スリランカ 到着
オーストラリアを出るときはやっぱりこのあと旅への不安が募っていた。
それはオーストラリアにいる間に下調べが十分にできてなかったことにあった。
単純に毎日いろんなものを見せてもらっていたから。
そしてスリランカに到着してすぐにトイレに寄った時、「あぁ、久しぶりに戻って来た!ゆるさ全開のアジアに。」とため息が漏れたのは、国の玄関口の空港でありながらトイレのペーパーが丸っきりなかったからだ。
その緩さに安堵を感じながら、「また、始まったんだ。」と一瞬身が引き締まった。
スリランカの空港についてまず「?」になるのは家電屋さんがあること。
「スリランカ帰って来た〜!ただいま〜!洗濯機買おっかな〜」って誰がなるねん!のツッコミ待ち的な店構え。
まあ、いろいろあるよね!と流しながら外に出るとタクシーの行列へ。
客引きに走ろうとたくさんのおじちゃんたちが声をかけてくるので
Chika「いらない!いらない!」
Taxi「なんでよ、乗ってよ、高くないよ!」
C「いくらなの?」
T「いくらなら乗る?」
C「そうね、バス停はあっち?」
T「コロンボ行きかい?あっちだ」
C「ありがとう!じゃあね!」
T「あ・・!あ〜ちょっと、ちょっと待ってよ〜!」
C「いらないってば」
となんか嫌にならない押し問答が繰り返される。
スリランカのタクシーの運ちゃんたちはなんか憎めないちょっと素直すぎて間抜けな感じがある。
なんとか人だかりのあるバス停を見つけバスの到着を待っていた。
5分ほどするとバンが到着。
周りで待っていたたくさんの人が我先にと入口へと急ぐのだ。
要は中国なんかと同じで並ぶという文化的な習慣がない。
こうなると私も大阪のおばちゃんと化して誰にも負けないと炎を燃やす。
燃やした炎は少しも無駄にせず、希望通りにバスの入り口までたどり着き、一本めのバスに乗ることができた。
バスの中からはほとんど何も見えず車内が暑いというこの2つ以外は快適で。インドのような危険な雰囲気はない。
とにかくボラれないように、騙されないようにとホテルに向かう。
コロンボに着くとトゥクトゥクドライバーに声をかけられた。どこに行きたいのかと。
ここに行きたいのだと話すと、1200スリランカルピーだという。
C「高くない?たったの7kmでしょ?」
Taxi「いや、高くない。遠い。ここは遠いから。」
C「でも7kmだよ?10kmない。他のドライバーはどうなのよ、ちょっとあなた、ここまでいくら?」
Taxi「ああ!ダメだよ、この客は俺のなんだから、手を出すな!」
他のドライバーは笑って行ってしまった。
C「あ、そう。。。」
Taxi「いくらならだすんだ?」
C「1000くらいじゃない?それならまだ出してもいいよ。」
H「そうだな、それくらいならまだいいな。」
Taxi「いいだろう、じゃあ1000で行こう。」
渋々だけど結局こちらの言い値で決まった。
観光客だからと彼らに金額を決められると日本人だからってだいたいぼったくられるというイメージが抜けずに交渉はかなりギリギリのラインまで攻める。
これで日本人はケチだというレッテルが貼られたら申し訳ないが、世界でボラれる(騙される)日本人の数に比べたら少ない方ではないだろうか。
そして30分ほど走らせて、到着するとドライバーが唸るように言ってきた。
Taxi「やっぱりすごく遠かったから1200スリランカルピーくれよ。頼むよ。」
H「お前がいいって言ったんだろう?俺たちどのくらい遠いかなんて地図でしか知らないし。」
と結局1000ルピーだけ払ってホテルへ入った。
Mount Lavinia
到着はちょうど正午の頃だった。
部屋を確認するとそこには冷房はなく天井に大きなファンがぶら下がっているだけだった。
涼しそうだ。
スリランカではホテルを取ろうとBooking.comを見ると民泊の部屋ばかりが検索結果に出てきた。
キッチンが使えるとお茶が自由に飲めたり、マーケットで購入した色鮮やかな果物をカットして盛り付けることもできたので、これには大歓迎だった。
ちょうどお昼時ということもあったので、表通りに出てみるからにローカルっぽい汚らしいレストランに入った。
カリーがあるというので、2人でそれを頼むと、ものの数分でものすごい量が2つ出てくる。
大き目のボールをひっくり返した程度の量が出てきた。
スリランカのご飯ってどんなものだろう?やっぱりチキンカレー?と思っていたが、口に運ぶとツンっと本当に辛くてこれ以上食べたくない!というようなスパイシーな味が施されていた。
ランチの後は近くにビーチがあるとオーナーに教わっていたので、この宿から歩いて15分程度の場所へと向かう。
それにしても暑い。
こんなに暑いのか・・・。スリランカ。
温度は32~33度が最高気温のはずだけど、とにかく暑い。時刻は14時ごろを回って、その日の一番の強い日差しが降り注いだ。
ビールを飲みながら我慢してビーチまで歩いていると、突然線路が現れた。
予想できなかった海と線路の並び。これがスリランカという国のイメージを大きく作ってくれることになるとはこの時は気づかなかった。
線路を超えると欧米の観光客がいくらかと、地元の人が海水浴や日光浴をしているのが見える。
