“The Travel Story 53” -許し、愛する国- 【ブラジル 2】

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マナウス到着

船から降りて陸に着地した瞬間、めまいを感じる。

それほどに強い光と紫外線、熱がこもっていた。

目の前ではポルトガル語が大いに飛び交い、私たちは久々に新たな土地に到着できたことを実感した。

C「何もわからないね!スペイン語は少しは勉強したのにな~(笑)」

K「ポルトガル語はスペイン語の親戚みたいな感じらしいけど、ほぼ理解できないっていうから、別の言語だよね。」

C「だね、仕方ない、ここからは英語とメモで頑張るしかないね。」

もう、何言語も話せる外国人に比べたら私たちはペーペーのぺーだから3言語め、4言語めをこの短期間に勉強する気にはなれなかった。

タクシーに乗りホステルへ。

ホステルで出会った人々

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奥で上半身裸で座っているのが、ここのオーナーのお父さん
(片手にマリファナが常のお父さん)

到着したホステルはマナウスで一番安く泊まれるホステル。

Familia Crosa

まず迎えてくれたのはここのオーナーとそのお父さん。

そして、黒人の小さな男がいた。

部屋に入ると、小さな部屋。

廊下が続いた先には小さなリビングがあり、ここで朝食をとって良いし、キッチンは利用自由だった。

私たちの他にはアメリカ人女性が一人と、日本人の女性が二人いた。

この旅で日本人に出会ったのは初めて!

それはきっと私たちが日本人宿やホステルに泊まらないのが理由だ。

ホステルのドミトリーに一人ずつベッドをとるとダブルルームと同じ値段になるし。

現地に住む日本人の方からの情報はとてもありがたいんだろう。

とは、思うけれど、それは他のホテルの英語が話せる人でもなんら変わらないし、もっと英語を話す機会の方が欲しい。

しかも・・・日本人宿は高い。。。

と、私たちは、日本人宿には泊まる機会がなく、日本人を自分たち以外の口から聞き、その敬語の雰囲気に懐かしさを感じた。

それから、このホステルには複数の人が出たり入ったりしていた。

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全員が客というわけではないとこが面白い!(ぶれた・・)

その1人がこの人。ドイツ人だ。

ある日私たちの目の前に現れてガンジャを吸ったかと思うと、意気揚々とシャベルを持って、出掛けた。

H「何をしに行くの?」

聞くと、彼は嬉しそうに答えた。

「墓を掘り返しに行くんだ!」

H C「・・・なぜ?」

「そこに財宝が眠ってるからだ」

H C「え?・・・何でわかるの?」

「多分、あると思うからだ、じゃあな!俺、今忙しから!」

やばい、この人はヤバイぞ・・・・と驚いていると小さな黒人が言った。

「あいつちょっとイカれちゃってるみたいなんだよね。」

だろうね。と2人で驚いた。そんな奴いるかよ!

すると、そこにいた直毛で長髪のおじさんも笑っていた。

この人は、アマゾンのジャングルの中に住んでいるけどここ数日この辺をウロウロしているんだとか。

もう、全部説明が説明にならない!

