バルセロナへ
イビザの幸せな日々を終えると、私たちはバルセロナに向かった。
今回は休暇中のMarioがそのまま私たちに同行。
バルセロナに到着したのは夜遅くだったので、ビジネスホテルに宿泊。
二人用の大きなベッドと簡易ベッド。
背丈が2m近くあるMarioはそのベッドに寝ると足がベッドに入りきっていなかったけれど、こういうこは旅行中によくあるのらしい。
背が高いのも色々と苦労するんだね、知らなかったわ。

そして、翌日からAir Bnbの日々が始まった。
スペイン語とフランス語は話すが、英語はめっきりな小柄なおばちゃんと、私たちの3人。
Marioも基本的には英語しか話さないし、私たちはその下のレベルの英語を話すのみで、スペイン語はこれっぽっちも話せない。
ただ、私は南米で一生懸命覚えたスペイン語の切れ端を集めながら彼女と会話した。
こちらのお部屋はあのサグラダファミリアから徒歩15分程度の好立地ではあったが、
とにかく暑い部屋だった。
部屋には扇風機もエアコンも無くグデつく暑さの中、窓を全開に開けて日中を過ごすことになった。
しかしこの猛烈な暑さ、これはスペインでは珍しいことだったのらしい。

Marioの男飯
お出かけの前にスーパーに寄ろう!と入ってみた。
綺麗に並べられた商品。
ここにも生ハムやサラミはいくつかの種類が置いてあった。
Marioはそこにあるハムとバゲットを買うと、外に出て、手でちぎって作ったハムサンドを私に与えてくれた。
なんか、この雑な感じもむしろオシャレに感じる。男飯!笑

Marioは旅が好き過ぎていつも「お金がない」と言っているけど、それで何か問題があるようにも見えない。
強いていうなら、彼女がいないことくらいか。
外食費が高くつくスペインでは、スーパーで食材を購入して昼間は基本的に家だったり道端で食べたりしていた。

サグラダファミリア

そして予約していたサグラダファミリアへ。

隅々まで続く彫刻を眺めながら中へ入ると、そこには
あの感覚。
でもここはもっとすごくて、万華鏡を見ているような気持ちになる、光の美しい世界がひろがった。
子どもの頃、光に透かさせて万華鏡を眺めて「わあ~キレイ・・・。」と見つめたあの瞬間のあのうっとりとした時間。

万華鏡の中に入って体験しているようなそういう景色。
人がワサワサといたから涙が出るほどの感動とまでは行かなかったけれど、頭の中でこれを考えて、考えて細部まで設計図を作ったガウディ。
後世の職人たちのその完成を託した彼の高い精神性、目的達成能力を思うと胸の奥がグッと締まったような気がした。
屋内もそうだが、外観にも神々しさがあって、イスラム教の文化が入っているスペインは他の欧米諸国とは違うモノの見方があることはすごく深く伝わって来た。

これまで完成が見えなかったせいか、ゆるゆると少しずつ作り続けられていたこの建築だが、ガウディの死後100年を目前にして完成させよう!と人々は高まってるのだとか。
そして現在は資金を潤沢に調達できているとかで、2026年には完成予定なのらしい。
私は未完成の美しさが好きだったから一生完成しないでほしい。

完成しない良さもあるんじゃないかと思うんだけどな。
完成してしまったら、もうそれは過去の作品になって、今とは違う意味合いになり始めちゃう気もする。
帰宅すると、みんなでジントニックを一杯飲んで休憩。
こんなに昼間から飲むのはMarioがいるときくらいだけど、なんかバルセロナでサグラダファミリア見た後にジントニックで乾杯してるなんて、なんかオシャレ?
次の日以降の予定やら、バルセロナで見たいものをリサーチ。
夜は海の方まで歩いて行って、Marioが海に入ってるのを眺めながら散歩してみた。

すると、さすがはスペイン!と思ったのが、ビーチの真横にジムトレーニング用の器具が並び、いい体の男性たちがオラもオラも!と筋力トレーニングに精を出していた。
やっぱりあったかい国の人たちって脱ぐ機会増えるから、体鍛えるよね(笑)。
ブラジルの人たちもすごかったもんな~。

