朝明るいことに安心して起きることができた。
夜はゴキブリが出たり、夜中に人が部屋に押し入って来たらどうすればいいのだろう?などと心配が多かったからだ。
ハイウェイのない道路
インドには高速道路がなかった。
もっとも街の中じゃない限りそこまで多くの車が往来していたり、渋滞する様なこともなかったので今の状況で事足りているだろう。
だが、整備しきれていない道路も道の途中にはあって、度々泥の上を走る様なこともあった。
その度に寝ている私は起こされて、やっと外の世界を眺めることとなった。
ある時起きると牛の群れが道路を横断していた。群れの牛の数は20〜30程度でなかなか動かなかった。
牛がどかないことに対して何もインド人たちが言ってる様には見えなかったので、そういうものか。牛はインドでは神様だし。と自分にとっても普通のことの様に見ていた。
それ以外の時はほとんど車の中では眠っていた。4時間以上も毎日車に乗っていると疲れるのもそうだが退屈する。
6日間の旅のほとんどは8時にホテルを出て、午前中から移動そして長距離移動車向けの休憩用パーキングにより昼食を取る。その1時間後にやっと一つ目の目的地に着く。観光しておみやげ屋さんを何軒か廻り、そのあとまた車に乗る。
もう一つの目的地に着く頃には夕方になっていて、そこでゆっくり過ごすとまた次の場所へ向かう。その繰り返しであった。
そういう訳で休憩用のパーキングに着くと心底嬉しかった。
休憩用のパーキング
様々なパーキングがあったが、大体は土産屋が併設されたレストランと駐車場、そして庭。あるのはその程度だったがそこにいるリスがとてもに可愛かった。
車の中やレストランの中は冷房が効いていて寒いくらいに涼しいのだが外はものすごく暑い。
なんせ40度以上の温度で尚且つ乾燥していて太陽の照りつけが激しかった。
暑い。とは思いつつも水を飲みながらリスを眺めていると、不意に何かが唇に垂れて来るのを感じた。
手で拭うと、それは血だった。
鼻血が出た
鼻血が出ていた。あまりの暑さにのぼせていた様だった。
これにはガイドも大慌てで店中の人が走り回って私の手当てに当たってくれた。
なんだかそれは面白いほど意外な出来事で鼻血程度でこんなにも手厚く看病してくれるのかと感動した。
インドの対処法は氷水の入った袋を額に当て横になり、鼻血が止まるのを待つ。日本の昔の対処法と大差なかった。
ただそこがレストランであることには誰も気にしない様子で、私を長椅子に横にさせてくれて、薄い布までかけてくれた。
インド人は「ありがとう」だどか「すみません」などという言葉が無いせいなのか、眼光の強さ故なのか不明だったが優しさを感じることがなかった。
私を見れば大体の人がお金を求めて来たからかもしれない。
だからかもしれないがこうして病人を看病するという反射的な動きに対して心の暖かさを感じて心地よくなり、また寝そうになった。
が、様子を見に来られたので仕方なく起き上がり問題なく元気だ!とニッコリした。
するとさっきのことはなかったかの様にまた、では車に乗りましょう。そう言ってまた車に乗った。何もなかったかのように。
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