ベトナムのダラットにある奇妙な建物がある。地元の人や観光客にクレイジーハウスと呼ばれているその建物の実際の名前はハン・ガー・ゲストハウス(Hang Nga Guesthouse)。
だが現在ではクレイジーハウスの方が有名になってまった。アントニ・ガウディの建築を思わせる直線のないデザインは、モスクワ大学で建築学で博士号を取得したダン・ヴェト・ガーという女性建築家によってデザインされ1,990年に開業。
しかし28年だった現在も増改築が続いていて完成していない。まさにガウディ。ダラットの景観にそぐわないという理由で取り壊しの話がでたことがあったが、次第に認められ現在では年間10万人が訪れるダラットの人気観光スポットのひとつになった。
外観は大木をイメージ
外観は大木をイメージした作りで、伸びた木の枝が階段などの通路になっていて敷地内の他の建物や様々な場所へ伸びている。かなり高いところにも伸びていて、デザイン重視の為か手すりが細かったり低かったりするので少々怖い。
デザインは全て自然界にあるものをモチーフにしていて、洞窟や蜘蛛の巣、キノコ、動物などの彫刻が至る所に施されている。
約1600㎡の敷地には幾つかの建物が建っていて、もちろんどの建物も普通ではない。その建物同士も細い階段通路が繋いでいたりする。
屋上に出られる建物がほとんどで、屋上からの見晴らしは良い。屋上に出ると普通の建物の中に突然あるクレイジーハウスの奇妙さが目立つ。また建物内は迷路のように入り組んでいる。
建物に囲まれた中心部には中庭のような場所があり、入り口近くににはお土産屋やフルーツジュースが飲めるお店がある。写真の蜘蛛の巣のようなところはガレージで車が入っている。
ユニークな建築手法
ダン・ヴェト・ガーがクレイジーハウスの建築に用いた手法はかなり変わっている。
建築学で博士号を取得しているにも関わらず、設計図を書くなどの一般的というか当たり前の方法を用いず、作りたいものの絵を書いて、それを地元の専門家ではない職人に見せ、作らせている。
一般的な建築方法を無視した作りが、クレイジーハウスの奇妙な世界観を作り出している。
見学はもちろん宿泊も可能
入場料は50000ドン(約235円)を支払って見学するのが一般的だが、このクレイジーハウス実際に宿泊でき、10室だけ客室が用意されている。
筆者たちはダラットに行くまでクレイジーハウスを知らなかったのだが、インターネットで宿泊先を探していてたまたま見つけたのがクレイジーハウスを知るきっかけだった。
宿泊費は一泊一部屋35USDから。10室ある客室にはそれぞれ動物をテーマにしており、トラの部屋、カンガルーの部屋、蟻の部屋といった具合。テーマなっている動物は特定の国を象徴していると言う。
この広い敷地と建物に、たった10室しか客室がない理由はダン・ヴェト・ガーは初めは客室を作る予定ではなかった。
誰にも邪魔されず作りたいものを作るため、個人プロジェクトとしてクレイジーハウスを建設していたため、莫大な費用がかかり負債を負った。その建設費を賄う為に後から拡張しゲストハウス部分を作った。その後しばらくしてから有料で訪問者に公開するようにしたそうだ。
ちなみにダン・ヴェト・ガーはクレイジーハウスに住んでいる。
最後に
2020年までの完成を目指しているこのクレイジーハウスにはダン・ヴェト・ガーの『人は自然を利用し破壊するのではなく自然に回帰するべき』というメッセージが込められている。
時間と少しの勇気がある場合は、実際に一泊してみてはどうだろう?一般開放が終わった後も宿泊者は施設内どこでも歩き回れ、ほとんど人がいないクレイジーハウスを探索できる。人のいない暗い夜のクレイジーハウスは昼間とはまた違った印象を受けるに違いない。
住所: 03 Huynh Thuc Khang St., Ward 4, Dalat City, Vietnam
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