こんにちは。Daruma Ramen Ibizaを夫と一緒に経営するChikaです。
今日は苦労したこと・1年間で得た成果についてお話ししていきたいと思います。
2019年5月に前オーナーから購入し、6月に夫と前オーナーで店主が現地に入り、オープン準備、7月初旬に約9花月ぶりに再オープンさせました。
(前回の記事はこちら)
今回の内容でお伝えしたいことは、私たちの店で1年間の間にどんなことが起きたのか、どんなことに苦労し、人間関係はどのようなことがあったのか?
現在に至るまでにどのような経緯を踏んだのか?ということ。
これから海外で店舗を開業する方、移住を考えている方に読んでいただければ、こんなことも起きるのか!と言ったリスクヘッジの一つにもなるかと思います。
また、海外の生活が気になる方に読んでいただければ、きっと日本と海外の生活・仕事環境の違いなどの比較にもなり、客観的に今の生活や状況をみることにも役立つかもしれないです。
開店前1ヶ月間の準備内容
夫と前オーナーでが2018年6月の頭に現地入り。
6月に到着してから7月までのちょうど1ヶ月間、準備に当てられました。
その時の内容
- 掃除
- テラス席の整備
- ペンキ塗り直し
- 従業員面接
- 営業許可証の取得
半年以上閉店状態にあったDaruma Ramen Ibizaの店内は全体が埃やカビに覆われており、それを払う作業にかなりの時間が取られました。
また、閉店前まで働いていた従業員のうち継続して働きたいと申し出てくれた従業員は1名のみ。
他の従業員を雇う必要があり、ここでスペイン人の男性を1人雇うことに決めました。
新スタッフと従業員雇用形態
地元出身地元育ちの男性を雇うことが決まりました。
日本では飲食店といえば、ほとんどの従業員がアルバイトでそこにチーフやリーダーという肩書の社員が数名在籍するのがよくある店舗のイメージですが、スペインでは異なり、全ての従業員は正社員として雇われています。
今回一緒に働くことになったのは現地人男性のJ君で、語学はスペイン語・カタラン語(現地語)・英語の会話ができる。年齢30前後で、Daruma Ramen Ibizaでは唯一の男性スタッフとなった。
雇用形態について。
正社員(日本でいう)にあたるということは様々な権利が発生するのですが、この件についてはまた別の記事にて詳しく説明します。
それでは、ここでお店のキャパシティについて
Daruma Ramen Ibiza 収容人数
店内
4人席 2つ
2人席 1つ
カウンター 4人掛け
屋外
長テーブル 2台
各18人程度が座れる
合計で最大約40人が収容できる大型のお店です。
屋外の席がメインになっている理由は、イビザの天候が通年晴れていることが多く、年間平均300日が晴れであることから。
ただし、お店のキャパに対してキッチンの設備がかなり脆弱。
実はこの物件、デザイナーや建築士の設計では無いため残念ながら、導線やキャパシティに対する設備のちぐはぐさが、目立ちました。
とはいえ、すぐにそこに手を付けて修繕を加えることも難しく、まずはある状態をそのまま使える状態にすることが優先でした。
さらに半年以上使っていない状態が続いたことや、冬季のイビザでは夜間湿度がかなり高くなることもあり、電化製品の故障が目立ちました。
毎日何かが壊れる。そして直すという状態を繰り返しながら、夫、前オーナー、元スタッフ、新従業員、手伝いに来てくれていた前オーナー友人の総勢5名にて準備が執り行われ、7月1日。
晴れてDaruma Ramen Ibizaは再オープンすることとなりました。
オープン時、更にもう1名の女性従業員を雇用しました。
従業員の数は全部で3名。
理由は夫に就労ビザが降りていないため、現地人を十分に雇っておく必要があったためです。
オープン後の苦労
その約1週間後に私が現地に入りました。
私もこの時点ではラーメンの作り方、盛りかたなども知りません。
お客さんと従業員がどのような話をしているのかもスペイン語で全くわかりません。
また、スペインでの週間や文化等も全くわからない状態での開店なので、お客さんとのやりとりなどは全て従業員に任せている状態。
