前回までのお話しにあった詐欺ツアリストで契約した夜行列車の予定時刻が迫っていた。
チケットを駅のインフォメーションで確認してもらい、ホームを歩く。
電灯はあるものの明かりが控えめないせいか、夜7時だというのにあたりは真っ暗だ。
夜行列車(Night Train)
日本で夜行バスを利用したことがあるだろうか?
そう、東京駅や横浜駅、最近では新宿バスタから出ているあの夜行バスだ。
私もスノーボードをするために苗場や白馬を目指して利用したことがあるが、はっきり言って快適ではない。
横になれない上に狭い。その割に高い。
新幹線と比較すれば半額で往復できる利点はあるが、古い型のバスに当たった時なんかは最悪だ。トイレもついてない上に座席も固いし更に狭い。
が、タイの夜行列車はこれに比べるとかなり快適。
何故ならば、トイレ付き(流すと全て線路に直接落ちる)、洗面台あり(日本の新幹線ほどではない)ベッドあり(座席がベッドに)、車内で弁当やコーヒーの販売サービスあり、防犯に備えて夜通し点灯、ベッドにはそれぞれカーテン付き。
しかも!座席に座っていると、ベッドメイキングのおじさんがやってきてなんとベッドを組み立ててその上シーツまで手際よく敷いてくれるのだ。
これが職人技の様に動きが滑らかで機敏。見ていると気持ちよくなれる。
尚、ベッドは2段ベッド式になっており、下段は昼間対面式の座席になっている席からマットを引き出してシングルベッドほどはあるかと思われるベッドを作る。
一方上段の方はというと、壁に畳んで収納されていた板を下ろすのみ。こちらは下段のマットの半分程度しかないのでかなり狭く寝返りはほぼ打てないが値段は1割ほど下段より安い。
上段と下段どちらに寝るか
今回は寝つきがよく眠りの深いCが上段、寝つきが悪い上に眠りも浅いHが下段となった。
登って見てやはり、、と落胆した。
防犯用に点灯し続けている蛍光灯がカーテンレールと天井の間から煌々と狭いベッドを照らしたのだ。
これにももちろん旅には備えが重要と持ってきた”アイマスク”を付けて寝た。
アイマスクも慣れてしまうと気にならず結局5時間程度は熟睡できた。
自分の睡眠力についてはほとんどない長所の中の一つだと言いたい。
朝は勝手にやってくる
午前6時ごろ。
コーヒー販売のおじさんが歩きながらGood Morni~ng♪と否応なしに起こしてくれた。
夜のうちに注文を取っていた朝食を出すため、空席を確認しながら乗客を起こして行く。
陽気な声に嫌な気持ちにはならない。
上段のベッドから下に降りて窓の外を見るともうバンコクにあった様なビルは無く鬱蒼と生える草と強めに降る雨と時折茶色く濁った大きな水たまりが見えた。
列車の中には焼いたパンとコーヒーの香りが広がり、眠い目をこすりながらも充実した朝食をほうばる人の姿があった。
外の様子には少々の不安を覚えたが到着して見ないことにはわからないと決め込むと別の気持ちが湧いてきた。
あぁ、なんて素敵な朝なんだろう。
私は心が躍っていた。
車内全体に何とも言えない温かい雰囲気がある様に思えた。
スラートタニー駅
予定より1時間ほど遅れて到着した。
夜行列車には遅延が付きものかな。
深い霧の中、駅前には大型バスやバンが停車していた。
ここから更に2~3時間。車での移動が待っていた。
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