とにかく、全員が個性的なホステルだった。

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楽しくて、みんないつもこの小さな憩いの場に集まる

清潔なシャワーと、壁

3部屋あるホステルだがシャワーとトイレと一緒になっているユニット式で一つだけ。

朝はシャワーの人で渋滞を起こしていたけれど、よく掃除されていてシャワー室は明るかった。

本当に暑いから水シャワーすら気持ちよかったし、本物の水で体を洗えて、心から感謝の気持ちが湧き出た。

この4日間どんなにこういった清潔な欲しくても、手に入らなかったから。

先に浴びたH氏と、シャワーのことを喜びあった後は、ベッドに寝転がった。

小さなシングルベッドが二つ並んだ、狭い部屋だったけれど、久しぶりに横になることができた。

なんという、安心感・・・。すごい・・・。

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ホステルは廊下もカラフルに塗られていて可愛かった

静かに天上を見た。

C(私)「壁があるね。」

H「久々の壁だね。」

C「天井も、クーラーもついてるね。」

H「すごい進歩だな・・・。」

文明の素晴らしさたるや、それはもう夢を見ているかのよう。

ベッドの中に沈んで行くように、受け止められて眠った。

夕方、さて!ご飯を食べにでも出るかとキッチンへ。

ホセとの出会い

ここで、日本人女性二人組と黒人の男性が話していた。

さっきも見た小さな黒人の方は、早口で何を言っているのかわからなかった。

聞けば彼の話はこうだった。

「俺はホセ!NYからここへきた人間で、このホステルで働いているんだ。

今日はお祭りってのかな、いや、催しがあるから、みんなで外に出かけないか?」

H・C「いいじゃん!行こう!行こう!」

さ~行こうと5人で出かけ、日本人4人はどこに行った~あそこは怖かった~なんて話をしていたが、ホセは退屈そう・・・。

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なんだかよくわからないけど、コンサートをしていた

結局、ホセが行きつけのバーに行くことに。

ここで、酒が好きでない日本人女性たち2人は先に退散し、3人になった。

ホセは控え目に言って来た。

ホセ(以下、ホ)「ここ、ちょっと変わったBARなんだ。」

C H「どこが?」

ホ「まあ、見てればわかるよ、上行こうぜ。」

私たちは目を見合わせた。

何が起こるんだ・・・。

ホセはそこにいた人たちに挨拶しながら上へと上がって行く。

そして、席に座ると気付いた。

ああ、マリファナか。

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男たちが輪になって、タバコを回し吸いしていた。

そういう時は大体がタバコじゃ無いから、マリファナだと理解できた。

そして、ホセがこちらの表情を見る。

C H「・・・・?」

ホ「やる、か・・・?」

H「いや、辞めておくよ、でも別に構わない。」

C「私も、大丈夫。」

ホセは嬉しそうに笑って、マリファナを受け取って私たちに頷いた。

結局、ホセはこれが大好きだからここに来ていたらしい。

日本ではなかなか見ることの無い光景だし、なかなか見ることができない人。

何となくこちらに心を開いた?と感じ、私たちはそのままその場でおしゃべりを続けることにした。

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何人かが周りに座り、話をすると

「俺、日本人大好きなんだよ!」

と髭面の男。

大きな体で、ほとんど表情も変えずに日本の話をいくつかして来た。

男「連絡先、教えてくれ!」

H氏は、 Facebookを交換して帰った。

こうして、私たちはいつの間にかホセと仲良くなり、友達のように話すようになった。

サルヴァドールに行きたい!

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国旗に対する愛と主張が激しい

マナウスの次はサルヴァドールと決めていた。

ブラジルを旅する人は旅人にはあまり少ないらしく、ほとんどの人がペルーからコロンビアに抜けその後、中米を旅する。

なぜなら、このルートの方が物価が安いから。

けれど一つ問題がある。

それは貧困を原因とした犯罪の多さ。

コスタリカ、グアマテラなどはどうしても危険がつきものの旅になる。

それは夫婦2人で行くべきものじゃ無いし、ブラジルを見てみたい!私たちはと思った。

そして次のサルヴァドールは黒人奴隷の歴史の町。

今も黒人たちが多く住む町だ。

H「ここは黒人たちの古くからの文化がまだ色濃く残っているし、街並みがカラフルで可愛いらしいんだよね!」

と嬉しそうに、教えてくれた。

それじゃ、行きましょ!とすんなり決定。

初め、私たちはブラジルの飛行機を取ろうとしていたが、安いチケットを取ろうとするとなぜか必ず、ブラジル人しか持ってないはずの区民ナンバーのようなものを求められた。

何度か挑戦したが、うまくいかずホセに旅行会社に連れて行ってもらった。

いくつかの店舗に行って相見積をもらい一番安い会社に戻ってお願いをした。

そして、予約が出来たら電話をしてくれる。という話だった。

ヨシ、ほぼこれで大丈夫だな。とホステルに戻った。

アマゾン川の海

ホセ「今日は土曜日で俺、ビーチに行く約束があるんだ。よかったら一緒にいかないか?」

H C「もちろん!行こう!」

バスで移動し、砂浜に到着。

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ブラジルカラーのTシャツが当たり前に着れる
日本にはあるかね?この感覚!地元への愛みたいなもんかな

そしてビーチでビールを頼むと、何やらホセの友達というのが前に座って、ポルトガル語で話しかけてきた。

理解したいけれど、全っ然わかんない!

