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“The Travel Story 51” -交差する三つの国- 【ペルー・コロンビア・ブラジル】

ペルー・コロンビア国境

これまでは陸路越え、が”旅っぽい”なんて、私たち二人の中でささやかれていたが、今回はなんと川越え!だ。

しかし乗船の前に私がどんな船を想像しただろうか。

いや、想像などしていなかった。

この船に乗った。 見た目はよかったんだけどな〜

とにかく、チケット売り場では「エアコン・トイレ付き」としか聞いてない。

豪華客船がこのアマゾンにあるわけなかろう。

とにかく10時間くらいで到着するんだ。

それだけわかっていれば十分、我慢だ。

しかし、ベンチは古いパイプ椅子の様なものだった。

長く座れば座るほどお尻と腰が痛くなる女を泣かせる仕様。

この濁った色がアマゾンの色

それに、トイレなんか汚物の匂いが充満し誰もが入りたく無いレベル。

だったが、こんなのアジアからずっと続いてる。

この旅で私は息をしないで用を足す術を身につけた。

波も高くガタガタと揺れ、動いてないのに疲れる10時間を超えると、今度は船タクシーの群れと大きな幽霊船の様な船が待っていた。

スタッフ「ここでこの船は終わり、あっちに行ってスタンプをもらいに行って!」

グイグイと進む。

数人のおじさんたちが

「Leticia? Santa losa? TabatingaI?」

いきなりいくつかの場所を聞かれたが、レティシアだけはわかった。

「あ~Leticia !」と言うと、おじさんが私にこいこい!こっちだ!と言う。

勢いが凄すぎて怖気てHに助けを求める。

心細い気持ちになる景色が見えた

C「この人がレティシアって言ってて、付いて来い的な感じなんだけど・・・」

H「え?」

気付いた時にはもうそのおじさんの船に乗っていた。

ああ、懐かしや、ラオス メコン川。

小さくて、古臭くて、屋根が低くて動きにくくて、アンバランスでいまにも沈没しそうな小舟に乗ると「イミグレーション!ペルーイミグレーション!」

と言われ、小舟から下された。

ユラユラ揺れて沈みそうで沈まない小舟で

ペルーイキトスのイミグレーションオフィス

ああ、そうか。この後はコロンビアに入るんだった。

これから行く街はレティシアという街だが、この街はペルーのサンタロサという街と、コロンビアのレティシア、それからブラジルのタバティンガという3つの国が接合している場所だった。

出国審査を終えると続けて、おじさんがレティシアに連れて言ってくれた。

さあ、ここからがコロンビアだぜ!という感じで私たちを下ろすと、一緒にコロンビアのイミグレーションまで来てくれた。

コロンビアのイミグレーションがまた、すごい。

いや、なぜここにしたの?すぐそこ陸地じゃん。

見よ。これがコロンビア レティシアのイミグレーションである。

アマゾンの川の上じゃあ~ん!

右側の白い建物がコロンビアのイミグレーションオフィスだ。

そう、この適当な板を橋渡した先にあるものがイミグレーション。入国審査のオフィスだ。

入国審査って言っても特に審査されるようなこともない。

どこから来て、何人かわかれば日本人ならだいたい入れるんじゃないか。

入国審査オフィスのコロンビア人は私たちのパスポートを見て聞いて来た。

「Japonese?(日本人?)」

「Si !(はい!)」

わかるとケラケラと笑いながら奴が言って来た。

「明日の朝はコロンビアと試合だろ?そうだろう?」

そう、2018年6月といえばワールドカップの真っ只中。

ひ弱な一枚板の橋が渡っているのが見えるだろうか?

