄や木を下ろして大声で何かを支持すると、男たちはまたそれぞれの作業に入る。
これを作る前は何もなかったはず。
恐らくはここを自分たち専用の漁場にしようということだろう。
男たちは裸同然で日々ここに通っては漁場を整備している様だった。
もしかすると黙っていても魚がかかる様な装置でも作っているのかもしれない。
男たちはニヤニヤとタバコを吸いながら話し込んでいた。
そのたくましい体つきと軽やかな身のこなしにいつまで見ていても飽きることがなく、見惚れてしまうほど長い時間それを眺めていた。
しばらく経って陸へ戻ったがやはりここで何も求められることはなかった。
未開の地はこういう部分かとさらに納得した。
あとにH氏が調べたところによると、この滝の毎分の水量は世界でも1、2を争うほどの水量で激しいでは片付けられないほどのものだったことがわかった。
安全柵がないことも、滝までの道が舗装されていないことも入場料がないこともこの国がまだまだ観光地として開発されていないことを示していて非常に面白い場所だと気づいた。
そして関東で代表にされる滝の一つに華厳の滝があるかと思う。
あの滝も頭の中で柵を無くして、床を周りにあるゴツゴツした岩に変えてしまうとどうだろう?なるほど、そういう美しさかぁ。と納得してしまった。
人口的なものに囲われてしまうことで便利になり、たくさんの人がその姿を拝むことができる様になるが、反面その美しさや儚さや荘厳さは失われてしまうものらしい。
自然を見るときは人工物を頭の中で消さなければならないようだ。