とにかく私たちにできることは、ラーメンの作り方・味を覚える、味を落とさない。スピードを守って提供する、それだけでした。
またサイドメニューにあたるタコ焼き、餃子については焼き方で焦げているもの、きちんと焼けていないもの、などを提供しない。
一見当たり前のことですが、これがかなり難しかったです。
最初の1ヶ月は全員が一緒に新人で走り始めた感覚です。
私たち自身もわからないことだらけであったし、従業員たちに教わることも多々あり、スペイン語がわからないために、普段の生活で助けを求めることも多々ありました。
そのため私たちと従業員の関係はほぼ対等、もしくは従業員の方が強い、という状態ができていました。
そういった背景から従業員に料理のことで
「要望や意見をしても聞く耳を持ってもらえない。」
ということがかなり多くの場面で見られました。
機械・設備の故障
最初の3ヶ月間、それこそ毒出しのように機械の不調、設備の故障が毎日のように起こりました。
例えば、麺の茹で機は通常壊れることがありませんが、排水管が壊れ詰まる、水が流れない。
ということが1週間近く続いたり、豚骨スープに使用している店の命とも言えるIHクッキングヒーターが故障。
電気が落ちて店内の明かりを含めて全てシャットダウンする。
冷蔵庫の電源が入らなくなる。
ガスが突然止まる。排水管が壊れて水浸しになる。
など、通常の店舗では考えられないような不調・不具合は最初の3ヶ月間続きました。
その度にメーカーに問い合わせる、出向く、連絡をする。商品を持っていく。などの業務に追われ、休憩が取れない。という状態が長く続きました。
日本で故障品の修理といえば大体1週間〜2週間で修理されるか、新しいもので返品されますが、スペインではそうはいきません。
3ヶ月かかることも当たり前にあります。
メーカーや小売店が修理にすぐには応じないこともあるので交渉が必要になります。
従業員との関係性の構築
1年間経て、現在も働いてくれているのが、もともと全オーナー時から働いてくれている女性従業員のFさん。
それから、再オープンの準備から、働いてくれているJくん。
この2人との関係を築くのにはかなりの時間を要しました。
実際にきちんと話ができるようになったのはかなり最近の話です。
コロナ感染症が流行り始めたあと、困難を乗り越える仲間としての関係性が出来上がるまではそれぞれの距離感であったり、心の通じる話し合いができるようになるまでは時間がかかりました。
以前から仕事以外でも手助けをしてくれたり、友人との集まりに歓迎してくれたりと、温かく対応してくれていた従業員ではありますが、現在はさらにその絆を深め、仕事での意見を言い合う、話あうことが円滑にできるようになりました。
まとめ
全体を通してみると最初の1年間はかなり、厳しく大変なもののように感じられると思います。
私は夫がビザの関係で1人で過ごさなければならなかった期間が2ヶ月ほどあり、その期間にも上記のような不調・不具合・不和は否応無しに起きていたので、体調を崩したりもしました。
正直1人だけでは耐え切るのは難しかったのでは無いかと思います。
ただし、従業員も絆ができる、心を開く前、とは言いつつも困っている人を見れば手を差し伸べてくれる、優しさを持っていて、その優しさに助けられてきました。
また従業員だけでなく、周りの業者であったり、近所の人たちにもよく助けてもらったり、挨拶をしてもらったり、と温かく迎えてもらっていたことも、心の支えになっていました。
様々な困難を乗り越えたという意味では夫婦としても一つ成長できたのでは無いでしょうか。
現在はコロナ感染症により、店舗の営業もままならない日々が続きますが、怒涛の1年を乗り越えることができたチームですので、2年目の1年は安定と更なる進化にむけて取り組んでいく予定です。
2年目はメニューの改善や経営方法、集客など飲食店経営の核部分をスペインではどのように解決していくのかをチャレンジし、報告させていただければと思います。
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