ボリビアの首都ラパス(La Paz)のエル・アルト(El Alto)地区で週2回(木・日)開催されてる、通称「おばちゃんプロレス」チョリータ・レスリング(Cholita Wrestling)。
観光客だけでなく地元の人にも人気のプロレス、スペイン語でルチャリブレ(Lucha Libre)の興行の一部で、ボリビアの伝統的な民族衣装に身を包んだ「おばちゃん」達がコミカルに死闘を繰り広げるエンターテイメントなプロレス。
歴史
1950年台にメキシコのルチャリブレ(Lucha Libre)から火がつきボリビアでもプロレス人気が最高に達する。しかしチョリータレスリングは2000年代になるまでは存在しなかった。
チョリータレスリングは男尊女卑が激しいボリビアで、DV(家庭内暴力)に苦しむボリビア人女性たちの憤慨とストレス発散の場として、地元プロモーターが男性のプロレスの余興として女性レスラーのグループを作りリングに上げたところ話題に。
当初は普通の女子プロのような格好をして試合を行っていたのだが、コスチュームをボリビアの民族衣装にしたところ人気に火がつき2011年には女性レスラーのみの団体を発足するまでに。そうしてチョリータたちはボリビア女性たちのヒーローになった。
貢献
チョリータレスリングは、原住民の血を引く女性に対する差別的な意味合いを持っていたチョリータ(Cholita)という単語を、誇り高くパワフルなボリビア人女性というポジティブなイメージに変えた。
差別的な扱いを受けていた歴史があるチョリータ達がリングの中で男性プロレスラー相手にも対等に戦う姿はボリビア人女性に勇気とプライドを与えた。
それだけでなくチョリータレスリングは貧困層の女性達にお金を稼ぐ手段を提供し、貧しくお金を稼ぐ手段を見いだせなかった女性達がリングにあがり経済的に自立し、家族を養えるようになる手助けにもなった。
残念ながらボリビアにはまだまだ差別が存在する。だがチョリータレスリングのような活動がボリビア人女性に対する差別をなくす日は近いかも知れない。
試合
アメリカのWWE(ワールド・レスリング・エンターテイメント)に代表される、ドラマチックなストーリー仕立てが人気の、エンターテイメント要素が強いプロレスをルーツにしているチョリータレスリングは、空中戦や場外乱闘、流血?、反則技などを真剣かつユーモアたっぷりに見せてくれる。
観客を巻き込むのも上手で筆者が観戦した時は、VIP席の観光客が飲んでいたビールを取り上げ、口に含み相手にかけ、そのままビールを飲み干してしまったり、好みの男性にキスをさせたり、やりたい放題。
しかし、おばちゃんだと思って舐めてはいけない。しっかりと技を決めるし、空中技もやってのける。強靭な肉体の男性レスラーともご互角以上に戦うおばちゃんたちの姿は、ヒーローそのものだ。
ベビーフェイス(善玉レスラー)とヒール(悪役レスラー)と分かりやすいキャラクターと派手な技や場外乱闘などの演出は昭和のプロレスを思い出させるエンターテイメント。
ポップコーンをリングに投げながらの観戦は終始笑いっぱなしだった。チョリータレスリング2~3時間続き、終わった後はチョリータたちと記念撮影もできる。
行き方と値段
直接に現地に行く方法とツアーに申し込む方法の2通り。多少わかりにくい場所にあるのと週に2回の開催で、ミスれないと言うことで筆者たちはホテルで聞いてツアーに申し込んだ。
ツアー代金は約15~20USDでラパス中心地までの送迎とチケット付きでVIP席での観戦。チョリータレスリング有名なのでそこら中でツアーがあるのですぐに見つかるはずだ。
自力で行く場合はケーブルカーのレッドラインで終点まで行ってそこから徒歩。
チョリータレスリングが開催されるエル・アルトはラパスの中でも治安が悪い場所。ツアーで行っても個人で行っても交通費を入れたらそこまで割高ではないので、ツアーで行くことをお勧めする。
チケット料金:50ボリビアーノ(約850円)
開場時間:15:30
開催日:週2回(木・日)
場所
観光客は自動的にVIP席なのでリングサイド。チョリータ達に絡まれるのを覚悟しておこう!
最後に
動きにくそうな体と伝統的な民族衣装に身を包んだおばさんたちが観客を巻き込みながらコミカルに、でも一生懸命に戦う姿は爆笑の連続。言葉が全くわからなくても単純なので楽しめる今では懐かしい感じもするとてもわかり易いエンターテイメントだ。
演出もチープだがそれがまた面白い。ラパスを訪れることがあったら是非見てみて欲しいお勧めスポットだ。
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