韓国からスペイン バルセロナへ
今回韓国に行ったのも、チリに行くのも実は理由がある。
もちろん世界一周旅行だから、南米にも行く予定にはしていた。
けれど、こんな風にアジアからいきなりチリに行くことは私たちも想定してなかった。
それで、今回のフライトチケットはこんな感じ。
仁川・韓国→マドリッド・スペイン(乗り換え)→サンティアゴ・チリ→マドリッド・スペイン→東京・日本
この周遊チケットが、二人分でなんと17万円!
えー!?そんなことあるの?(テレビショッピング的な流れになってしまったがこれはウブドで本当にやったシナリオだ)
おそらく東京からサンティアゴに行くだけで少なくとも13万/人はかかると思われるが、サンティアゴ、スペイン、そして東京が入って二人で17万円。
今回私たちは世界旅行中なので東京には戻らない。だから東京へのチケットは捨てにした。
その後は待望のIbiza Partyが待っているのである。
これは逃せない。
実はこの話はインドネシアのバリ島、ウブドにいる時に決まっていた。
そしてこの話を持って来たのが、スリランカでも会いに来てくれたH氏の親友、Adamくんである。
彼はH氏のことを大切な一番の友人と言ってくれて、いつも優しくてH氏に会いに行くタイミングは無いかと隙を狙っている。
そして、私たちの旅にとっての強い味方である。
何故ならば、この度へ出ることに背中を押してくれたのは彼だし、そしてこの航空チケットを見つけて来てくれたのも彼なのだ。
実は彼、かなりの航空オタク。
暇があれば安いチケットは無いかと探してるらしい・・・!
南米には必ず行きたいと言っていた私たちの希望を汲んで何かいいの無いかな~と探した結果、韓国~東京まで全部含めると、安いチケットが何故か出て来る!
という周遊チケットに行き当たったのだとか。
世の中には、不思議なことが起きたり起こしたりする人がいるんですね。
兎にも角にもこのチケットに乗らない手は無い!ということで購入したのがウブドでの2月のこと。
やっとその日が来た5月1日。
私たちは韓国を出て、マドリッドに到着した。
マドリッドではブリティッシュエアウェイズのVIPラウンジへ。
実はこれ、H氏の友人の一人がブリティッシュエアウェイズのシルバー会員で、その会員特権を私たちにも与えてくれた。
やはり、年上の男性諸君は色々とうまくやってらっしゃる。
ラウンジへ入ると大きなカフェのような場所に、軽食と飲み物、もちろんワインやビールもあった。
ワイン好きの私は次から次へとワインをグラスに注いで、全種類のワインを試した。
ここにくる人たちは仕事でビジネスクラスになっている人たちなんかだそうで、ほとんどの人が本を読んだりパソコンをいじったりしていた。
あっという間に時間が過ぎ、次のフライトの頃にはほろ酔い状態だった。
タダ飯、タダ酒ありがたや!
チリ・サンティアゴ行きの飛行機に飛び乗った。
チリまでのフライトもそれまでのアジアでのLCCでのフライトとは異なり、大きなジェット機での移動。
1人のスペースも大きく、食事もきちんとしたものが出てきた。
久しぶりに長いフライトだったのでで”Pink Bird”という映画をみる。
この映画はそんなに有名な映画ではないけれど、アメリカの小さな町に生まれた思春期の女の子がどんな風に過ごし変わって行くのかという内容の話。
スタートの時点では恐らく高校1か、2年生なのだけど、フィナーレを迎える頃には大学1年生になってる。
アメリカ人にとっては普通の田舎の高校生の話なのかもしれないけど、彼女が身に付けているものだったり、映像そのものの雰囲気もとてもお洒落でまた心の成長の描写に見応えがある。
日本人の私にとって新鮮に映ったのは、16~18くらいの女の子に対しても大人としての対応があって、先生に対しても1人の人間として扱っていたこと。
日本に住んでいると、大学生まで子どもでいていいよ、というような風潮を感じる。
何故か親世代の人たちは「大学入って、授業は出たり出なかったりだったな~」なんて怠けていたことを普通に言ってたし。
子供の頃は先生や警察は神様みたいに、煩悩が無いような風に教えられていたし。
現実を子供の頃から見させる、自分のやったことに責任を持たせる、それに大人が高校生であろうと1人の人間としてしっかり意見を聞いているシーンは妙に納得した。
いい大学を卒業することに目標が置かれていた私にはその後のイメージが湧いていなかったが、こういう話を高校生くらいから出来ていたらもっと違っていたのでは・・・なんて考えたが、