コロンビアと日本は同じリーグでリーグ戦初の戦いだった。

コロンビア時間で午前7時(日本時間の午後9時)、キックオフだった。

バカにしてケラケラと笑う審査官を見て、ニヤリとするHが一言。

「そうだったな、明日は試合だ、コロンビアに幸運を。」

「キャッキャっっキャッキャ!サンキューギャハハハハハwwwwww」

大爆笑で返答する審査官。

まさかこの試合で日本にコロンビアが負けるわけない

日本人だって、大会1ヶ月前に監督が変わってしまうような状況だから、きっとうまくいかない・・・。と思っていただろう。

日本 vs コロンビア戦 サッカーワールドカップ2018

6時半。目を覚ますと体が重かった。風邪の初期症状だ。

でも、まだ元気、私は大丈夫。7時過ぎると無理やりながら起き上がりホテルのダイニングに出た。

宿泊者のほとんどが起きているようで、みんなでテレビを囲んだ。と言っても4人だけだけど。

私が起きてテレビの前に座ったときにはもう、点数が入っていた。

0-1

C「え!?」

Col 0-1 Jap

C「え~!!!!勝ってんじゃん!」

誰も私の言葉を聞かない。残念ながらみんなはコロンビアを応援している。ここはコロンビアだしね!

しばらくして隣に座っている男の子が声をかけて来た。

朝7時各国の宿泊者と一緒にテレビにかじりついた

男性「日本人かい?」

C「うん、日本人、日本が勝ってるね。」

男性「僕はコロンビアを応援してるんだけど、日本は頑張ってるね。すごいよ。」

 C「私もびっくりしてるよ、日本勝て!」

男性「それはどうかな、コロンビアは強いからね!」

先制点を取られたコロンビアは死に物狂いで一点を狙っているところだった。

ところが日本もこの試合は負けたくないと強気。

コロンビアが取ったボールをどこからでも取ってやろうとボールの周りには常に3人~4人の選手がまとわりつく。

いいぞいいぞ、なんだか調子がいいのがわかる!

名前を知っている本田や長友、川島、岡部、ベテランの選手が多く出ていた。

俄かファンである私ですら感じるその積極的な動き。

コロンビア選手が嫌がっているのが良くわかる。

これはいけるんじゃ無いか・・・・?思っているとHが出て来た。

H「なんかだるい。熱っぽい。」

C「大丈夫?今日は出国スタンプもらいに行かないといけないでしょ?いける?」

H「うん、なんとか行けるよ。」

話していると「あ!!!」

日本のファウル!コーナーキックが決まってしまった。

周囲「Yes!!Bueno!!Colombia!! VIVA! Colombia!」(いいぞ!コロンビア!行け!コロンビア!)

前半では、1点を許し、後半戦が始まる。

引き分けでPKなんてなったらきっと勝てないだろうな。きっとコロンビアの方が上手い。

パッと横を見ると、さっきの男の子と目があった。

男性「日本もなかなか頑張ってるね~相変わらず。」

C「日本は勝つと思うよ、まだわからないけど。」

男性「そうかな~まあ、日本は今選手が1人多い状態だからね、あるかもしれないよね」

C「え。。?そうなの?」

男性「始まってすぐにコロンビアのファウルで一人退場してるからね」

C「そうなんだ~じゃあ、チャンスはあるな。」

男性「それでもコロンビアが勝つと思うけどね!」

C「それはどうかな~」

言ってる間に日本がもう一点入れた!

C「あ!やった!やった!?え?やったよね?」

コロンビア人全員「・・・・・・・」

コロンビア応援団は沈没。何も言ってくれなかった。

日本はなんと2点目をヘディングで決めた。

そのまま日本の強固なディフェンスの末、コロンビア戦は1-2で日本が勝利した。

男性「すごいじゃん、日本は頑張ったね(拍手)」

C「ありがとう!今日はいい日だよ!」

外ではパレードが始まっていた。負けてもパレードしちゃう、ビールかけもしちゃう、陽気な国、コロンビア。貴重な体験をさせてもらった。

どこまでもどこまでも水上の家が続いてるよう
持っていった荷物の検査はコロンビアでは無かった・・・。

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