“The Travel Story 78” 強烈な個性を放つ国【エチオピア2】

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メケレという小さな町に到着してから一泊。

私たちはエルタアレという活火山を見にいくツアーに参加する。

部屋から荷物を全て出し、荷物はフロントに預けた。

PCなんかも全て預けるものだから、すごく不安な気分。

選択肢はないので、そのまま預けた。

4日後何もないか、あるか。・・・・とにかく心配。

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でもこれ以上心配するのはやめよう。しても仕方ない。。それしか選択肢はないんだから・・・。

バスは予定通り来た。

バスというより、四駆の車だった。

その車にオランダ人の2人と乗る。

たまたま居合わせた2人と一緒にされた感じだった。

2人は同僚だと言っていたが、こんな世界の僻地まで同僚と来るのだろうか・・・?

写真を撮ろうか?と言われた時に、こちらも撮ろうか?と申し出ると。

「いえ、いいの。私たちは。」と断られた。

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山は所々はげていて、木はなかった。それだけ暑い場所なのだ。

車は大自然の中を走り続け、途中の町で休憩をとった。

到着した場所は町というより村だった。

そこには小さな屋根のついた小屋のようなものがあった。

床は土で、猫が一匹。

ウロウロしていた。

そして、お茶が出てきた。

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ここの人たちが、かわるがわるきて、お茶を組んでくれたりそのほかに果物はいらないか?などと聞いてくれる。

面白いものを持っているであろう、観光客に子供達が群がる。

そんな観光客の相手をしている従業員にも子供達が群がる。

あれは何?これは何?

この人たちはどこから来たの?

と言うような感じだった。

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40分ほど休憩したのち、さらに車を走らせた。

どんどんと村から離れ、大自然に囲まれていく。

活火山の聖域へ

「ちょっといい景色があるから、止めようか?」

そういってツアー会社のガイド兼ドライバーの男の子が止めてくれた。

今度は火山で噴火して飛んできたと思われるゴロゴロ、ゴリゴリとした真っ黒な石がその辺にいくつも転がっている。

前に走っている車達も止まってみんなそれぞれに写真をとっていた。

この地域は活火山があることでかなり暑い。

そして乾燥している。

強い日差しが肌に突き刺すように沁み入ってきた。

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私は自分の肌がその突き刺す日差しに焼かれているのを感じるほどそれが強いものだと感じた。

外国の曲を歌いたい

その時に流れていたのがLuis Fonsi とDaddy YankeeのDespasitoだった。

一緒にオランダ人もノリノリで歌っていて、私は鼻歌だったけれど彼女は完全に歌っていた。

えーうたえるんだ?と驚いた。

昔こんなことがあった。

夫の久の友人は外国人の友達が多くて、その友達とカラオケに行ったらみんなでOASISの曲を歌っていた。

それで私は言った。

「いいな〜久はみんなで歌えて」

久は当たり前に言った。

「愛も歌えばいいじゃん。」

歌えないのに・・・?と思ったけれど、ただ、勉強しただけなんだよね。何度も何度も聞いて、覚えたの。日本語の曲でそうするのと同じように。

それだけの話なの。

歌いたいから。とか話したいから。とか。

それぞれ目的とか目標は違うにしろ、とにかくやってる。勉強してる。

勉強して、この単語なんだろう?とか、この響きのところはこの単語とこの単語つなげて言うのか!とか。

この言い回しでこんなことが言えるのか!とか学んで。そうしないと歌えない。

だから毎日一言でも1単語でも勉強した人が歌えるようになったり話せるようになるんだよね。

オランダ人もきっと勉強したんだろうな〜、って私はムーっとしながら勉強してやる・・・。と思った。

スペイン語じゃなくたっていいんだ。英語でいい。英語勉強するもん。と思った。

エルタアレまでの道

しばらく走ったところで、車が止まってみんなで夜ご飯の準備をしたり、少し体を拭いたりと思い思いに過ごした。

ラクダも一緒に休んでいた。

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彼らは私たちのための食糧や寝袋を運んだそうだ。なんとまあ・・。

そしてラクダによって運搬された夕食が広げられた。

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光はなくて暗闇の中での食事だった。

チャーハンとか、炒め物とか。

そんな感じの誰でも食べれそうな食べ物だった。

素材の味以外はなかった。

優しい優しい味だった。

その後、「みんな準備はできたー!?歩くよ!」

という声が響く。

いよいよエルタアレ火山まで歩くのだ。

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そしてこの日の夜はエルタアレ火山付近で寝るのらしい。

30代以上の大人達が集まってるのに、みんなドキドキ、ワクワク、ソワソワしていた。

ワクワクとは裏腹に、どんどん暗くなる周りの景色は心に少しの不安を感じさせ、それがワクワクと合間って足取りを早くさせているように感じられた。

そしたら。突然。

真っ暗だった景色が明るくなり始めた。

左側に上がってきた。黄色くて丸い丸いホシ。

アレは太陽・・・?何?

見たこともない景色と涙

「月だよ!Moon going up!」

信じられなかった。

あんなに明るくて、黄色くて大きな大きな月があるの?

