ウユニからポトシへ行きラパスに入った筆者たちが、これからどうやってペルーを旅していこうかホステルで考えていた。
めったに来れない南米。どこの町に行ってどこを見ればいいのか?バスのルートは?安全とは言えないローカルバス。強盗やスリ。そして喋れないスペイン語。
悩んでいた時、そのホステルで知り合ったインド人バックパッカーが「俺はペルーホップ(Peru Hop / Bolivia hop)で回るよ。知らないならググってみ?」そして筆者たちもペルーホップのお世話になることになった。
■目次
ペルーホップ/ボリビアホップ(Peru Hop / Bolivia hop)とは?
日本ではあまり知られていないが、欧米人旅行者には人気のバス・サービス。ペルーのリマとボリビアのラパスの間を結ぶバスサービスで、その間にある主要な観光地を網羅している。
好きな区間のチケットを買ってしまえば、その区間内にある町、どこでも何時でも乗り降りOKのホップ・オン/オフが売りのとても便利なバスサービス。チケットは一年間有効。
例えば筆者はラパス(La Paz)→リマ(Lima)間でマチュピチュの拠点、クスコ(Cusco)にも寄れる一番長い区間のものを購入。写真にある全ての町に気の向くまま滞在し、約3週間をかけて移動した。ちなみにペルーホップもボリビアホップ同じ会社でサービスも全く同じ。
ペルーホップ/ボリビアホップ(Peru Hop / Bolivia hop)の特徴
選べるルートと出発地
ペルー / ボリビアホップをスタートしたい場所と終わりたい場所、または経由地を自由に選ぶことができるので、それぞれの旅程にあったチケットを購入可能。(写真はごく一部)。
有効期限は1年
チケットの有効期限はどの区間を買おうが1年もあるので、相当ゆったりした移動も可能。またチケット選択時に最低必要日数も教えてくれるので便利だ。
筆者たちは好きな町に好きなだけ滞在し、飽きたら移動といった具合で、最低10日間のルートを約3週間かけた。もちろん滞在したくない町に滞在する必要もない。そのままバスで素通り可能だ。
最低期間にはペルー観光にはかかせない「マチュピチュ」などその他の観光地を訪れることを前提にして計算してある。
予約はオンラインで12時間前まで
次の行き先のバスの予約、または予約の変更はバスの出発時間12時間前までに行えばよく、前もってしっかり予定を組まなくても問題ない。ギリギリまで予定が立てられない筆者にはとても助かった。
宿泊先へのピックアップ / ドロップオフ
宿泊しているホテルやホステルへ送迎してくれるのでバス停からタクシーなどを使う必要もないし、夜に着く場合も安全だ。
ただし送迎可能なエリアが決まっているので、町の中心部をあまりにも離れてしまうと送迎してくれないらしい。(筆者たちはほとんど毎回適当に自分たちで宿を取ったが問題なく送迎してくれた。)またクスコとナスカだけは例外で事情により送迎ができず、ピックアップ・ポイントまで行く必要あり。
ローカルガイド
バスには必ず英語とスペイン語が喋れる現地人のガイドが付き、これから向かう目的地の説明はもちろん、その他なんでも質問に答えてくれる。
お勧めのレストランやバー、またiphoneのケーブルが売ってる所なんてものまで。ペルー / ボリビアホップが主催する無料 / 有料ツアーにも必ず同行。また食事や夜遊びを一緒にしてくれる場合も多々ある。
無料のツアーと有料のツアー
ペルー / ボリビアホップが主催する無料と有料のツアーがあり、バスの中とネットで予約することができる。無料のツアーはローカルバスでは絶対にありえない途中のビューポイントに止まってくれる、ついでのようなものからピスコサワーの製造所見学、ナスカの地上絵を鉄塔にあがりそこから見るものなど様々だ。
有料ツアーは現地で自分で探す場合と比べて安ものもあれば高いものも。ただし現地でツアー会社を幾つかまわり、いちいち値段交渉しなくていいのが助かる。
またその町に滞在したくないが、ツアーは参加したい場合は特に便利。ツアー終了後にバスで次の町まで行けるようにスケジュールが組んである。興味がないツアーでも一応ネットで調べて見よう。ペルー / ボリビアホップはその場所で見るべきものを用意してくれているので、新しい発見があるかもしれない。
ホステル・ホテルの割引
