“The Travel Story 74” 古代とつながる国【エジプト1】

2018年10月8日。

トルコを出発した飛行機が夜中1時に到着した。

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そして空港を出れたのは2時だった。

タクシーの勧誘がたくさんありいつもなら少し歩いてから決めるところだけれど、今日は真夜中なのですぐに頼るほかなかった。

いくらまで出すか?と二人で予め相談して、150ポンド(1000円くらい)で、10kmならいいだろう。と決定。

「ニュータウンまで」と一言だけ発した。

すると蟻のように何人もの人が群がってきて、口々に「300!」「250!」「200!」「200!」「200!」「200!」

と詳しい場所も聞いていないのに大声で呼び込みをかけてきた。

「ニュータウンまで」としか言ってないのに、すごいな。

しかし、まだ150は現れていない。

「How much!? How much!?!?」

今度は「いくらなら乗るんだ?」とみんなで騒ぐ。

芸人がテレビに映りたくて騒いでるアレみたいだった。

ウザいので、そこを通り過ぎようかと思った時、Hが

「150!150でニュータウンまで!」というと、一人だけ出てきた。

「俺んとこ行ける。来い」

いきなり、躍り出てきたかと思ったら、そのまま私たちのスーツケースを引っ張った。

なんかヤバそ〜と思いながらも歩く。

なんだか、私も慣れたもんだな。

「怖い・・・」って感覚はもうなかった。

彼らはただ、稼ごうとしてるだけで、何か傷つけたりはしない。

お金を欲してる状態の人たちに囲まれて血眼で観られても笑っていられるようになったのは南米で言葉のわからない人たちに囲まれるのに慣れたせいかもしれない。

空港を出て、少し歩いたところで男がいう。

「タクシー代150で、ドライバーは50ポンドだ。」

H「は?それなら乗らねーよ!返せ」

スーツケースを奪い取り、戻ろうとするも男のその手にはしっかりとスーツケースが握られている。

男「じゃあ、150だ。」

H「なんだよ、こいつ!」

怒る夫H氏を観ながら、私も同じく苛立つ・・・。

出たな!エジプトお金星人!

ここでインターネットで集めた#旅人あるあるの噂によると、インド!モロッコ!エジプト!のこの三ヶ国を合わせて、「世界三大ウザい国」なんて言われているらしい。

これは日本人バックパッカーがつけた名前らしい。

その理由が、勧誘の仕方がムカつく、卑怯、お金のやり取りが適当、お釣りをちょろまかす、値段交渉が終わった後に値段を変えてくる、などなど。

まあ、確かにインドに行った時は頼んでもいないのにH氏は肩を揉まれてチップをせびられたり、旅行会社に壮大にぼったくられたりしたっけ。

で、エジプトものっけからこれだから、この後もこれが続くということかな。

真夜中過ぎての移動で気が滅入る。

タクシー乗り込もうとするも場所の特定に今度は手こずった。

ドライバーが場所を把握できないらしく、しばらく3人の大人のエジプト人が地図とにらめっこしていた。

そして結局ホテルに電話した。(最初からしとけ・・・。)

タクシーに乗り40分ほどで到着。

ホテルに到着するも誰も起きていない・・・。さっきドライバーが電話してたはずなのに。

15分ほどどこから入るのやら?と探索を試みたもののわからず、もう一度電話してもらう。

何度か電話してもらったが、反応なし。

ドライバー「別のホテル、探すか?」

なんだ、そういうことも言ってくれるんだね、気が効くじゃないか。

確かに、ここで朝まで待つわけにもいかないので明日以降泊まる予定にしていたホテルに向かえないか、相談していたところ・・・

「 HE~ Y!」

陽気な雰囲気で、上から声が降ってきた。

見上げると笑顔の青年が。

H・C「おせーよ!」

ドライバーに謝って、上に登る。

「ごめんごめん、寝てたんだよ〜」と飽くまでも陽気な彼は、私たちを部屋にすぐに通してくれてフロントの電話番号と朝食の電話番号を教えて去って行った。

真夜中の3時ごろに到着して、遅くなるとは言っていたものの開けてくれてよかった。助かった・・・。

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眠たそうな夫。それでも今日も動くぞ!

朝起きると、朝食の薄いトーストと茹で卵にお茶が部屋まで届けられた。

そしてすぐにカイロのダウンタウンに移動。

ぼろっちいカイロシティー

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珍しいか?エジプトはこんなもんだぜ!と笑う通りすがりの男

車中からはボロボロの道と瓦礫の山が見え、背筋がひんやりとしてきた。

H氏「久しぶりだね、この雰囲気!」と、彼は笑顔で話す。

C「そうだね〜久々にきちゃったね〜」と真顔の私。

ヨーロッパの居心地の良さで旅の不便さなんて忘れてた。本当に。

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ボロボロだ・・・

TAXIは暑い中、クーラーなしで窓全開で街を走るが、このTAXIがかなり適当なのと道という道が塞がれていて右左折がナビ通りにいかず1時間で着くはずの場所に2時間かかった。