ただ、ここまで来るのに少しビールを飲んでいたので私たちはほろ酔いだった。

「もう、いいよ。じゃあ、海!入ろう!」

と誘われて、川へと行った。

ホセは入らないと残ったので、私たちはそのまま川で遊ぶことに。

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土の色っぽいけど一応砂で黒色の水がアマゾン川の色。
ピラニアが入ってこないようにセーフティーネットも張ってある

ホセの友達は全部で5人。

誰1人として英語を話すことは出来なかったけれど、あーでもない、こーでもないとジェスチャーで話しているうちに大爆笑が続いた。

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寒くなって着たから帰ろ~!と上がると今度は露天でお酒を買うことに。

もうこの時点ですごい仲良くなった気分だった。

みんなで小さなカップに注ぎあって酒を飲みながら帰ることに。

その間中全員大爆笑、ホセはものすごい速さでポルトガル語で話したかと思うと、今度は英語で同じ話を私たちに同じ話をしてくれた。

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買ったお酒をカップに注いでみんなで乾杯!

英語が早いのはニューヨーカーの特徴らしい。どれだけ生き急いでんだ?

飲んでいた酒はアサイーの酒で、これを飲むと女の子が洋服を脱ぐ。

という宣伝文句らしい。

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アサイーのお酒

それはそれは・・・甘いワインのような味だった。これがこのあたりで一番安い酒なのだとか。

ホセと私たちは、ホステルに戻っても飲みつづけ、ここのホテルのオーナーのおじさんも一緒に加わり楽しい夜となった。

ポルトガル語は全然わからないけどとにかく楽しい
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ぶれた・・・
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ホセは変?

翌日、ホセが電話をしに行こう!というので、彼の後ろをついて行く。

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ホセの背中を追いかける

もうチケットは取れてるのに、電話?彼は電話を持っていない。

私たちは毎回彼について行くと、地元ギャングたちがたむろしている道を通らされる。

ここでホセはドラッグを購入していた。

彼はほとんどご飯を食べないで、ドラッグをやっていた。

少々危険な香りはするが、彼は私たちに対してとても協力的だったし、お金を貸してくれ。ということはなかった。

だから、別に一緒にいるくらいのことはいいかな。と心を許していたし、彼を頼ったりもしていた。

ホセはそこでドラッグを仕入れて戻って来ると何食わぬ顔でまた旅行会社へ向かって歩き出した。

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が、数分歩くと、ホセの知り合いが現れる。

「Yo! 元気か?どうしてんだ?最近何してんだよ?」

ポルトガル語だからわからないけれど、おそらくそんな話をしているらしい。

とにかくこの長めのバッタリ偶然会っちゃって長話が10分に一回は必ず続いた。

こういう彼のやり取りはいつどこに行っても必ずあって、彼はこの町中の人に知られているように見えた。

でも、考えてみればそうだ。彼は電話を持っていない。

電話は持っていないし、PCもこのホステルから借りてるから何一つ連絡する術は持っていないんだ。

今時そんな人いるの・・?彼はおそらく30代。わたしも携帯電話は持っていないけど、PCもタブレットも持ってるよ?

だから、偶然ホセに会えた人は、嬉しくなって話しかけるのかも・・・。

仕方なく、ホセのおばさまの店へ。

ホセの友達とそのストリート

ホセのおばさまはレストランをやっていた。

大きな体のその人はホセから”ママ”と呼ばれていた。

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ママが作るボリュームたっぷりのご飯はとっても美味しくて、
これならブラジルもなんとか大丈夫かも!と思えた
でもこのチキンカツの中はメルトチーズ入り・・・重いよ〜!

ママの方も「ホセィ!」となんか子供を呼びつけるような言い方。

ここでは店の手伝いをしているオネエの女性と、ホセの元彼女という2人も紹介された。

そこでランチをとって、電話をしてみると結局チケットは取れていなかった。

なぜか、おそらくホセに聞きたいことがあったらしいけれど、ホセと電話できずにいて、その間に値段が上がったらしい。

まじか・・・。

もう今日は終わったな・・・。

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ブラジルではW杯の応援として、通りにこういった飾りをするのらしい
そしてどの通りが一番素晴らしいかを競っているのだとか

気づけば夕方になっていた。

店の前にはスーパーのカートなどで構成された焼き鳥屋が出てきていた。

これをホセは「シュラスコ」と説明してくれ、

その店主の男と楽しそうに話し始めた。

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キャップを被っているのがコロンビア

そこに酔っ払いのおじさんが歌いながら歩いて来る。

ホセの友達はすぐさま、その音に合わせて踊り始めた。

おじさんの背丈に合わせて膝を折って・・・。

この酔っ払いのおじさんがとにかくそこら中で、歌を歌ったり口笛を吹いたりしていた

その可愛らしい光景があまりにも面白くて、笑った。

ホセはこのシュラスコ屋の店主、の大男のことをこう呼ぶ。

「コロンビァア!コロンビアッ!」

え、、、国名が名前?謎のあだ名・・。

ホセはコロンビアを紹介してくれて、コロンビアは何故か家まで連れて行ってくれた。

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黒色のキャップがコロンビア、とにかく踊りながら酒を飲みながらシュラスコをご機嫌で焼く

