“The Travel Story 32” -神々が住む国- 【カトマンドゥ ネパール 1 】

nepal

ネパーリー

スリランカの空港に着いて、アダムと別れネパールカトマンドゥ行きの小さな飛行機。

どうやらネパール人も乗っていたらしい。

飛行機が着陸態勢に入り、タイヤが地に着いてだんだんと走行がゆっくりになったかと思うと、

一斉に人が立ち上がり荷物棚を開け始めた。

そして次の瞬間。見たこともない光景が広がった。

SIT DOW~N!!!!!! SIT DOWN!!!!!!!! GO BACK TO YOUR SEEEET!!!!!

(座れ!座れ~!!!!自分の席に戻りなさい!)

Pleaseとか付けてないから完全に命令系だ・・・。これは今まで見たことのないスチュワーデスの形相だった。

これはどうやらネパール人たちのようでこれには一瞬引きつりそうになりながら吹き出しそうになった。

後からHから聞いたが、トイレのドアも閉めずに用を足すらしく、添乗員に「CLOSE!!!!」と怒られていたそう。

かなり使い方が汚いことは目についていたがまさかのそこまでマナー(モラル)の感覚が違うとは衝撃だった。

これからネパール旅、どうなっていくだろう?

飛行機が停止して、降りる。

機体から階段が伸ばしてあってそのまま地面に着地。急いでいるのだろうか、ネパール人の人たちは一気に降りていった。

入国、そして街へ

これまでは飛行機の前にバスが迎えに来たりしたがネパールではそういうことはない。

とにかく歩いて入国ゲートまで歩いた。

imigration_gate

ほうほうほうほう、こんな感じですか、ネパール・・・アジア最貧の国とは聞いていたけど。

入国審査は想定の2時間よりもはるかに早く終了(10分ほど)し、荷物を受け取り外へ出る。

ATMを探しているとタクシーの客引きだ。またか。いつもの空港待ち伏せ作戦か、どこも一緒だな。

うんざりしながら歩いていると、

X「日本人?ジャパニーズ?ok ok, どこのホテルですか?」

C「タクシーならまだいいから。」

X「ホテルだけ教えてくださいよ。」

C「no thanks!」

X「そう言わずにね!ホテル、どこですか?」

C「もう・・・(うるさいな〜)カトマンドゥフレンドリーホテルだよ。」

X「あ~!そのホテルの人ならこの辺にいますよ、ちょっと待てて。」

どっかの営業がフラフラ行くと、今度は小柄で若い男の子が貼り付けた満面の笑顔で登場した。

O「こんにちは~ホテルはカトマンドゥフレンドリーホテ~ルですか~」

C「はい。」

HATM使えなかったからお金ないよ!」

O「あ~、、大丈夫大丈夫、私払っておきます、それでATM行って、ホテル行きます。それでいいですか?」

H「あ、そう。でタクシーはいくら?」

O500ルピー」

H「それはノーマルプライス?」

O「ノーマルのーまる。大丈夫だよ~」

日本語が上手すぎて、詐欺師にしか見えない。どこでどうお金を取ろうとしてくるんだ、コイツは。

睨みを効かせながら、タクシーに乗り込む。

不安とかそういう類ではない、臨戦態勢だ。

燃える青年ビマル君

タクシーに乗るとその青年が軽快に話してきた。

ビマル君(以降B)「ぼくの名前は、ビマルです!ビマルって呼んでくださいね!ぼくは日本人の友達がたくさんいます!昨日もほら、日本人と一緒に山を登って来ました!本当にキレイダッタ!」

H「そうなんだ、ビマルくんね!よろしく~。」

B「あ、写真見ますか?これ、トレッキングに行ったとき。ぼくは案内もやってます。トレッキング案内できますよ!

