ジャングルの5日間を終えると私たちは次の目的地南部の島へと向かうため大型バンに乗り込んだ。
朝8時のことだった。
3時間ほど走り続けるとどうやらクラビという地域に入った様だった。
このビーチに来たのもあの詐欺ツアリストによるものだ。
それにバンコクで会った”ミッキー”のおすすめの場所だったからだ。
イラっとはするものの、この場所を自分たちでは選ぶことがなかったかもしれないので詐欺ツアリストについては少し寛大な気持ちで受け入れることにした。
船に車で乗り込み海を渡る
「コー ランタ」の「コー」は島という意味。
どんな船に乗っていくのかと思ったら人を乗せた車が直に船に突っ込む。
船の上にはまるでパズルの様に敷き詰められた車たちが重なる。
どの車もとても器用に停車していた。
乗客が休む様なスペースはほとんどんなく、降りたとしてもエンジンをつけっぱなしの車の熱気に包まれる。
船からは鬱蒼と茂るマングローブの林が見え、自然の豊かさを感じることができた。
快適とは言えない航海だったが十分だった。
異国の雰囲気が漂うコー ランタ
数十分の航海を終えると車は何事もなかったかの様にまた走り出し、30分ほどで到着した。
車の中から周りの様子を見ていると現地人と見られる女性たちのほとんどがヒジャブを纏っていた。
地域的に宗教が違うことを示している様だった。
そう言えば移動して来ている間一度も寺院などは見なかった。
カオソックでも同じ様に寺などは見当たらなかったがヒジャブも同様に見られなかったので、地方に行くとそこまで仏教色が濃く無いのか程度に思っていた。
が、よくよく調べてみるとこの土地は昔パッタニー王国というムスリム宗教をもつ国の一部だったようだ。
また元々マレー系や中華系の人々が人口の80%以上を占めていたこともあり、仏教ではなくムスリム文化が根付いており長い歴史上では仏教を押し付けられ強制的に改宗されることもあったそう。
武力的な戦いもあったんだとか。今はとっても平和でよかったね!
料理についてもランタ島に来てからハラル料理やベジタリアンフードが急に増えた。
ビーチに直結するホテル
昼過ぎ、ホテルについてチェックインを済ませると部屋へ。
荷物を持っていくとエアコンなく、扇風機が一つと洋服ダンスが一つ、ドレッサーが一つの簡素な部屋だった。
ドレッサーと洋服ダンスのどちらもが壊れていて、引き出しは開けると取れてしまった。
ドレッサーの上のランプは点かず、鏡の前は薄暗くなっていた。
すると、H氏が「なんだよこの部屋、ボロボロじゃね~か」との一言を放った。
私としてはカオソックで泊まったバンガローとそんなに変わらない。という印象でコレと言った感想は出てこなかった。
部屋の移動
2日ほどその部屋で過ごしていたが最初の方から噛み合わせが悪かった窓が壊れた(閉めても閉まり切らずに大きめの虫も入ってこれる)ため部屋の変更を依頼した。
するとドレッサーも洋服ダンスも壊れていない2シングルベッドの部屋の鍵がもらえた。
そこはランプもきちんと点灯した。
部屋には扇風機しかなかったがやはり窓の鍵は壊れていた。
すると再び苛立つH氏。「なんだよ同じじゃねーか」
鍵が閉まらないことエアコンがないこと以外は違う。。と思ったが黙っていた。
多分彼も窓のことを指して言っていたのだろう。
「ここのレセプションのおばさん悪い人じゃなさそうだし、そこに貴重品を預けたらいいんじゃない?」と話すと私よりも物品紛失・盗難を恐れていたのだろう。
それも正しい考え方だったし彼のいう通りだと思う面もあった、、、が。
部屋を移動しても変わらない状況(どの部屋も窓の鍵が完璧ではない)を考慮するとどこの部屋に移ってもホテルを変えない限りは同じことが繰り返されることは容易に想像できた。
求めるWifi環境
Wifiについても私たちは完璧な環境を求めた。アクティビティをしない限り日に2~4時間はPCを触っていたからだ。
内容はこの様な文章を書くことや周辺の情報収集(歴史・地理・アクティビティ等)、それに次の目的地の検索や渡航方法など。
「やること」はたくさんあった。
部屋を異動するとWifi環境は悪化し部屋のどこにいても不安定な状況が続いた。
彼はWifiについて確認をすると部屋のWifiの改善は無理だからとフロントを作業場にしていいと言われたことを私に教えてくれた。
私としては特に問題ないと考えていた。
レセプションの彼女の監督下にあれば悪いことは起きないと思ったからだ。(後々この平和ボケが盗難やスリに繋がるのかもしれない)
彼はそこで作業することも嫌がった。
人前に PCを出したくないからだと言っていたが、彼女の部屋が落ち着かない様にも見えた。
結局最終的には二人揃って彼女のPCの横にPCを置いて作業を行なった。
感覚の違い・図太さの違い・危機管理感覚の違い、私たち夫婦が持つ違いが現れていた様に思う。
次からはWifi環境が整っている宿場にしよう、検索条件の優先事項となった。
二人の内面
旅に出ると通常では考えられないほどの時間を共にするために、様々な面が見えてくるとは思っていたがこういうところに出てくるのか、と感じた。
それはお互いがそれぞれを観察しあい発見する新たな部分なのかもしれない。
今のところ私たちは大きな喧嘩にはなっていない。
どちらのおかげかはわからないがどちらにせよ美味しいタイ料理や海や夜の星に癒されていた。
もっとも何かに気づいて変わることが今回私が自分に求めることの一つだからこれも良しとしようと思えた。
ホテル選びは短期の不動産選びと一緒と再認識すると次のホテル選びも楽しくなった。
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