BAR巡り
夜は私が前々から調べていたバルへ。
一軒目、Perikete。

個人的にはこのお店が一番HITだった気がする。
いろんなお惣菜的なお料理がたくさんあるし、しかも安い。
それでいて、ワインの種類、ハムの種類も豊富で見ていて飽きない。
注文用紙に数を書いて、店員に渡すシステムはなんだか日本の焼き鳥屋のシステムにも似ていて、なんだか親近感が湧いたりした。
安い割にはなかなかレベルの高い料理を出すせいか、地元の客も集まっていた。

二軒目、El Xampanyet
シャンパン立ち飲みの店。地元でも超人気のお店。
私たちが行ったのは8月中旬の考えようによってはかなり稼ぎ時のこのシーズンに、1週間だか2週間の休みを取っていた。
こうやって人生楽しまないとやってらんないよね(笑)。
逆に次は絶対来たくなる。やっていなかったからこそ行きたくなる心理を突いている!
だから写真はないけどね〜!(笑)
三軒目、Irati

このお店は自分で取っていい式!
オシャレに綺麗に盛られたタパスたちをそれぞれ好きなものを取って、最後に皿に残った楊枝を数えて、お会計するスタイルなのだ。
Marioさんは「疲れた・・・。」と言いまくり椅子が無いことを辛がっていた。
なんだか知らないけど、外国の人たちって立ち飲みが好きならしく、
椅子ない店ってよく見る気がする!Marioは違うらしいけどね。
なかなか美味しいお店だったかな!


Guel公園
翌日、グエル公園にも行ったけど、この日の当日券は残っておらず、もう売り切れと言われてしまったので無料区域だけを見学。
マリオさんはそんなに残念そうでもなかった。

夜は2,3日ともに同じバルのPeriketeへ。
美味しい上に安くて、スペイン料理らしいものが出る、ありがたいお店だった。

そしてMarioはそのまま母国クロアチアへと旅立つため、翌朝には部屋を出た。
そう言えば彼は私の倍くらい足が大きいくせに私のビーチサンダルを履いていた。
もう、他の人にも履かれてしまってビヨビヨに鼻緒の部分が伸びていたので、もうあまり気にしていなかったけれど。
そんなに大きい足で私の小さな靴を履くなんて、本当、これだから男って嫌だ。
と言ってやったが、ニコニコしてれば済まされると思っていたのだろう。
ケロッと笑っていた。
そういうことじゃないんだが・・・。

有料区域へ グエル公園
チケットの予約をして、再度
本当に本当に感動した!
環境に配慮した、考え方、材料に精通していたこと。環境のことを考えて材料を減らすために自然界のR曲線を用いて強度を持たせていたこと。

割れたタイルや瀬戸物を使って製作したこと。
どれも素晴らしかった。
ガラスの色にも気を使って、光の入り方や、見え方が均等になるように、工夫したり。
自然の中にあるものが一番美しくて、カッコ良くて、強い!ってことを100年以上も前に理解して、それを自分のフィルターで建築に反映できるなんて、本当にすごい。
そして、やっぱり自然の普遍的な美しさと強さをもっているんだ。

ガウディは天才だ・・・天才ってこういうこというのか。と天才について考えてしまうくらい惚れ惚れした。
私たちは嬉しくてなんども公園の中をグルグルと回ったが、Marioはヨーロッパに着なれているのだろう。
あれこれ一生懸命回ろうとせずにゆったり時間が過ぎていくのを楽しみながら、できる範囲のことで、その場を楽しんでいった。

こういうの見てると、やっぱり日本人の旅行って異常なんだな。と気づかされる。
休暇で旅行なのに大体が疲れて帰ってくる。
休みが短いから仕方ないけれどね。
そんな生活無理だぜ!と、私たちはネジが何本か抜けてるのか多いのかやめてしまって”リスクあり”の生活を選んだわけだけど。
人生は一度きり、泣くも笑うも多い方がいい。

旅に出て旅行の概念も変わったように思う。
何かものを見るだけじゃなくて、人の生活の仕方とか考え方とか社会のあり方、そういうものを見るのが楽しい。とそう思えるようになっていた。