仕事を辞めて世界旅行に出る人間に、過去など関係ないか。
うん、これでいいのだ。
戦々恐々 サンティアゴ
翌日、空港に到着するといつものようにタクシーやツアー会社の人に詰め寄られたけれど、それを全部断って、市内行きのバスへ。
空港から市内バスターミナルまでは30分。近い。(そう考えると成田空港は都内まで遠いな、東京駅まで遠いわ、高いわ。)
バスの中もそんなに危険な香りもせず、普通に乗車して、普通に降車した。
そして。バスを降りた瞬間・・・。
H「これはやばい匂いがするなぁ」
C「そう?」
H「荒廃ぷりがひどい」
C「そうなの?」
H「これが中心の街でしょ?ここが。首都だからね。でも落書きだらけで、いる人たちも貧しそう。」
C「確かに。」
歩きながら見てみると黒い布を広げて、その上に自分の持っている品をこれでもかと広げる。
大麻用のグラインダーや、覚醒剤の吸引機などもあれば、靴、洋服、USBコードなど、売り物は様々。だけど見た目はかなりみすぼらしい。
建物に目を向ければ今度は落書きの嵐。
ストリートアートなんてもんじゃない。
本当の落書きだった。それがまちの一部じゃなくて全体に広がってる。
朝9時に市内に到着したもののホテルのチェックインタイムは14時。
仕方がないのでバスターミナルにあるロッカーに荷物を預け、街を散策しよう。
歯は大切に。
と、その前にお腹が空いたのでターミナル前でサンドイッチを購入。
フランスパンで出来たパンをガブリ。
ポキっ。
一口食べた瞬間に嫌な予感が全身を駆け巡る。
C「H氏!私、歯、ある?歯、無くなってない・・・?」
H「え!?歯?歯がなくなってる?」
C「全部ちゃんとある?」
イーっとして、前歯を見せて、その後、口の中のものを噛まずに一旦だして、見せてみる。
H「ある・・・と思うけど・・・。」
C「ちょっと待って・・・。」
自分で触ってみた。
C「!!!!!!?」
H「え!?!?」
C「無いわ!欠けてる!」
H「え!?嘘でしょ?こんなんで欠ける訳ないじゃん!」
C「いや、ないわ。ここ、見て!」
H「え・・・あ・・・・あぁ・・・。」
C「どうしよう・・・。」
H「なんでだよ、もう、この間救急車乗ったばかりなのに・・・。」
C「ごめんねえ。」
欠けた歯は食べたサンドイッチをちょっとほじったら出て来た。
後に鏡で見てみると、どうやら日本で治療した歯で真ん中をグリッと取ってしまった歯が欠けていた。
これはもうどうしようもない・・・。と、とりあえずでティッシュを濡らして、包む。大事にしまった。
今病院を調べることもwifiが無いので出来ない。
仕方ないので、町に向かって歩いてみる。
大通りを直進すればサンタクルスの丘があることがわかったのでそこを目指した。
日が強く差し、乾燥した空気が肌を刺激する。そして丸一日掛けたフライトのせいで眠気がひどい。
歩きたく無いな~、でも歩かなきゃ。
面倒だと思いながらも歩いて行った。
サンティアゴの裏市場
途中、大通りを避けて一本、横道に入ってみると・・・。これがすごかった。
人々がごった返し、道に市場を形成していた。
売り物にならなそうなものを抱えて販売しているものもいれば、スタンガンを売ってる者、洋服を売る者、家具を売る者。
とにかく様々な物を売ってる人たちがいた。
そして、私たちよそ者に対しては、特に反応はなく、罵声を浴びせられたり何か危害を与えられることもなかった。
恐怖心はもちろん、煽られたけれど・・・。
さらに道を行くと、大麻を吸っている若者が4人。
こんな街中で、昼間いや、むしろ朝から、何が不満なんだ・・・・。
ものすごい景色を見た、気になった。
いや、事実ものすごい景色だったのだ。
すぐにその道を外れて大通りを歩く。
だんだんと都会的な景色が現れた。
スーツを着て、小綺麗な格好をした人たちが道をゆく。
ヨーロッパのような街並み、きちんとした服装の人たちで街は急に安全な場所に見えてきた。
ああ、これが国の中心なら大丈夫か・・・。
さらに行くと目的の場所サンタクルスの丘に到着した。
そこはキリスト教会の場所で、教会ももちろんあったし、小高い山の上に建てられたこの施設は街の展望台としての役割も担っていた。
眠い、そして歯が折れたダメージで少しでも踏ん張るのは嫌だったがここまできてしまったからには仕方がない。
階段を登り、上へと登った。
一番上まで登ってみると、意外にもまちが大きいことがわかる。
街は右に左に、前に後ろにと広がっていた。
ふん、これがサンティアゴね。あんまり、面白い風景ではないけど、まあいいわ。登れた!