それぞれの町で提携しているホテル/ ホステルが幾つかあるので、割引価格で宿泊できる。もちろん好みに合わない場合は、自分たちで探すのもOK。ゆっくり静かに過ごしたい人向けやパーティーピーポー向けなどの情報もくれるので面白い。
提携ホテル/ホステルより安いものは沢山あるので、筆者たちはほとんど自分たちで探した。町によってはローカルレストランの割引なんてのもあった。
セーフティ
かなりの速度でぶっ飛ばすローカルバスとは違い安全運転。またバスにはパスポート番号を含む搭乗者名簿とGPSがついていて、バスジャックや強盗からしっかり守られている。(通常バスジャックや強盗はほとんどの場合、車内に共謀者を送り込む。)
車内で寝てたら荷物を盗まれるなんてこともないので一人旅の人でも安心。
快適な車内とサービス
南米のバスの車内はやたら寒い、もしくは糞暑い。ペルー / ボリビアホップの車内温度は多数決。多くの人が快適だと思う温度設定にしてくれる。(これは大したことじゃないようだが、すごく重要なポイント。)長距離移動区間にはブランケットも支給。
車内はキレイで、トイレも清潔に保たれている(小のみで大は禁止)。車内で映画を流してくれるサービスも。南米ローカルバスではスペイン語の映画を流してることがほとんどだったが、ガイドのチョイスか多数決で英語の映画が見れる。
時間に正確
日本に住んでると当たり前だが、南米は全てにおいて時間にルーズ。バスなんて時間どおりに発車したのを見たことがないほどだ。だが、さすがアイルランド人の旅人数人が集まって作った会社だけあり出発時間、到着時間ともにかなり正確だ。無駄に待つことが殆どなかった。
購入方法
ペルー / ボリビアホップのホームページから購入可能。ネットで購入後、次の日のバス予約も可能だった。またラパス、リマ、クスコにオフィスがあるので、そこに直接行って購入するのも可能。現金払いで買えばクレジットカード手数料の5%がかからないらしい。
利用方法
バスのチケットを購入したらメールでIDが届くので、それを使ってホームページからログイン。そこからバスの予約をする。
スタート地点の町のピックアップの予約をするとその後の予定も最低必要日数で勝手に仮予約されてしまうので、全て「On Hold(待つ)」にしておこう。万が一バスの予約したまま当日が過ぎてしまうとチケットの失効、またはペナルティが課されるので気をつけよう。
ピックアップ先のホテルはプルダウンメニューで選ぶ方法で少し使いづらいが、かなりのホテル / ホステルがカバーされているのでほとんどの場合はあるだろう。ドロップオフ先はバスの中で聞いてくれるので事前に入力してなくても問題ない。
実際利用して感じたメリット
友達ができる
同じバス、同じ行き先、同じアクティビティ。さらにガイドも友達ができやすい環境を作ってくれるので、とても友達が出来やすい。なので一人旅の人に特にオススメ。一緒に観光したりパーティしたりする仲間がすぐに見つかるはずだ。
また乗客も多国籍なので色んな文化が学べて面白い。英語が苦手でも問題ない。みんな同じ目的のバスに乗る似た価値観の者同士。どんどん話しかけよう。すぐに友達ができるはずだ。
次の予定決めやバスのチケット購入などのストレスがない
これはかなり大きかった。旅をしていると次の移動先の情報と行き方を調べ、オンラインでバス予約ができない場合はバス停まで事前に行って…というストレスが一切ない。
次の目的地についての情報集めが地味に一番時間がかかる。不安や心配もないので、ペルー / ボリビアホップでの約3週間はストレスフリーで旅ができた。
バスの予約が超絶楽
ペルー / ボリビアホップのホームページからログインし、専用ページからいつでもバス、ツアーの予約、変更ができる。出発12時間前までは無料で変更可なのでとても便利。またバスの中で予約の確認もしてくれるので間違いがない。
安全性
南米のバスは、猛スピードで走るので事故も少なくない。強盗やスリなどのリスクも常に付きまとう。さらにバス停は治安の良くないエリアにあることが多い。その点、宿泊先への送迎があるので安全。またバスの車内も安全なので寝るのはもちろん、Ipadを出して映画や本も楽しめた。
国境超えが楽
ペルー / ボリビアの国境を越える時の1度しかないことだが、ガイドができる限りスムーズに行くように手まわしてくれるのでかなり楽。そして当たり前のことだが、最後の一人が終わるまでバスはちゃんと待っててくれる。
