スペインのイビザ島は美しい海と島がもつ自然、そしてナイトクラブなどの娯楽によって1940年代から観光地として栄えている。
イビザに移住してみて、驚いたことはここで期間労働者として働く人の多さだ。
「夏が観光のシーズン」というのはわかる。
ヨーロッパの南の島なのだから、夏に人が集まることは理解できた。
しかし、夏しか観光できないのか・・・?
どういうことなのだ?
一年通してイビザに住んでみて分かったこと、スペイン全体の失業率と合わせて読み解いていこう。
夏のシーズン
シーズン ONは5月〜9月。
シーズンの始まりを告げるのは大型クラブのパーティー。
彼らが毎年オープンパーティーを行い、そこでシーズンの始まりを告げる。
レストランやバーなどは3月からオープンパーティーをしている。またイビザタウンの道路の舗装も全て張り替えられる。
5月に始まったシーズンは7,8月の夏休みを最盛期として9月の下旬にこれもまたクラブがクロージングパーティーを開き、そこで終わりを告げる。
同じくレストランやバーなどは10月頃にシーズンを終え、次のシーズンまで何事もなかったかのように閑散とした冬に入る。
クローズしないお店は比較的には内陸方面のお店、またはそもそもが地元民向けのリーズナブルなお店などだ。
お洒落で価格帯が高い店は基本的にシーズン中に荒稼ぎして冬には閉めるというのがお決まりの流れなのだ。
期間労働者
日本では海の家やスキー場などで働く期間労働者は基本的に大学生から20代前半の人が多い。
20代後半にもなったら、それなりに安定した仕事に就いて社会人として社会に参加することが義務であり、風潮でもある。
またそう言った仕事をしていて失業しても、それは自己責任であり、社会保障に頼ることは難しい。且つ、期間労働の給料がいいともいえない。
が、ここイビザではそうとも限らないので、ヨーロッパ中からここに働きにくる人がいるのが現実。
しかもその業種は多岐にわたる。
前述の通り、シーズンにむけて道路の舗装し直しから始まるのだ。ブルーカラーの仕事もある。
もちろん、半年間締めた後のホテルの壁の色ぬり、掃除、そこにも期間労働者が必要となる。
年間で338,390人(2019年)の観光客がイビザに訪れる。
https://theibizan.com/lies-damn-lies-and-ibizas-tourist-statistics/
その受け入れをする空港、バス、タクシー、ホテル従業員、レストラン従業員、パフォーマー、これを支えるクラブ関係者など
その数は膨大となる。
期間労働者はどこから来るの?
- イビザの地元民
- イタリア、クロアチア
- ヨーロッパ北部(フランスやドイツ)
これも一概に上記だけとはいえないが、こう言った場所から人々が集まる。
期間労働者のオフシーズン
では、多いに観光業で稼いだあとの労働者はどうするのか?
- イビザの地元民
失業保険を受け取って生活する。 - イタリア
国へ帰って失業保険をもらう。or働く。 - 少し休んでから雪山でウィンターシーズンの仕事をする。
ここで1のイビザ地元民の過ごし方に注目したい。
失業保険を受け取って生活。
これは日本で言ったらあまり大きな声で他人に言えるような生活ではない。
ばれれば薬物中毒者かと疑われることすらあるが、ここでは普通だ。むしろイビザに移住してきて、「通年働いている。」と話せば、「それじゃあイビザに来た意味がないじゃないか?」と笑われるほど。
では失業保険は一体いくらもらえるのか?
失業補償金額
それが驚きの数字。ほとんどの人がその年の夏に稼いだ70%もらえるという。
70%ということは、仮に夏の収入が30万あった場合、21万はもらえるという計算になる。
夏は週6~7日働いて、冬はのんびり暮らす。というスタイルが保証されているのだ。
いくらなんでもやりすぎじゃないか・・・。
この数字はヨーロッパ全体のGDPと労働者の数をパーセンテージで確認してもその多さがよくわかる。
そしてこれとほぼ同じ量の人がシーズンオフには失業者となる。
ヨーロッパにおける観光業GDP
ヨーロッパでの観光業における労働者のパーセンテージ
欧州連合の失業率データ
スペイン1999年~2019年までの20年の失業率
14.41 percent in the first quarter of 2020
想像される原因など
2019年からイビザでラーメン店を営み、最大で4人の従業員を雇用した私たちが支払った税金を考えると、一、レストランの従業員という意味では保証がかなり行き届いている。という印象を受ける。
会社が払うべき税金が彼らの給料の3割、そのほかにも様々な税金の徴収がある。
また、雇用された従業員には雇用期間3ヶ月出会っても退職金、有給の付与が義務付けられている。
アルバイトと大して変わらないのにも関わらずこう言った福利厚生までが国によって保証されている。
そのため、期間労働の場合、雇用主が契約書で契約を結ばずに国に報告せずに雇用するというケースも多くみられるそうだ。
ただし、これはこれで問題なので契約なしで働かないように、調査員が抜き打ちで調査に来ることがしばしばある。
さいごに
ヨーロッパの社会保障、福祉というのは各国で多少の差があるが、日本よりも往々にして充実しており、失業者が出やすい環境になっているのは間違いない。
そして、その豊さが人々の働く意欲を削ぎ、またシーズンのオンオフがはっきりしているイビザではもはや冬に働き口がないのだから・・・と正当化されている。
これでは、失業率が上がるのも無理ない。
そして、保証がしっかりしている分雇用主の負担が大きすぎる。
が、被雇用者としてここにいるのであれば、夏はしっかり働き冬はのんびり・・・という次世代的な暮らしも悪くないだろう。
雇用主側の私としては国のシステムにはほとほとうんざりだ。
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