さっさと降りて、ランチを食べて、ホテルへと戻った。
ホテルはさっき行ったオフィス街やサンタクルスとは反対方向。バスターミナルの近くだ。
バスターミナルから近いのはいいけれど、貧困層が住む地域、だということは理解できた。
「夜は外には出ない。」危険回避の簡単な防犯対策。
部屋はマンションの一室で、自分たちの家みたいに使えて快適だった。
降りれば、貧困街の無法地帯が広がる。
夜は黙って、部屋に閉じこもった。
歯医者へ
悲しいかな、一生物の歯があまり強くないもので欠けてしまった。
なんとかくっ付けてもらいたい、と欠けた歯ももちろんバッグに入れた。
初めての地下鉄への乗車。
システムがわからずに、切符を買うのに手間取る。
どこから入るのか、どっち向きの電車に乗るのか!?
地下鉄自体がなんとなく薄暗いし怖いし、なんかあるかもしれない・・・・。
なんて思っていたが、周りの人たちに助けられてなんとか乗車。
そして、保険会社提携の歯医者にたどり着く。
まだまだ英語が達者でない私は不安になりながら治療室へと入った。
この時、英語が堪能じゃないからと心配してH氏も一緒に入ろうとしたが、医院の人に待合室で待つように言われていた。
内心、自分で話さなきゃ・・・。えっと、歯を失った・・は「I missed my teeth…これを言えばいいはず・・・。」
ドキドキした。
Doctor(以下 D)「今日はどうしたの?」
C「歯が欠けました。」
D「またそれはなんで?」
C「少し硬いパンをかじったら取れてしまったんです。これがその歯です。」
D「なるほど、それじゃあ虫歯が無いかまずは見てみようか!」
助手の人と一緒に、私の口の中を見て回る。
何度か歯をノックされたりして、状態を注意深く確認。
歯の検査。虫歯なし。
D「歯の病気ではありません。ただし、この歯は放っておくと折れて無くなるのでこういうのはどうでしょうか?」
余分な歯を削り去り、歯と同じかそれよりも硬いプラスチックを3Dカッターでカットして作成します。それを今日中にあなたの歯に装着します。
そういう説明とビデオを見せられた。
ドキドキ、と不安が隠せなかった。
D「そんなに怖い事じゃないよ!髪の毛とか爪切るのと一緒だよ!」
嘘だ!歯はもう一生生えてこないじゃないか!!!と思ったものの、それ以外の方法は日本に帰ることと言われてしまい、H氏にも報告。
だいたい費用は6万円。
でも海外旅行保険に入っているなら、虫歯じゃないから保険が降りるはずよ。と教えてくれた。
結局その日に全ての治療を終わらしてもらい、H氏には6万円を払ってもらった。
クッソ~また迷惑かけてしまった・・・・。
観光もまあまあ、ってとこになってしまったけど、歯医者自体は本当に腕がいいし、速かったし親切で助かった。
それに保険会社に問い合わせたら、保険金が支払われる対象になる、と聞いて安心した。
帰国したら、請求しよう。
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