H・C「そうなんだ、なるほど。」

まだまだ疑心暗鬼。

C「ビマルくん日本語すごいうまいね。どうやって覚えたの?」

B「ぼく、日本人の女性がカノジョなんです~最近付き合って2ヶ月目ですう~ホラ、この女性です、カワイイデショウ?」

なるほど、日本語はそれで上手くなったのか?それにしても流暢な日本語だ。

B「カノジョとネパールに住むのが夢です~」

H「いいね、それじゃあ頑張らないといけないね。」

B「なんですか?」

H「いや、楽しそうで何よりだよ」

彼は自分の話をひとしきり終えるとこちらの予定を確認してきて、トレッキングの予定がまだ未定であることを知るとしきりに自分のオフィスにくるように誘って来た。

仕方がないので、話を聞くだけならよしとするか。と、了承した。

束の間、外を見てみるとまたすごい景色が広がっていた。

砂ぼこりとゴミだ。

道路もガッタンガッタンんとよく揺れると思っていたらどうやら舗装されていない。

石がゴロゴロしてたり、大きな水たまりができそうな穴があったり、これはまたすごいところにやって来たというわけだと理解した。

インドに行かなかった理由だが、スリランカ~インド~ネパールというルートももちろん考えた。

しかし今日が312日。

そして私の一時帰国が41日、だからスリランカに入国した222日から考えても一ヶ月と1週間でこの三つの国を回るよりは、

一度行ったことのあるインドは一旦スルーして、ネパールスリランカに行くのが良いだろう、という結果になった。

そういうわけで、今日から21日間はネパールだ。

カトマンドゥに到着。

舗装されていない道を歩いて行く。

Thamel

まずはホテルまで連れて行かれたので、とりあえずはチェックイン。

部屋に荷物を置くと今度は事務所に連れて行かれた。

そして嬉しそうにデスクワークに座ると、

「おやつにモモはどうですか?」と勧めてきた。餃子に似たような食べ物だ。

first contact momo

ネパールで初めて食べたMOMO。辛いソースが付いていて10こ入り。 水牛の肉もここで初めて食べた。硬いミートボールが入っているようだった。

私たちにトレッキングの話を始めた。

ホテルの部屋に入った時、私たちは今回話を聞くだけはok、だけど絶対に契約はしない。

(シンガポールで会ったフアッドの友人と会うとか会わないとか、一緒にトレッキングをしようとかしないとか話していたからそれを理由に一旦は断ろう、そう決めていた。)

ビマルくんによると客は日本人がかなり多いそう。

B「山というのは諦めたらその瞬間に登れなくなってしまうんです。

 でも諦めなければ必ず登り切ることができます!諦めてしまったらそこで終わってしまうんです!」

真剣そうな目で彼は訴えてきた。

キラキラした意識高い系のビジネスマンか、めんどくさそう。と思ったが、彼の笑顔とこちらが契約しなそうなことを言うと真顔になる。

B「諦めなければ絶対に登れます!僕は絶対に諦めません、だから大丈夫!一緒に登りましょう!」

その素直な表情には可愛らしさを覚えて嫌いになれなくなった。

そしてツアーの料金。

34日 including 朝食、昼食、夕食、ガイド、ポーター(荷物を運ぶ)

=5万円/

45日 including 上に同じ。

=8万円/

人がついてくる分そりゃ高くなるよね。

ま、考えておくよ、と内容はメモに残した。

飛行機事故

ツアーの話を聞いてる横に横田さんというおじさんが座っていた。

彼は私たちを見るとのんびりした口調で話しかけてきた。

横田氏「今ついたんですか?、1時間?2時間前、なるほどね、それじゃあ運がよかったのかも。今空港は事故で大変なことになってるみたいだよ。ホラ。」

そういって彼は自分の携帯を私たちの前に差し出す。

見ると濛々と飛行機が炎をあげている日本のニュースが映し出されていた。

バングラデシュ機が着地に失敗し、50人以上の死傷者を出したらしい。

ひどい事故だ。まさか自分がその飛行機に乗っていたらと思うと身震いが止まらない。

そしてスリランカのときにも事件に巻き込まれかけたことを思うと、今のところ運のツキはまだいいと見れた。

飛行機事故記事:https://mainichi.jp/articles/20180313/k00/00m/030/088000c

Thamel street

首都カトマンドゥの旅人が集まる通り、タメルストリートもこの通り。ボコボコ。

スワヤンプナート

朝起きると、鳥のなく声がした。

寒いけど、鳥が鳴く声やあったかい日差しが見えると少し気も安らぐ。

今日はタメルの街から3.5km離れたスワヤンプナートへいく。

3.5Kmなら歩いて行ける距離だ。

アプリのmaps.meを使いながら、寺の方向へと歩いていく。

タメル・カトマンドゥはネパールの首都。だけど、道は荒れている。

Khatmandu_Road

これが一国の首都だなんて信じられるだろうか。

3.5kmを歩ききると、山が見えて来た。ここだ。

大沢たかおも沢木耕太郎役でここに来たってあそこか。

大沢たかおはいいけど沢木耕太郎の「深夜特急」は世界一周に出る事になってから、大急ぎで読んだな。

26歳が旅の適齢期って書いてあって、私は読んでる時が27歳でほとんど同い年で。

そしてこの間の1月に28歳になったけど、確かに適齢期だと思う。

18歳でインドに行った時は何がすごいのとかよくわからなかった。

そしてこれ以上年を取るとライフイベントが色々と出て来てそう簡単に「旅に出る」なんてできなくなる・・・。

khatmandu children playing

道端で遊ぶネパールの子どもたち

 