ガウディ建築
芸術家で溢れるこの国には建築に美術館と本当に見るべきものが多くあった。
そこで私たちはダリの作品も見たかったし、
ガウディの建築もいくつも見たいものがあった。
ただ、その入場料も安く無いのも現実で、旅行で来ているのなら全部回ってもよかったのかもしれないが、旅し続けてる私たちは今回行けるのはあと一つまでだった。

悩みに悩んだ挙句に私が選んだのは、「Casa Batllo カサバトリョ」。
なぜなら、都会のど真ん中に海をイメージして作られた建築。とあったから。
海か・・・。
ガウディは幼少の頃、あまり体が強くなかったそうで、一人で海で遊ぶことが多かったのらしい。
そこで見た波の形や貝の形が建築に活かすことができる曲線の強さと、曲線美を持っていると気づいたのらしい。
この話を知ったのは私が大学生の頃で、彼の考える自然との調和は時代を超える理念だと私は心を打たれた。

そして、朝の時間のチケット予約をすると、私たちはメトロで出かけた。
バルセロナの気候はカラッとしていて、顔に当たる風は爽やかでスッとしている。
木々の葉が揺れるのを眺めながら、カサバトリョはどこかとあたりを見回しながら歩いていくと、そこには既に行列ができていた。
まだ午前9時だというのに、すごい!

このカサバトリョはブルーを基調とされた装飾があり、中に入ると地上4階建てになっていて、まずは玄関から続く美しい曲線の手すりが階段と並走する。
この手すりは触り心地の滑らかさを重視して作られたそうで、撫で回しながら歩きたくなるようなスムースで柔らかな手触り。

さらに進むと穏やかで暖かな雰囲気のランプがあり、その奥にはスタンドグラスで彩られた大きな部屋があった。

くつろぐことを考え光を適度な大きさで作り、そこに薄く色の入ったガラスを使うことで、穏やかでありながら幸せな雰囲気が漂っていた。
なんだか子供部屋に入ったようなワクワク感があるのだ。それでいて品があって、美しい。だから結局のところ誰がいてもいい部屋なのだろう。

さらに上へ上へと登ると、今度は海をイメージしたガラスが吹き抜けの前に設置してあり、ブルーの壁が美しいモザイクに飲み込まれてまるで海の中にいるような爽やかな気持ちにさせてくれた。

建物はまだまだ続くのだが、きっとこれはこれから行く人たちの楽しみの為にも秘密にしておこう。
JANくん
ある時、Hに久しぶりに連絡をしてきた人がいる。
それがこのJANくんだ。

彼は夫Hが20代後半の時に仕事場で出会った男の子でその頃彼は20代前半。
彼とはここ数年連絡が取れなくなっていたそうだけれど、久しぶりに会いたい!と言って、指定してきた場所が、ここバルセロナだった。
バルセロナの百貨店前で嬉しそうに、私たちを迎えると彼は私たちを予約したという店に連れて行った。
その店の名前が、La Tinaja 。

この店は看板が出ていないので、分かりにくいかもしれない。
JAN君は会えなかったこの時間にあったことや、自分が結婚したこと、もうすぐ子どもが生まれることを幸せそうに教えてくれた。
そして、過去のやんちゃだった時代のことも。

お店でいただいたお料理。

・ガスパチョ
・パントンコマテ
・生ハム
・チーズやドライフルーツが入ったサラダ
・熟成肉
なんか色々頼んでくれて一人2杯もワインを飲んで、真っ赤になりながらJAN君は嬉しそうに言った!
「僕、今日この後食事会があるんで、酔っ払ってくるなって言われたんですけど、、
久しぶりに友達に会ってこんな嬉しいのに酔っ払わないなんてできないっすよね!」

なんだか印象的な彼の一言。
私も、そう思うと思う。
何年ぶりだか知らないけど、幸せそうな顔、なんだか忘れられなくなるあのキラキラの瞳。
JANくん!私も会えてよかった!

人生色々あるけれど、いい年の取り方していかなきゃね!
また会おうね!と約束して手を振った。
幸せでエネルギーに溢れる人たちって心が穏やかだし、目に力があるし一緒にいて気持ちがよくなるからいい。
私もそうでありたい。
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食文化が素晴らしいスペインの街を離れるとお次はフィンランドへ。
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