ホ「こいつ、コロンビア。俺の友達っていうか後輩だ。

コイツ面白いんだぜ!今はこのシュラスコ屋だけど、

昔は、用心棒だったんだ、人を殺しかけたこともあるし、なんどもナイフで切られたこともある。

見せてやれ!」

コロンビアは腕にある傷をヘヘヘっと見せてくれた。

もう、このマナウス。何もないのになんか大好きになっていた。

二者択一

翌日、もう一度インターネットでチケットが取れないか試してみたが、やっぱり市民ナンバーというのが必要とのことで予約できず。

もう一度旅行会社に行きたいとホセに頼むと、嫌な顔もせずに連れて行ってくれた。

そこで・・・悲しいものを見た。

明日出るなら70000円のチケットが5日後なら、35000円・・・。

あああああああ、もう嫌だ!なんなの?嫌がらせ!

楽しいけど何もないマナウスにそんな長々いられないよ!!!

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とりあえず休憩となると必ずビールになるのがホセ

ちょっと考えさせて・・・。

私たちも面倒な客だけれど、半額か・・・。落ち込んだ。

ホ「じゃあ、港にでも行こうぜ!」

ホセは笑顔になると、私たちを港に連れて行きながら、あることを教えてくれた。

ホ「そういえば、明日からアマゾン1の祭りがあるんだ。この地域の奴らは全員行くくらい、すっごい量の船がここから出て、3日間どんちゃんドンチャン大騒ぎだ!!

いい船もあるし、そこに行って時間を使ったらどうだ?

どうせ、祭りに行ったとしても、明日飛ぶよりも安く済むし。」

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マナウスの港に集まる船の全てが祭りのためにパリンティンという街に行く

H C「何よ、それ?」

ホ「カーニバルだよ、君らあれ知ってるでしょ?リオのカーニバル。」

H C「はあ、そうだね、知ってる!踊って歌ってのカーニバルね、有名だよね」

ホ「そのカーニバルがアマゾンにもあるんだけど、それが見れるんだ!

船で一日かけてある町まで行って、そこで3日間パーティー。そしてまた1日かけて帰って来る。

ただ、この船は単なる船じゃないぞ!パーティーボートだ!最高だろ~?」

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ホ「船ではハンモックだけど、最高のパーティーだぞ!ブラジル1最高のパーティーだ、いいな。お前ら、俺も行きてえよ。」

C「なるほど、楽しそうだね」

ホ「そうだ、みんなこの日のために、貯金していい船に乗って友達とか家族と一緒にパーティーする最高のパーティーだからな!」

C「いいじゃん、ホセも来る?」

ホ「ん?俺は金が無いから無理だ。」

C「そっか、それは残念だけど仕方ないね。。」

H「本当に・・・?いいの?」

C「行こうよ!いいじゃん、なんとかなんでしょ、ブラジルのパーティーボートなんて面白そうじゃん?」

H「まあ、、そうだけど。」

ホ「じゃあ、チケット買いに行くか?船の。」

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C「そうしよ~!」

H「あ、ほら、もう行くことになってるよ、いいの・・・?」

C「・・・・。なんでそんなに行きたくないの?そんなに聞いてくるの?」

H「・・・、だって船でハンモックなんだよ?また。」

C「でも最初と最後の1日ずつだけでしょ?」

H「違うよ、ずっとだよ!」

C「ぇえーーーーーーーーー!?そうなの!?嘘でしょ?」

H「さっきそう言ってたじゃん、ずっと船にいてもいいって。」

C「だから、パーティーの間は陸のホテルとかに泊まるんじゃないの?」

H「違うよ、ずっと船の上だよ!だから大丈夫なの?って聞いたんだよ、あんなにもう絶対船には乗らない!って言ってたのにおかしいな。って・・・。」

C「え~そっか、、。完全に聞き逃していたし、勘違いしてた!またハンモックか~・・・それは予定外だわ。。。」

こうして私たちは、2度と乗るもんか!と言っていたあの船に乗ることになった。

ホセの勧めの元、路上でヒゲカットをしてもらうH氏
ラインがはっきりしてスッキリ顔になった気がする!笑

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