また国境でよくある余計なボッタクリに合わないようにアドバイスもくれるので安心。ローカルバスで国境を越えるとそこだけで2時間かかったなんて場合もよくある話。またレートが一番良いマネーエクスチェンジなども教えてくれる。
新しい発見
自分たちだけで旅程を組んでいたら絶対行かないような町の観光スポット、例えば砂漠のオアシス「ワカチナ」やリトル・ガラパゴスがある「パラカス」などを知れたのが良かった。
価格
ローカルバスなどを使いツアーなども自分で最安のものを探すのと比べるなら、間違いなくペルー / ボリビアホップは割高だが、ツアー会社に申し込んだ場合と比べるとかなり安い。中には現地発着ツアーを歌いペルー / ボリビアホップに紹介してマージンを載せている日本の旅行会社もあった…
実際利用して感じたデメリット
多少の英語は必須
スタッフは英語とスペイン語は堪能だが、日本語が喋れる人はいなかった。スタッフとのやりとりは英語またはスペイン語になるので、ある程度意思の疎通ができるレベルの英語は必要だろう。
値段
メリットの部分でも書いたが、ペルー / ボリビアホップは実際に自分でローカルバスを使って旅をするより割高だ。(それでも最長区間のものでせいぜい50USD~60USDくらいだろう。)
ただしバスターミナル⇔ホテルの間をタクシーを使って移動したり、調べたりする労力、安全性に快適性、ツアーや、友だちができる環境など、全てを考慮してペルー / ボリビアホップが割高かどうか考えてみよう。
バスの本数が限られている
ほとんどの区間が1日1本しかバスがないので好きな時間にバスに乗ることはできない。また毎日バスがない区間(週5)も1つか2つ存在する。なので急ぎ気味で旅する人は事前に多少予定を組んでおく必要があるかも知れない。
食事
ほとんどの長距離バスは車内で水と食べ物が支給されるが、ペルー / ボリビアホップは食事の時間に移動がかかっていないと基本的に何もくれない。たまに支給される時もあるが、事前に説明がないのでバスに乗る前に飲み物と軽い食べ物は常に手持ちのカバンに入れておこう。
ホステル・ホテルの割引
ペルー / ボリビアホップが提供する特別割引のホテル、ホステルにあまり良いのがなく、一度も使うことがなかった。筆者たちは2人なので通常個室を取るのだが、自分たちで探したほうが安くて良いものが見つかった。ただ、ペルー / ボリビアホップでできた友達と一緒のホステルに泊まるなんて場合は良いのかも知れない。
クスコは送迎サービスがない
とても便利なホテル / ホステルへの送迎サービスだが、クスコではない。(町の条例によりバスが入れない)
またペルー / ボリビアホップのバスはメインのバスターミナルからではなくペルー / ボリビアホップオフィスから出るので少しわかりにくい。事前にオフィスの地図を貰えるので、しっかり準備しておこう。ナスカも送迎はないが、小さい町なので問題ない。
旅感が減る
今まで時間と労力をかけて行っていた情報収集と事前の準備がなくなった。それにより楽になった反面、旅をしている感覚が薄れ、ただの観光旅行しているような気がしてくる。こんな楽で良いのだろうか自問自答した。
リマとラパスより先がない
リマとラパスより先がないので、そこから先へ行く場合は残念ながらローカルバスなどを使って旅をする必要がある。
こんな人にオススメ
- とにかく楽に安全に、でも自由にペルー / ボリビアを旅したい人。
- 一人旅で友達を作りたい人。
- 英語はそこそこいけるが、スペイン語が全く喋れないので不安な人。
最後に
宿まで送迎してくれるサービスは、バスターミナルがなくバスの発着所がわかりにくいことが多いボリビア、ペルーでは特にありがたい。さらに旅に付きもののタクシーの値段交渉がないのはまさにストレスフリー。
またローカルガイドはボリビア、ペルーの文化と歴史を分かりやすく説明してくれ、観光する前の予習ができるので実際に見た時の感動が違ってくる。
筆者は正直言って、ペルーの観光地は「マチュピチュ」くらいしか知らなかった。それが南米の旅を終わってみると一番しっかり色々見て回ったがのペルーという結果になった。
危険な噂を聞く南米での移動でバス内での強盗やスリの心配がなく安心して旅をできるのは大きい。その一緒に旅した一生の友だちができるかも知れない。ペルー、ボリビアを旅する予定がある方は検討する価値がある素晴らしいサービスだ。
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