スワンナプヤートに着くと猿がいた。

この寺はモンキーテンプルとの異名があって知っていたし猿を見てももう、さして驚かなくなった。

タイでもインドネシアやスリランカでも日常的に見るようになったから。

アジアはこの日常生活と動物の距離感が近いところがいい。

歩いて来たのでまた階段を登るのかと嫌気がさしたが仕方なく登っていく。

何しろネパールで最古の仏教寺院だ。登らない選択肢はないんだ。

入り口で400rupisを支払う。だいたい400円くらいか。ネパールは日本円と換算しやすくて助かる。

中に入るとネットでよく見ていたあのブッダアイが。

スワンナプヤート

なんで目なんだ。そして、お経が書かれたタルチョが勢いよくはためく。

金色のブッダアイ、カラフルなタルチョ、冷たい風に青い空。

そして犬と猿。これがネパールの大きなイメージの一つかな。

手塚治虫のブッダをスリランカを完読していた私はネパールがブッダが生まれた場所だと知っていただけに感慨深い気持ちになった。

これがアジアの文化の発祥の地なのだ。

 

そんな偉大な人が生まれた場所、ネパール・・・。物がなくて。・・・寒くて。・・・人が多い。

 

これからどうなっていくだろう?だんだんとワクワク感が増して来た。

tarcho

 

1人10万のツアーなんて行けない!でも行きたい!

その日、ホテルに戻ると私はアンナプルナトレッキングについて調べた。

10万以上するならトレッキングなんてとてもできない。Hはそんな風にいっていた。

私はどうしてもトレッキングをしたい!やってみたい!見て見たいんだ!気持ちはどんどん大きくなった。

それはオーストラリアでお世話になったマリオが「最高だった!絶対に挑戦すべきだよ!」といっていたこと、そして東京で出会ったインド人の友達、サシの言葉のせいだ。

「俺は1人で登ったよ、簡単に登れるよ。いって見たら?」と言われていたから。

トレッキングイメージ

サシは私よりも半年早く日本を出て旅に出ていて、どの国も私たちよりも先に回っていたから何かわからないことがあれば彼に頼って連絡したりしていた。

そして、ネットで検索すること半日。

C「トレッキングなんだけど、地球の歩きかたと登山用マップを買って下調べをしていけば自分たちで行けると思うんだよね。」

H「そうなの?」

C「うん、ネットで調べたら日本人でも何人か自力でいってる。しかも女の子1人とかもいるから、大丈夫だと思う。」

H「女の子1人で?へえ~そんな人いるんだ・・・」

C「そう、だから2人で行こう!」

H「いいの?」

C「いいよ、だって自分たちで行けるのにお金たくさん払って行きたくないじゃん。」

ネパール経済には申し訳ないが、私たちもお金があってこんな長期旅でなければお願いしたかもしれないけど、今回は申し訳ないけど仕方がない。

H「じゃあそうしよっか。」

そこにちょうど良くビマルくんからLINEに連絡が入った。

B”トレッキングの予定はどうしますか?”

H”友達とのやりとりがあるからまだわからない。けど、ポカラに明日行きたいのだけど予約できる?”

と連絡すると快くバスのチケットをとってくれた。

ポカラへ

6時半ホテルの下に行くとビマルくんが待っていた。

彼は私たちが何か用事で出かけると言うと必ずホテルまで迎えに来た。

そして「今日は朝からテニス♪フィジカルトレーニングだよ♪」と颯爽とスポーツウェアに身を包んで現れた。

申し訳ないけど私たちは君とトレッキングには行かないんだな。

ネパールバスターミナル

どうしよっか?

H「チップ渡しとくよ。」

C「それがいいね。」

ホテルから意気揚々と歩くビマルくんと、バスに着くとお礼を言ってHがチップの札を渡した。

その時もビマルくんは一瞬真顔になった。

ビマル君の後ろ姿

バスは7時になると出発した。

出発後1時間、まだバスは街を出ていない。

突然、バスが上下にバウンドし始めた。な、なぜ?

私たちは一番前の席に乗ったのにも関わらず車体が激しく上下する。

なんだ?前方の窓を見ると、前の車もその前の車も、その前の前の車もバウンドしてる!

ネパールバスの運転席

これは?と思いよくよく見て見ると地面に激しい穴がいたるところに空いていた。

道路脇では小さな子供も笑って体をバウンドさせている・・・・。

ヤバイ。これがネパールの道路・・・?この後って・・・・。

走り始めて1時間で、まだ街中にいて、しかもこの悪路。かなり前途多難かも。

2、3時間毎の休憩場所

2、3時間毎の休憩場所

嫌な予感は的中。110km程度の距離を結局、9時間後の16時ごろになってやっとポカラに到着した。

バスを降りると、ムワッと暖かい空気に包まれた。

ここはネパールの中でも標高が低くて暖かいことで有名だそうで、ネパール人にも有名なリゾートなんだとか。

ポカラ Pokhara

TAXI!!!!!

来た、またタクシーおじさん。

だだっ広いバスターミナル

ここからホテルまでのmapを入れていたけど、なかなか遠い。

タクシーおじさんと交渉して、タクシーに乗り込むとそのままチェックイン。

ビマルくんが紹介してくれたグループのグランドホリデイホテルだ。

日本人も多いとかで落ち着いた雰囲気。

着いた日から丸2日間。私たちはトレッキングについて情報を集めた。

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