スペイン-イビザに 1年生活してみて

eyecatch

私がイビザに引っ越してから1年が経った。

スペインで外国人として暮らしてみた感想と、イビザという場所を1年通して理解したことをまとめてみた。

外国人であるということ

1. 日本人であることを歓迎される

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日本に対して嫌悪が無く好感を抱いてもらえる。

スペインテレビでは日本のアニメが放映されているそうで、30代前後の世代から日本アニメについてよく知っている。

2. 現地語を話せなくてもなんとか生活できる

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私たちはラーメン店を営んでいるけれど、スペイン語は挨拶程度。それでも

「日本語、私も話せないもの!大丈夫よ。」と笑ってくれる。

英語でなんとか受け入れてもらっていて、そこに英語ネイティブじゃない国であることの柔軟性を感じられました。甘んじては行けないけれど、本当にありがたい。

それと同時に母国から離れて生活している人への尊敬の念が溢れ出てくる。

日本にいる外国人を思うときっと苦労しているだろう。と思う。

漢字・カタカナ・ひらがなの3つの言語を1つの文章の中に織り交ぜて使う国は恐らく日本くらいだ。

3. 「チーノ」と呼ばれる、そして慣れる

セレンゲティ国立公園の入り口

アジア人を総じてチーノというらしい。

細くて開いてるのか開いてないのかわからない目の人たちは全員チーノ。

私たちが日本人じゃ無い人を見て「外国人・・・」と呼ぶのと同じくらい軽いノリだと理解するようになった。

最初は抵抗があって嫌だったけれど、まあアジア人みんな仲間だし、地球人みんな私たちは仲間だ。たまたま名前がチーノってだけ。 

差別ではない。

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4. ibicencoはイビザ島を自慢気に語る

私が東京を語るなら、グルメに銭湯に人々の行き届いたマナーにサービス、行き慣れたクラブ、市場や飲み屋、好きな公園なんかを紹介するけれど、ここの人たちは違った。

私がここにきてみて、彼らはイビザといえば!のクラブカルチャーについて語ることはほとんどなかった。

そうじゃなくて今までの歴史だったり、その辺で取れる果物の話だったり、親族や家族がどんな風にここに住み着いたとかこの土地に何百年住んでるとか。自分はなんのためにここにやってきた。とか。

ibicenco

なんだか都市に住んできた私とは全く違うものを持っていた。

私はそれぞれのストーリーにドキュメンタリーを見せてもらっているようで感動している。

イビザという島の本当の顔

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1. 観光地として大人気になり、爆発的な経済成長が見られたのはこの15年のことだった

「15年前までこのエリアに建物はなかったし、あそこも空き地だった。何もなかったのに変わったんだ。」

Ibicenco(イビザの地元民の呼び名)たちは口々に言った。

ということは私と同い年の人たちは30歳。自分が生まれてから半分はイビザは美しい海と山を持つ自然あふれる島だった。

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しかしイビザは近年の観光地化により、空気汚染、海洋汚染、騒音、交通渋滞、ゴミ問題などたくさんの問題を抱えている。

(今ももちろん変わらず美しい海や山に囲まれており、たくさんの人々の心を虜にしている。)

2. 人が素朴

クラブがあってパーティーがあっておしゃれなカフェやらレストランがたくさんあるから、洗練された島?と思っていたけれど、ここに住んでいる人たちは本当に温かでのんびりしている。

ibiza

それを感じられたのは冬の季節。そしてコロナでロックダウン(外出禁止という名の監禁)の状態の時。

他の国ではアジア人差別で暴行を受ける人もいたとかで最初の頃は少し恐怖感があったが、本当にそういう殺気だったものはイビザには無かった。

むしろデリバリーのお食事を配達中、届け先が分からなければ、近所の人が一緒になって探してくれたり、いつも誰かと目が合えば笑顔で「hola!」と声をかけてくれた。

知らない人とも目が合えばニコリと笑い掛ける習慣が出来た。

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ロックダウンの日々。辛かったけど温かかった

3. クラブカルチャー無くなれ!と思ってる人が結構いる

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観光業で成り立っているこの島には、夏には何千と何万と人が押し寄せる。島民はこれでお金を稼いでると分かっていても、ドラッグや酒で騒ぎまくったりゴミで自然を汚す観光客には飽き飽きしている。