ホテルに着く頃には暑さでヘトヘトだった。

が、それとは対照的に張り切るH氏、「今日はこのマーケットと、モスクに行こう!」

私は車の中で居眠りしていたので体は元気だったのですぐに散策へ。

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毎度、恒例。新しい国に入ると携帯電話のsimを購入。昔は携帯本体を変えなければならなかったのに現代って本当に便利な世界。

マーケットへ

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幹線道路がなぜか市場になっていた。物を撮られないように荷物に注意して歩く。

道に出ると、車の量が多いのと、車のクラクションがうるさい。

あー、この雰囲気。この雰囲気。久しぶり。

アジアではこの感じが普通だったな〜と懐かしい気持ちになる。

雑踏に気が引き締まって、警戒心も高まり、緊張気味だった。

そこに「Hello!!」と声をかけられた。

おや?人懐っこい笑顔にこちらも笑顔になる。

しばらく歩いていると今度は手招きする男の子が。

「なになに?」近づいてみると、なんか食べてる!

じゃ、これちょうだい!英語でやりとりするも、全く通じないので身振り手振りでコミュニケーション。

こういうノンバーバルコミュニケーションは夫の久よりも私の方が得意。声の調子やニュアンスと表情で会話するんだけど、これがレストラン程度だったらだいたい通じる。

結局ここでパンと豆のペーストのサンドみたいなものと漬物をいただいた。

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上手に声をかけて、満面の笑みで嬉しそうに色々と食べさせてくれた。私たちもなんだか嬉しい!

4ポンド(約24円)。

やっすい!

これで調子がついた。

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久も歓迎ムードな雰囲気になんだか嬉しそう

道ゆく男たちがHELLO!だ、 WELCOME!だの声をかけてきたり、ウインクを送ってきたりする。

その度に笑顔で返答した。

なんだ〜エジプト いい国じゃん!

本当にこんなにニッコニコで視線をくれる国なかなかないよ!

スリランカ以来かもしれない!

2017年にテロ被害にあったせいなのか、どうやら旅行者はまばららしい。

歓迎してもらっていることがよくわかった。懐っこくて、笑顔でいい人たちじゃない!

ハーネルハリーリ

市場だ。観光客向けの。

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観光地じゃない場所はこんな感じじゃなくてもっと雑居ビルだらけ。日本の京都とか鎌倉のように昔ながらの建物は町の特定の部分だけだ

ここは1$1$とか10パウンド10パウンド!安い安い!なんて感じで日本語や英語で客引きしてくる。

そんな安いわけない、というような品物もぜ〜んぶ1$と言ってくる。

もちろん後で値上がる。

買う気もないし、欲しいものもないので特にやりとりしなかったが、その交渉は超面倒臭そうだと感じた。

この場内でお茶を飲んでシーシャを吸って90ポンド。約540円、安い?いや高いか。

まだ感覚がつかめない。現地の人たちは一体いくらでシーシャを吸ってお茶を飲むんだろう?

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こちらも観光客向けでちょっと小綺麗な雰囲気

そういえば、ここに来る前のトルコから紅茶をよく飲むようになった。このへんはお茶文化が根付いているようだ。

アフリカ大陸のどのあたりからコーヒー文化になるんだろう・・・?

シーシャは日本で水たばこと呼ばれているアレ。

特に変わっている様子もなくて、普通にお茶を飲みながら楽しめた。

普通のたばこと違って、喉にくる刺激が少ないぶん、吸ってる気があまりしない。

鼻から出してみたり、口から円を出すことができないかと遊んでみたり。

その間に私たちに売りつけに来るのは、アイライナーや布、ドレス、真鍮のアクセサリーなんかだった。

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キラキラした生地が美しい。女性たちがきているあの洋服は一体なんというんだろう?
体のラインをまるっきり隠している感じがイスラム文化を感じさせた。

アイライナーはこのあたりの国ではとても重要なメイク道具だからだろうか?

お土産に買っていく人もいるのかもしれない。

確かに黒く囲むアイメイクは魅惑的に見えるから、試したくなる女性も多いのかも。

電車でピラミッドへ

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切符を購入!切符売り場がなんだか懐かしい感じ

翌日。節約のため、ツアーを組まずに自分たちで電車に乗りピラミッドを目指す。

切符を買い、Giza駅までは順調に来れた。

改札を出て、どっちがバス乗り場だろうか?と壁の標識に目を走らせているとエジプト 人の親子がすぐ横を通りながら話しかけてきた。

「ギザピラミッドかい?僕らもいま行くところなんだ。一緒に行くかい?」

なんとなく流れに合わせて、一緒に歩いてみる。

すると、「エジプシャンとツアリストは別の入場門なんだ、僕らはエジプシャンで行くけど、君らもそうする?