私たちは見たことのない月に驚き、言葉を失った。

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ねえ、世界はこんなに美しいんだね。

私は心の中で思った。

久くん。見せてくれてありがとう。私とこの世界の美しいものを共有したいと思って、連れてきてくれてありがとう。

涙が出た。言わなかったけれど。

私は自分のこういう感性を失いたくないなあ。

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純粋に、何かを見て考える前に動く心の敏感さ。

よくドラマやドキュメンタリーを見てボロボロ大粒の涙を流して泣いて。父によく笑われていた。

大人になったからといって、涙を流さない人になりたくない。

悲しいから、嬉しいから、楽しいから。幸せだから。

いろんな理由で泣いて、その感情を抱きしめる人でいたい。

そういう気持ちを人と共有して温かな思いを抱き締め合える人でいたい。

世界一美しい、人生一、美しい月だった。

過酷トレイル

さらに歩く。

少しずつ、歩き続ける人々に距離の差が出てきた。

そういえば。なぜ夜に私たちがこんな石だらけで危険な場所を歩いているか?というと。

それは昼間に歩くと如何にもこうにも暑すぎるのだ。

とにかく乾燥しているし、1人につき水一本では足りないくらい暑い。

それで夜に歩いている。

私たちはおそらく8kmの距離を歩いた。

着くと、すぐに寝袋を用意されて、それぞれ場所があてがわれた。

なんとなく水平になっていて。

なんとなく火山岩がない場所。

砂のところに寝袋を敷いた。

暗くて何も見えなかったし、自分がまさかこんなに本当に何もないところで寝るとは想像していなかった。

けれど、なんだろう?

これまでの旅の間に私の中には何かが育っていて。

「何があっても生きているならok」

みたいなそんな感じだった。

だから、火山口からおそらく500mもないところで、火山灰が降り注ぐところで寝ると聞かされても、そんなに驚かなかった。

すごいアドベンチャー・・・だね!と。

ファイナルディスタンス 火山口

そして。ついにその時が来た。

「火山口を見にいくよ!」

私たちは暑いな、と感じながらもついに近づいてくる火山口にどきどきと興奮しながら、歩き、そしてその火山口を除く瞬間を待った。

見えた!!!

という声が聞こえる。

私も私も!とみんな群がってくるが、思っていた以上に火山の動きは穏やかで、そして煙でなかなか見えない。

「ホラ、こっちから!見えるよ。」とガイドの男の子に誘われ覗き込んだ。

見えた!!

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嬉しくて、嬉しくて釘付けになった。

すると横に座っていたオランダ人が

「そこどきな!みんな見たいんだから。」

・・・怒られた。

まじで・・・?恐いよ〜そんな言い方しないでよ・・・私だって興奮しちゃう時あるよ〜。長く見すぎたらしい。

あまりの圧に驚いたし、そんな言い方ないじゃない・・・。と思ったけれど。。

あまりの過酷な状況にみんなそれぞれ自分を失っていたらしい。

寝床に戻ると別の男がガイドの男の子に怒鳴り始めた。

「火山口は見えなかったぞ!」

「こんな危険なところで寝るなんて聞いてないぞ!寝れるわけがないだろう!」

そんなこと言ったって、参加したのはあなただし、危険なところを見に行きたいからここに来たのではないのか?

と思うけれど、ガイドの男の子は静かに対応していた。

暑くて、しんどくて、それでも見えたり見えなかったりする火山口。そして早朝からの長い移動に疲労とストレスのダブルパンチで、こうなる人もいるのだ。

「過酷な状況になるとその人の奥底にある性格というか、磨かれていない人格の一部が出てくるんだよね〜」

と久。

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私の場合は興奮を抑えきれない。周りが見えなくなる。

オランダ人の女性は言葉が悪くなる。

ドイツ人の男性は自分で選択して来た結果を受け入れられなり、悪態をつく。

そんなふうになるわけだ。

これはこれで旅の醍醐味かもしれない。

要は自分を知ることになるんだよね。

忘れてた自分のカケラに会えたり。自分の好きだったものに出会えたり。

自分っていうものとたくさん出会った気がする。

そんな危険な場所で仮眠をとって、2時間後にまた火山口を見に行った。

火山の動きはさっき見に行った時よりもさらに穏やかになっていた。

もやっとした紅い光が見えるだけで、火山のどろどろとした光は見れなかった。

見れた私は嬉しかったけれど、見れなかったみんなはかなり落胆していた。

それもそうだった。

ブログや観光ガイドではかなり盛大に吹き出している画像があったし、私たちの予想ではそのドロドロ流れる火山の活動している熱々の液体の横で写真を撮るくらいのイメージでいた。

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だから、見れなかった人たちにとってはお金を無駄にしたと感じる人もいたのだろう。

結婚1周年

そういえばこの日は私たちの結婚記念日だった。

1年前、中目黒にある目黒区役所で婚姻届を出した。

アレから一年。私たちは色々捨てたな〜。でも結婚したことも、捨ててしまったものたちも目の前の環境もとにかく受け入れる。だけで一杯一杯だ。

結婚したなんて実感なんてないまま、旅し続けて。

日々が過ぎていて。そうだ。ついにもうすぐ旅も1年経とうとしているらしい。。

まだまだ地に足がつかない気分だな・・・。旅が続けばいいのに。って思いと、終わりがくるなんて信じられないという思いと。

帰り道

その後は寝袋で就寝。

朝になると、それぞれで寝袋をまとめてラクダを連れてきた男にそれを預けた。

軽食を配られ、それを食べながら車のあるキャンプへと歩いて戻る。

それはもう真っ直ぐの道で。

ただただ。みんな歩いて。

行きはワクワクがあったけれど、帰りはもうただただ、早く休みたい。ってそれだけだったのかな。

みんな黙々と歩いた。

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グループの中にこの大自然から得た「結果(見れた見れなかった」に対する気持ちの受け方の差が顕著に現れていた。

自然はいつもいつも同じ顔を見せてくれるわけじゃないんだよね。

だから、今あるものは今楽しまないといけないし、今感謝しないといけないし。

今ないものを願っても仕方ないんだ。

この時はそんなことを真面目に素直に受け止められた。

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