これまで、子供達に出会ってもお金をせがまれることが多かったので、子供達を見てもあまり目を合わせないようにしていた。
だけど、この時はなぜか私もオープンマインドになっていた。
「触れ合うチャンスは無駄にしちゃいけない。」この旅でしたいことを1つでも多く達成していかなければならない。とオーストラリア滞在中に目標となったことの1つだった。
「Hello!! Hello!!」と無邪気に手を振ってくる子供達に私は普通に挨拶を返し、写真をとってもいいか聞いた。
彼らは「撮って!」とニコニコ。
写真をあげられるわけではないのに、満面の笑みで答えてくれた。
撮った物を見せると、嬉しそうに笑って、「じゃあね〜!バイバイ!」とあっさり別れを告げてきた。
これには驚いてしまった。
きっと旅行者には「お金をちょうだい!」と言うように躾けられているのではないかと思っていたから。
私は何も持っていないことを申し訳なく思いながらも、その場を離れた。
H氏をみると、遠くの方でスリランカ人の男性に捕まっている。
何をしているのかと聞くと、
H「葉っぱ(ガンジャ)を買ってほしいんだってさ。買わないって言ってるんだけどしつこいんだよ。」
C「え!?大丈夫?」
H「今買わないって話してるから諦めるまで待とう。」
こういう時H氏は本当に律儀だと思う。
相手が諦めるまで待つなんて時間の無駄じゃないのかと思うが、そういう考えはないらしい。
男たちが諦めてその場を離れていき海をみるとちょうど夕日が沈む瞬間だった。
今日はちょっとだけ、スリランカのビーチを楽しんでしまおう。
レストランバーに入り、LEOというスリランカビールを注文して夜が老けていくのを見守った。
H「今日、この場所にいることができて、こんな場所でお酒を飲むことができてよかったね。」
オーストラリアを離れて、これからやらなきゃいけない事、が溢れ出てきたせいか唐突にこんな話をした。
C「プロトラベラーって知ってる?」
H「何それ?」
C「旅行でご飯食べてる人たちがいるんだよ。副業として始めてそれが本業になってる人もいるみたい。見てこの人。」
ここで私は2人の人を紹介した。
H氏の反応は初めてこれを見たのであれば、普通だった。
H「へ〜普通の人だね」
本当にその通りで、普通の女性が旅行に出てその旅先の写真や旅先での自分の写真をキレイな写真で投稿する事で、世界に行く面白さを伝えている、とそういう内容だ。
だけどなぜだか、フォロワー数52万9000人にも登っているのだ。
日本人にウケやすい海の写真が多いのも理由のひとつかもしれないが、それ以外は本当にこだわり抜かれた写真と彼女たちのキャラクターがウケているのではないかと思う。
C「インスタやるならこんな風になりたいよね。」
H「せっかくやるならね。」
ここからInstagramと Blogについての改善案を出し合う会議が始まる。
私たちがやっているページは”誰かが旅行に出ようとした時、旅に出ようとした時、何か一歩を踏み出そうとした時の一歩目の起爆剤の1つになってほしい”と始めたものだ。
人生は一度しかない、今の動ける体は今しかない。行きたいところに行って見たいものを見てくることが人生にどれだけの影響を与えるか。体感しなきゃもったいない。
私たちはそう思って生きてる。
ほろ酔いも冷めて、夜ご飯でも食べに行こうと会計をお願いしたがそこから20分は清算金額は持って来られなかった。
たくさん店員はいるのにどうも動いてくれる店員はいないらしい。
Hotel Mount Lavinia
民泊っぽい宿にはキッチンと大きなリビングダイニングがついていた。
部屋はそこに接続するように作られており、全部でおそらく4部屋ほどが用意されている。
私は昼間、このリビングに PCを持ってきてブログを書いたり調べものをして過ごした。
エアコンはどこにも無く、大きく開いた窓から入ってくる風と、天井でぶんぶんぶんぶんぶんと音を鳴らしながら回っているファンが頼りだった。
昼間は暑くて外に出たくないほどの暑さだったが、この場所は木陰でそよ風を感じるように快適だった。
そんな穏やかな時間を過ごしていると、私の足を不思議な感触のものが撫でていく。ハッとしてみると、そこには猫がいた。
毛並みの美しい目の大きな猫だった。私はその子を撫でるとしばらくその子を眺めた。
その猫は人懐っこく、私が自室へ戻ろうとすると一緒にくっついてきた。
どうしたものかと思うと、そのまま居心地良さげに居座ってしまった。
H氏にここは暑いから、ダイニングへ移動してはどうか、と何度か誘ったがこの誘いに乗ってくれたのはこの部屋を出る1日前のことだ。彼もこの部屋が気に入っていたのだろうか。
コンセントの位置がちょうどいいからとなかなか動かなかった。
夕方になって散歩に出かけると決まってある住人と出会った。
それがリクガメのこの方だ。
ここのオーナーは亀が私たちよりも何年も長く生きることを知らないらしい。
「4年前に買ったときはこのくらいの大きさだったのよ」と、手の平サイズだったと教えてくれたがいつの日か手に負えない大きさになって、街をほっつき歩いて誰かに殺されないことを祈る。
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