エジプシャンで僕らは〜のピラミッド、〜のピラミッド〜のピラミッドでなかも見て400ポンド、で馬も乗るから全部で700ポンド、僕たちと一緒に行くかい?」

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後ろをついていく

H「ああ、じゃあそうするよ。」

付いて行った。

なんだか落ち着きのない男性。何もわかっていない子供。

何かが不安だ・・・。と思って一緒に歩いていると、そこにバスがきた。

男「これに乗っていくとつくよ。」

C「いくら?」

運転手「10ポンド」

H「じゃあこれで」

2人分の金額を払い終わった頃には車のドアがしまっていた。

親子はバスに乗らなかった。

H「なんであの人は乗らなかったんだ?」

C「なんか騙して取ろうとしたんだよ。きっと。」

H「何を?」

C「わかんないけど、そういうことを考えたんでしょう?きっと」

H「そうなのかなあ?」

C「だってなんであの人が観光に行くの?」

H「確かに・・・」

C「きっとボッタくる方法を考えてたんだけど、出来なくて、このバスに乗せたんだよ。」

H「いい人だったんだね。」

C「まあ結果的にはね。」

バスが停車するとそこからは歩いてピラミッドへ向かった。

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何もない道。もっとお土産屋で賑わっているかと思いきやそうでもなかった。

ピラミッドの近くにはケンタッキーフライドチキンがあるとかって誰かのブログに書いてあった。

途中で暑さに負けて水を買った。おやつを食べてみたりもした。

道中はこれといって土産物が並んでるわけでもなく、ただ、砂っぽい道を進んでいくような感じだった。

歩き続けてやっと、到着した。まだ時刻は10時すぎだというのに、日は天上まで上がっていて、じりじりと当て付け汗がじんわりと吹き出していた。

そして、世界で有名なここギザの三大ピラミッドですらもテロ事件の影響だろうか、チケット売り場は閑散としている。

おとな2枚を購入して、中へ。

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これと言った説明があるわけでもなく、ただただ歩きながら眺めるスタイル。

説明もなければ掲示板みたいなものもなかった。

そしてラクダたちと男たちがダラーとしている。

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H「乗る?」

C「歩けるよ。」

H「でも乗ってもそんなに高くなかったし歩いたら結構あるよ。」

C「そうなの?じゃあ値段聞いてみる?」

聞けば大体1200円程度だという。

C「1000円なら乗るよ!」

当たり前に値段交渉した。

おじさんは

「ふん!いいだろう。」

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というと私たちを乗せてラクダの馬車を動かした。

簡易な座席のせいか席はよく揺れて、お尻が痛かった。

それでも砂漠とピラミッドの景色は美しく見える。

なんだろう。この雰囲気、この感じ。

ピラミッドの中がどうなっているとか、歴史に付いてはあんまり調べていなかった。すごいことはわかるけれど、それ以上の何があるとか、っていうのがあまりにも深い歴史すぎて、追いつかない。

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ほら、ここで写真撮っとけ。と、なんとも云えぬ背景の場所で写真を取らされる。
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ほら、あそこに見えんだろ。ここからの景色、最高だろう!と撮らされる。

おじさんに適当な場所で適当に乗せられて写真を撮られる。

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飛べ!ほれ、飛んで! と撮られる。(笑う久)

なにか、違くない・・・?

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違うよね・・・なんかね。

軽く一周して「はーい!おしまい!」

とおじさん。

C「えーーーー?なんでよ?ピラミッドが三つ並んでるところ観れるでしょう?連れて行って!」

Kindleに入れていた雑誌のページからビューポイントを調べていた。

H「よく知ってたね。」

C「ここで写真撮った方がいい!って書いてあったからね。事前情報大事だね!おじさんサボろうとしてきたね!」

H「値切ったからでしょう?」

C「交渉はするもんだと思うからいいじゃない!」

おじさんは「へいへい、知ってたか・・・」

と言った様子で仕方なさそうにまた馬車を動かした。

そして今度は

あっちから撮って!こっちからこういう風に撮って!

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いい写真!これこれ!
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という私の指示に従って笑いながら応じてくれた。

男「こっちからこうやって撮るいいんだぜ!ほら、屋根もこうして、外してさ。そこでこういうポーズとってみて!」

と指示してくる。

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ピラミッドといえば、な写真も撮れた。

エジプト人、なんだか憎めないな。

一周すると、予定通りのお金を支払って笑顔で手を振った。

サボろうとしたけど、結局いい人。

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ちょっとだけズルしようとする節があるな、エジプト人は。でも良心で結局、悪をやり通そうとはしないようだった。

最後にスフィンクスを見にいく。

スフィンクスの下には地下宮殿があるとか、ないとか、それをエジプト政府がひた隠している・・・らしい。

謎めいていて、なんだか素敵。

暑い中写真をバッチリ撮って、街へと戻った。

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シーシャを吸っていたらここで働いている女の子に自作の絵を売られた。その根性と気持ちを評して購入した。「女は強かに!」

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