町の人や島の自然へのリスペクトの気持ちが薄い。

暑くて、ほぼ毎日晴れている天国のイビザで羽目を外しても、マナーとモラルを守って欲しい。と願うのは、どの国の人も願う切実な思い。

この影響を受け、朝の散歩時にはプラスチックゴミを拾い始め、私はplastic busterという団体に入会した。

4. 明日ね!は明日じゃ無い

何かものを届けにくる約束だったり、修理する約束で話をしていてそれじゃあいつくるの?次は。というと「マニアナ!マニアナ!」と言ってくる。

「明日!明日!」という意味だが、本当に明日来た試しはほとんどない。

これはスペイン語圏全体の言い回しらしい。

「マニアナ(明日)」=は「そのうち〜」の意味だと理解するまでに半年かかった。

信じて待ってイライラすることが間違いで、「果報は寝て待て」みたいなもの。

気長に待つのみ。

ibiza event

元々時間に遅れないように気をつけなければ遅れるほうだったが、こちらに来て気が楽になった。

5. システム化されない

気が長いのがイビザのいいところ。

だからなのか?ガスのルート配送にしろ、商品の在庫管理にしろ、何にしろシステム化して効率よく物事を回すという気配がない。

その分緊急の事態には思いやりを持って対応をしてくれるから、有事でない時は気長に気楽に待つのが一番だと学ばされた。

怒らない。笑顔でいる。文句を垂れない。慣れると心地がいいもんだから不思議。

6. 物価が安い

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これ全部で8€

観光で来ていた時はあまりにも物価が高い(普通の都市の1.5~2倍)ので、二度と来るもんか!と思っていた。

けれどスーパーで買い物をして自炊すれば生活費はいうほど高く無い。

カフェでカーニャ(小さなビール)を一、二杯飲んでる分には5ユーロもあれば足りるし、

豚肉なんて1kgで10ユーロだし、玉ねぎは1kgで1.75ユーロ。

もちろんスペインの他の地域に比べれば、観光地で島なので高いのらしいけれど、日本と比べれば食費や酒は、断然イビザの方が安い。

brunch
ある日のブランチ:ワイン3€、トルティージャ2.5€

7. 肌の色の違う人がたくさんいる

スペインは植民地を南米にたくさん築いていた過去を背負っていることもありペルー、チリ、エクアドルなど南米の様々な地域の移民を受け入れている。

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併せて海を挟んで向こう側にはアフリカ大陸があるから、黒人もいるし、もちろんヨーロッパからくる白人達も大勢いる。

いろんな国の人たちがいるから、ユニークであることとが尊重されている。

中でもアジア人で日本人の私たちは数が多いわけじゃ無いから、とても貴重な存在として扱ってもらえてるように感じる。

そのせいなのか、ラーメンが美味しいからなのか、こんな有事のコロナショックの後でもなんとか店を続けられそうにある。

感謝感謝。

最後に

引っ越してから、この場所に根付こうとする間にイビザ流、スペイン流をたくさん学んだ。

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昼下がりに疲れたからって休憩に昼寝をしたりもするようになったし、待ち合わせの時間ぴったりとか5分前に着かなくても、そんなに慌てたり焦ったりもしなくなったし怒りもしなくなった。

自分にも相手にもゆるく。優しく。

目が合えば笑顔で挨拶をするし、コロナ後でもいまだにみんなハグはするし(ダメだけど感染者少ないもんだからね)、カフェで一杯ってビールを平日の昼間から飲んだりもする。

何ってことはないけど、その辺のスーパーでぶつかってもあら、失礼って言って笑いあったり、そういうのんびり柔らかな空気が、私には合ってて。

ibilife

そのおかげか、日本で感じていたような都市ストレスはここに来てからなくなった。

もちろんその分、モノが無いとか、宅急便がなかなか届かないだとか、よく排水管が壊れるだとかの不便さだったり、言語が出来ないせいで思い通りに物事が運ばない辛さはある。

それでも人が温かくて明るくゆったりしているのと、自然が綺麗で近いのと、スーパーや市場の食品が安くて美味しいのと、、で

住んで半年後には来てよかった!と思ったし

「私はここに住む!」と決めさせてくれた。

ibilife

1年目はラーメン屋の仕事に専念の1年だったけれど、2年目は仕事にスペイン語、友人関係の広がりを感じられようになったらいいな〜などと巡らせている。

新たな発見を見落としたりしないように。

ブログ書き始めます。よろしくお願いします。

ちか

 

 

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